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やさしく、くわしく説明します。障害者採用の「法定雇用率」ってどんなもの?

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ライター:ヒラノオツボネ

こんにちは、ヒラノオツボネです。私はこれまで健常者枠・障がい者枠両方で人材経験を積み、これまで200名以上の方の採用決定に貢献してきました。今回は法定雇用率の引き上げについての説明です。厚生労働省が開催した労働政策審議会により、民間企業における法定雇用率を、2018年4月1日から2.2%に、さらに2018年4月1日から3年以内に2.3 %に引き上げることを多くの皆様がご存知だと思います。でも、そもそも「法定雇用率ってどんな仕組みなんだろう?」「当事者として持っておくべき心構えは?」そんなお話しを本日はやさしく、くわしくご説明します。

そもそも法定雇用率ってなに?

「厚生労働省」民間企業の障害者雇用率を段階的に2.3%に引き上げることを了承(平成30年4月1日から2.2%、3年を経過する日より前に2.3%)

法定雇用率とは、ざっくり言うと一定の従業員数を超える企業や自治体が、法律で決められた障がい者を雇用しなければならない人数の割合のことです。

これは障がい者の雇用促進に関する法律(障害者雇用促進法)に基づき、少なくとも5年に1度、見直しが行われています。法定雇用率は今まで、2013年4月から2.0%とされていましたが、この時の算定式では、身体障がい者と知的障がい者のみが対象とされていました。

現在の法定雇用率の算定式は上の図です。しかし、下の図のように、2018年4月から算定式に精神障がい者も含めることになりました。

法定雇用率改革の図

それにより法定雇用率はアップ。2018年4月からは2.2%へと法定雇用率が定められます。
たとえば1000名の会社でしたら、今まで20人障がい者を雇わなければいけなかったところ、今回の法定雇用率アップで22人に増やす必要があるのです。

また、1名以上障がい者を雇用しなければいけない企業が、今までの50名以上の企業から45.5名以上に引き下がるという側面もあります。

法定雇用率推移の図

段階的に法定雇用率を上げていく施策をとっており、さらに2018年4月1日から3年以内に2.3 %に上がることとなっています。そして今後は、さらに法定雇用率が上がることが予想されています。
これにより、各企業が雇用すべき障がい者の割合は年を追うごとに増加することとなり、障がい者の雇用機会がさらに広がるであろうと見込まれています。

「厚生労働省」障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要

法定雇用率のUPは、障害者にとっての追い風?

今回の法定雇用率アップに関して、一部メディアでは「企業は必ず精神障がい者を採用しなければならなくなった?」「精神障がい者に有利になる?」という誤解を招く表現がされています。

しかし正しくは、法定雇用率の算定式に精神障がい者が追加になっただけであり、精神障がい者の「雇用義務」が発生するわけではありません。
例えば極端な話として、社内に身体障がい者だけしかいなくても、法定雇用率を達成するということもありうるのです。

つまり、今回の法定雇用率アップで、企業が雇用する人数は増えますが、それにより有利になるのは精神障がい者だけではなく、本当は障がいの種類を問わず「企業が雇いたいと思う障がい者全員」なのです。

法定雇用率UPに対する企業の反応や対応は?

次に、今回の法定雇用率アップに伴い、障がい者総合研究所で企業に対して実施したアンケート調査を参考に、企業側の反応や対応をご紹介します。

まず、「2018年度4月時点で法定雇用率が2.2%になることは予想通りでしたか。」との問いに対し、従業員1000人以上(以下、大企業)、従業員1000人未満(以下、中小企業)の企業ともに90%以上が「予想通りだった」もしくは「予想よりも低かった」と回答しました。
この事から、企業としては想定内の引き上げ率であったことが分かります。

「2018年度4月時点で法定雇用率が2.2%になることは予想通りでしたか。」アンケート結果

しかし、「2018年4月1日の時点で2.2%の雇用率は達成できると思いますか?」との問いに対しては、大企業の83%が「達成できると思う」と回答している一方、中小企業では44%が「達成できると思わない」と回答しました。

つまり、2.2%の引き上げは想定していたものの、中小企業では実際に達成する見込みは立てられていない企業が多いことが分かります。

「2018年4月1日の時点で2.2%の雇用率は達成できると思いますか?」アンケート結果

ではなぜ、中小企業は達成する見込みが立てられていないのでしょうか。
以前、同じく障がい者総合研究所が実施したアンケート調査から、「現時点での御社の雇用率の目標を教えてください」という問いに対して、大企業の66%が、来年からの法定雇用率である2.2%以上を目標にして雇用していました。

一方、中小企業の39.6%は、現在の法定雇用率である2.0%目標まででしか雇用を進められていませんでした。

つまり、大企業はすでに今回の法定雇用率アップを見越した目標設定をしていたため、達成を見込める企業が多い一方、中小企業は今まで余裕を持った目標設定が出来ていなかったため、見込みが立てられていないことが伺えます。

「現時点での御社の雇用率の目標を教えてください」アンケート結果

良い方へ、変わっていく世の中の仕組み

いかがでしたでしょうか。少々複雑な「法定雇用率」ですが、仕組みをおわかりいただけましたでしょうか?法定雇用率の引き上げ件をみても、どんどん世の中が変わってきているということを感じますね。就職がしやすい環境になりつつあるからかこそ、入社してからの頑張りが見られるところだと思います。

就職はゴールではなく、スタートです。世の中の追い風に乗って、良いスタートを切れるといいですね。次回は法定雇用率上昇による転職市場のメリット・デメリットをキャリアアドバイザー目線から書いていきたいと思いますので、乞うご期待!


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ライター ヒラノオツボネ

これまで一貫して人材紹介会社にて健常者・障がい者の転職サポートに携わってきた人材一筋のオツボネ。ゼネラルパートナーズではキャリアアドバイザーとして身体障がいのある方のサポートを経験した後、精神障がいのある方のサポートに従事。現在はMedia116のライターとして仕事系記事を執筆中。

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公式HP
https://www.atgp.jp/

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