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【統合失調症】Sさん流、充実した人生を送るための「自分にあった階段選び」

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ライター:統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

皆さまこんにちは、統合失調症専門の就労移行支援「リドアーズ」の鈴木です。今回は8年ほど前に統合失調症となり、その後さまざまなリハビリを実践した結果、自分の仕事と家族、そして趣味まで手に入れたSさんの体験についてご紹介させて頂きます。

Sさんは言います。「階段の選び方こそが大切」と。

29歳。統合失調症を発症。

Sさんは新宿のホテルで5年程働いていました。仕事内容は宿泊予約受付です。主な仕事は電話応対と事務作業でした。この頃は、統合失調症も発症しておらず、一般就労として働いていました。

このときの仕事はシフト制で、9時から22時までの勤務。食生活の乱れもあり、どんどん不規則な生活になっていったと言います。
残業も多かったそうですが、ナントカ若さで乗り越える、そんな日々が続いていました。

そういった状況に追い討ちをかけたのが、職場の人間関係の悪化です。(今思えば、一番の病気の原因だったのでは、と。)

不眠に陥り・・・・とうとう29歳の時に統合失調症を発症。主な症状は被害妄想で、

「悪口を言われている」

「つけられている」

「監視されている」

「さとられ、人の目が気になる」

「自分は犯罪を犯していて警察に捕まってしまう」

等々。症状に耐えられなくなり、仕事を無断欠勤。その後、親に相談したところ、精神科を勧められ受診、病気の発覚につながりました。

リハビリで統合失調症が少し改善、復職したが・・・。

統合失調症が発覚した後に、薬による治療をすぐにスタートすることになりました。治療に伴い仕事は休職し実家へ帰ることに。実家でSさんは「本当に自分が病気なのか?」と思い、何冊も統合失調症の本を読んでいました。

やがてSさんは自身が統合失調症であることを自覚をすると、計り知れない恐怖と大きな不安感に襲われ、その後何か月もそれに耐えるだけの生活を送ることになったといいます。

あせりや大きな不安が常に頭の中を先行していて、なにもできない。うつ症状もでました。お風呂もろくに入ることができなくなり、食事、寝るだけの生活を繰り返していた。でも、処方されていた薬だけは飲み続けました。

その後、クリニックに通い出し生活も少し改善。このタイミングで復職しましたが、1日数時間働いただけで2~3日寝込む、といった状態。復職は失敗でした。



とにかく疲れ、集中力もまったく続かない、、、、仕事に耐えるだけの準備ができていない状況で復職してしまったのです。Sさんは「これではだめだ」と思い、退職してリハビリに専念することとしました。

2回目のリハビリ。2年間じっくりと取り組んだ結果・・・。

退職してからの約2年間、今度はじっくりとリハビリに専念します。
まずは自分の病気・自分自身を理解するため、統合失調症の書籍を読んだり、他者から教わったり、自己分析をすることを実行します。

同時にデイケアも利用し始めます。体力をつけるため、デイケアの行き帰りには1日1時間歩きました。そして最初は週3回1日4時間だったデイケアの利用時間も徐々に増やし、最終的にはほぼ毎日8時間利用するまでになりました。

他にも様々なリハビリのプログラムにも参加するなど、とにかく色々なことを続けるうちに、体力・気力・精神力が自然とついてきたそうです。

「なんでもできる。何をしても怖くない」 Sさんの中にそんな気持ちが芽生えてきました。

「次のステップに上がれる準備ができた」と実感した瞬間だった、と言います。そしてリハビリ期間中に就職活動を行い、Sさんはまもなく就職に成功します。



就職し、安定して仕事が出来るように。

就職後、Sさんは人事に配属されました。仕事自体は最初こそ順調だったそうですが、人間関係をはじめ苦労も色々あるそうです。結構、追い詰められた時期もあり、残業も多かったとのことですが、しっかりとリハビリをしていたおかげで自分を見失わずに乗り越えることが出来ました。

その後、転勤が決まりました。転職先では人間関係も良好で、安定して仕事が出来るようになりました。現在は正社員で一般就労の方と変わらない仕事をしている状況です。今後は資格を取得したり新しいスキルを身につけたりする予定とのこと。

Sさんは今「新しいステップに上る段階だ」と思っているそうです。

誰しも自分に合った階段がある ~Sさん流の人生の登り方とは?~

Sさんは、人生を「階段を上る」イメージに例えています。「人生の階段」のタイプは大きく3種類。登りきったところがゴール、つまり目標です。



1番:一段ごとの段差が激しく、段数が少ない階段 → 気合・根性がある人が適している
2番:普通の階段 → バランスが良い人が適している
3番:一段ごとの段差が低く、多くの段数がある階段 → じっくり・地道な人が適している

大切なのは、「自分にとってどのタイプの階段が適しているか」きちんと見極めて選ぶこと。Sさん自身も、特に人生で失敗が多い、失敗する度にひどく落ち込む、といった事がよく起きている時は、間違った階段を選んで、無理して上ろうとした結果、失敗していたことが多かったといいます。心当たりのある方は要注意、階段を選びなおした方が良いかもしれません。

Sさんが、自分にあった階段を選ぶためにまず始めたこと。それは自分の病気や自分を良く知ることでした。病気の本を読んだり、仲間に教わったり、自己分析したり。。。そうして、自分自身がどんなタイプで障がいによりどんな特性があるのか、を把握したことで自分の階段を見つけました。

また、途中の階段の変更もしています。上述したように、「失敗が多い・失敗するたびに落ち込む」等が起きた時は、無理をせずより簡単でゆるやかな階段へ変更していったそうです。

例えば、「最初にうつ病を発症後、十分なリハビリ期間をおかずに復職をして、結果失敗したこと」。この経験により、「より確実に上れる階段」に選び直しました。会社を辞め、しっかりと自己分析を行い、少しずつデイケアの利用時間を増やしながら、復職を目指しました。一足飛びに階段を乗り越えようとせず、着実に少しずつ階段を上っていくことを選択し直したのです。結果、就職も成功し安定的に就業出来るようになりました。



こうした自己分析とトライ&エラーを繰り返すことで、自分にあった階段を選べるようになり、階段を上がるのに成功するたびに、どんどん自信がついていった、といいます。
そうして自信が出てきたら、より段差が高い、難しい階段にチャレンジしてもよいかもしれません。

Sさん流「目標を達成するための階段の設定方法」

この階段のイメージを使い、どのように人生をステップアップさせ目標を達成していくのか、Sさんには自分流の目標達成の方法があるといいます。

1) まず、階段を書きます。そして一番上に目標=ゴールを書きます。
(私が設定した目標は「仕事を長く続ける」でした。)
2) そして一つ下に目標より少し簡単な目標を書きます。(私の場合は「就職をする」でした。)
3) さらにその下の階段にはより手前の目標を。(私は「就職活動をする」)

さらには、「自分に合った職種・業種を選ぶ」「出来る事を極める、または増やす。」「リハビリ」「自己分析(自分にあった階段を見つける)」「処方されている薬を毎日必ず飲む」といった形で段階的な目標を階段に書いていきました。



階段を上っていく上で、個人的に注意していることが2点ありました。

注意1)基本的に階段をとばすことはしない。
注意2)目標達成のために最低1日30分以上は時間を費やし、徐々に時間を増やす。

決して無理はせず、その代わりしっかり継続することが大切だと考えています。

Sさんが実際に設定した階段は上述した例よりもっと多い段数の階段だったそうで、特にリハビリの期間はさらに細分化して、かなりの時間を費やして階段を上っていったそうです。

結婚、子育て、趣味・・・充実した日々を送る毎日

Sさんの現在の趣味はバンド、ベースを演奏しています。仕事をしながら毎朝30分以上練習しているそうで、昔では考えられなかったとのこと。
さらに3年前には結婚し子供も出来ました。
「生まれるまでの時間は、本当に忘れられない思い出です。妻に感謝しています。」
おむつを取り替えたり、ごはんあげたり、散歩につれていったり。。。試行錯誤しながらの子育ては本当に楽しい、イクメンになっているとのこと。



仕事、子育て、趣味・・・本当に忙しい毎日、でも日々幸せを噛み締めています。自分の階段を少しづつ着実に上ることで「体力・気力・精神力」を身につけたからこそこうした生活が出来ている、とのことです。

自分にあった階段探し---初めてみてはいかがですか?

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ライター 統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

統合失調症のある方向けの就職支援サービス。統合失調症がある方の就職や安定就労のためのノウハウなど、統合失調症に関するさまざまな情報を発信していきます。

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http://www.redoors.jp/

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