アイナビを体験してみた!視覚障がい者の歩行をサポートするアプリの魅力とは?
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ライター:榎戸篤(えのきど)
2023年4月、視覚障がい者の歩行をサポートしてくれる iPhone用アプリ「Eye Navi(アイナビ)」がリリースされました。
基本的な使用料が無料にも関わらず、これ1つで
・信号の色を教えてくれる
・障害物を教えてくれる
・周りのお店や施設の情報も教えてくれる
と話題になっています。
そこで今回は、
・アイナビとは?
・アイナビのメリット・デメリット
・アイナビ体験レポート
を書かせてもらいます!
ぜひご覧ください。
視覚障がい者向け歩行支援アプリEye Navi(アイナビ)とは?
まずアイナビの説明から。
Eye Navi(アイナビ)とは、視覚障がい者の歩行をサポートしてくれるiPhone用のスマートフォンアプリです。
北九州市のベンチャー企業コンピュータサイエンス研究所が開発し、2023年4月にリリースされました。
アイナビの起動画面
機能としては、
①目的地までの経路を音声で教えてくれる
②障害物、信号の色、点字ブロックなどを音声で教えてくれる
③周辺の施設、店舗の情報を音声で教えてくれる
④歩行時の映像を自動で保存してくれる
⑤事故にあった時の記録を保存できる歩行レコーダー機能がある
などがあります(2023年6月現在)
基本使用料は無料(通信費などは別)で、iPhoneのみで利用できます。
Eye Navi(アイナビ)のメリット・デメリットは?
では、アイナビにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
僕が感じたことを書かせてもらいます。
<アイナビのメリット>
・基本的な使用料が無料
・1つのアプリでたくさんの機能を使える
・iPhoneだけあれば利用できるので、準備がラク(iPhoneを固定するための専用ストラップとの併用がオススメです!)
・横断歩道や信号の色などを高い精度で教えてくれる
・周囲の施設や店を教えてくれるので、お散歩を楽しめる
・自分のニーズに合わせ、教えてほしい障害物を選択できる
・自分の興味にあわせ、教えてほしい施設や店を選択できる
<アイナビのデメリット>
・GPSが届かない場所での道案内が難しい
・曲がる位置、施設・店を教えてくれるタイミングに誤差がある場合もある
・自分が向いている方向とナビが示す方向が違うことがある。ただ、これは修正できる機能があるようです(詳細はHPなどをご覧ください)
・店や施設の入り口をピンポイントで指し示すことが難しい
などがあると思います。
※あくまで2023年6月現在のものであり、どの課題も解決に向け開発が進められています。
アイナビ、体験してみた!
実際にアイナビを体験してみました。
アイナビは目的地まで案内してくれる「道案内機能」と、周りの情報を教えてくれる「お散歩機能」があります。今回は「お散歩機能」を使い、アイナビの広報などを担当するダイヤル・サービス株式会社本社(東京都千代田区)の周りを歩きました。
アイナビには「道案内機能」と「お散歩機能」がある
iPhoneの背面カメラを使うため、まずは専用のストラップを首から下げます。
「本当に音声で教えてくれるのか?」
と思っていると・・・
iPhoneから「点字ブロック」のアナウンスが。たしかに数歩前に出ると点字ブロックがありました!
そのまま歩いていくと、今度は自転車の駐輪場に。
すると、「自転車!」「自転車!」のアナウンスが。
走っている自転車がすれ違う時も「自転車!」と教えてくれました。
点字ブロックや自転車、車などについては、高確率で教えてくれる感覚なので、探したり、注意をする手助けになりそうだなと感じました。
そのまま進み、信号へ。
すると・・・
「横断歩道」「信号 赤」のアナウンスが。
そして信号の色が変わると、「信号 青」としっかり教えてくれました。
信号付近では存在だけでなく色も教えてくれました
時間帯や信号までの距離によって精度が変わるそうですが、僕が使った昼間はかなり高い確率で教えてくれました。
どの方向に障害物があるかまでは教えてくれなかったり、実際には目の前にないものも言ったりすることもありますが、このように危険度やニーズの高いであろう物に関しては、ある程度正確に教えてくれる印象ですね。
そのまま歩き、人通りの多い場所に差しかかると、アイナビが「人、人、人」と物凄い勢いで連呼し始めました。
僕は「え!ちょっといい子だから、おとなしくして!」と思うように。
「人」しか言わなくなってしまいました。
「どうしよう・・・」と思っていると、なんとアイナビは何を教えてほしいかを選択できるとのこと。
「人」をよまない設定にすると、元通り快適に歩けるようになりました。
何を認識するか、しないかを選択することもできる!
「人」の情報は、あまり通行人がいない地域で誰かの手助けが必要な時に有効とのことです。
ほしい情報は使う人やその時々で変わりますよね。
そのため、自分で選択できるのは便利だなと感じます。
そのまま歩いて行くと、「ミニストップが3時の方向」と教えてくれました。
その後も「12時の方向にスターバックス」「3時の方向に郵便局」とアナウンスしてくれました。
たしかに誤差は若干あります。
ただ、僕らは目的地を目指すことで精一杯で、普段なかなか途中にあるものまでわかっていないことが多いと改めて感じました。
「街はメディアだ」と聞いたことがあります。
街の中には、人をワクワクさせる情報、興味を引くこと、話題にできることが詰まっています。
僕らはそれをキャッチしにくい。
しかしこのアイナビを使えばそれがわかり、街が「ただの歩く道」から「メディア」に変わる、僕はそう感じました。
そのようなアイナビ、みなさんも一度試してみてはいかがでしょうか?
※写真:取材を受けていただいたダイヤル・サービス株式会社のご担当者(左から笠原愛さん、佐藤康弘さん、川田隆一さん)
▼アイナビ ホームページ
https://eyenavi.jp/
▼アイナビ ダウンロードページ
https://apps.apple.com/jp/app/id6446274102
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ライター 榎戸篤(えのきど)
テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターとして活動する視覚障がい当事者。3歳の時、保育園で転んで怪我をし、弱視に。視力は左0.06、右0。 障がい当事者ら向けの旅行サイト「COTRAVEL」などで執筆中。 https://www.cotravel.jp/mypage/5e9438bd76fc4/ 記事のご感想などありましたら、こちらにいただけると有難いです。 uj092021@yahoo.co.jp 記事は、ひとつひとつを丁寧に、懸命に、心をこめて・・・書かせていただきます!
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