一つじゃない ~Ride the cultural wave!(文化の波に乗れ!)~
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ライター:風来坊
障害があると、移動や生活にお金がかかることも。でも実は、障害者手帳を使えば、映画館や博物館、美術館などをおトクに楽しめる「障害者割引」があるんです。
この仕組み、誰がどうやって支えているか知っていますか?
この記事では、法律の考え方や実際に利用できる施設をやさしく紹介しながら、「文化を楽しむこと」の大切さをわかりやすくお伝えします。
~障害者基本法 第1条(1970年)~
この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に則り、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(昭和四十五年法律第八十四号)
日本では、1970年には既に「障害があってもなくても同じ町で過ごせる国にしよう」という法律を作っていたのです。
実は、1900年の日本では「精神病者監護法」という「精神障がい者を外に出させない」という酷い法律があったのです。
日本は「精神病者監護法」が酷い法律だと思ったからこそ、障がい者の社会参加を後押しする「障害者差別解消法」を作ったのです。
社会参加ってなに?
障害者基本法には「障害があっても働ける世の中にしよう」という目的もあります。
昔の日本では、障がい者が学校を卒業しても家にいるしかない時代がありました。
しかし、障害者基本法によって「障害があって不自由なこともあるけれど働きたい」という障害がある人の社会参加の後押しをする法律が出来たのです。
社会参加は働くだけではありません。
障害がある人は、通院などでお金がかかることがあります。
ですから、障害がある人が、障害がない人と同じ給料をもらっても使えるお金が少ないこともあります。
お金が少ないと、障害がない人がしているいろんな体験ができないこともあります。
そうしたお金の心配な部分を助けてくれるものの一つに「障害者割引」というものがあるのです。
障害者割引ってなに?
障害者割引と聞くと「公共交通機関」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
電車やバスを利用する際に、障がい者手帳を提示するとお得になるアレです。
障害者割引は、公共交通機関の運賃割引だけではなく、様々な場所で提供しているのです。
例えば、テーマパークの入場料、美術館の入館料、映画館のチケット代、携帯電話料金、食堂での飲食代金などがあります。
私は、プールをお得に利用させてもらって、リハビリをしたこともあります。
このように障害者割引を利用することで、障害がない人よりお金のことで心配事がある障害のある人でも、障害がない人と同じように様々な体験ができるのです。
つまり、障害者割引を利用することで、いろんな文化を吸収できるのです。
障害者割引のお金は誰が負担しているの?
博物館で障害者手帳を提示したところ550円の入館料が無料になりました。
この550円は誰が負担しているのでしょうか。
答えは「市」です。
私が利用した博物館は市営なので市が負担しています。
では、JRの電車の割引は誰が負担しているのでしょうか。
答えは「JR」です。
JRは、昔は国鉄と言う名前で国が運営していたのですが、今はJRという民間企業が運営しています。
しかし、国鉄時代に行っていた障害者割引を、現代のJRでも提供し続けているので、現在のJRの障害者割引はJRが負担しているのです。
企業は障害者割引をして損しないの?
行政が運営している施設での障害者割引の費用は行政が負担しています。
しかし、民間企業が運営している施設では民間企業が負担することもあります。
鉄道会社の人の中には「障害者割引は他のお客さんの負担になるのでやりたくない」と話す人もいます。
つまり、民間企業の中には障害者割引を「やりたくない」と思っている人もいるみたいです。
でも、障害がある人が障害者割引を使って、楽しい気持ちになって仕事を頑張ったらどうでしょうか。
障害がある人も頑張って働いて税金を納めたら、日本の収入になるのです。
障害がある人が、ご飯を食べたり、買い物をしたら、いろんなお店の収入になるのです。
そう考えると、障害者割引は企業が損をするだけではないのかも。
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ライター 風来坊
東北の片田舎在住のアラフォー。 児童虐待、いじめ、パワハラ、自傷による措置入院を経験。 田舎では福祉に偏りがあると考え30代から大学で福祉を学ぶ。 数年前には事故で利き手が不自由になり、現在はリハビリを兼ねた趣味(プラモデル、ニードルフェルト、UVレジン)に没頭中。 いつか全ての人が楽しめる駄菓子屋を開きたい。
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