一つじゃない ~障がい者は戦力外?~
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ライター:風来坊
日本は労働力が足りない
2024年9月、M県は労働力不足を理由とした「外国人労働者推進」を実現するためにインドネシアで「Mジョブフェアinインドネシア」を開催。
M県の目的は
「日本語講座、資格取得補助、コンサル支援、パーティの支援を行うので一般企業の皆さん一緒にインドネシアに行って働く人を見付けましょう。」
というものだったみたいです。
ふむふむ、M県は日本国内で労働力を見付けられないという判断なのでしょう。
は?
M県は本当に県内に目を向けてる?
一つじゃない ~障がい者は戦力外?~
動画も作ってみました。
漫画版はこちらから↓
カウントされない労働力
障害者基本法では、「働きたい」と考えている障がい者を県や地方公共団体が支援すると決まっています。
では、M県庁の障害者雇用の実態を見てみましょう。
障害者手帳保持職員170.5人/総職員数5,449.5人
→ 障がい者雇用率3.13%(法定雇用率2.8%)
一見、障がい者雇用が進んでいるように見えますね。
では、M県の令和4~6年の採用状況を見てみましょう。
~令和4年 障害者を対象としたM県職員採用選考考査~
一般事務(大学卒業程度)採用予定数3人→合格者1人
学校事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者1人
警察事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者-
一般事務(高等学校卒業程度)採用予定数2人→合格者1人
学校事務(高等学校卒業程度)採用予定数1人→合格者0人
~令和5年 障害者を対象としたM県職員採用選考考査~
一般事務(大学卒業程度)採用予定数3人→合格者0人
学校事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者0人
警察事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者1人
一般事務(高等学校卒業程度)採用予定数2人→合格者1人
学校事務(高等学校卒業程度)採用予定数1人→合格者0人
~令和6年 障害者を対象としたM県職員採用選考考査~
一般事務(大学卒業程度)採用予定数3人→合格者1人
学校事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者0人
警察事務(短期大学卒業程度)採用予定数1人→合格者1人
一般事務(高等学校卒業程度)採用予定数2人→合格者1人
学校事務(高等学校卒業程度)採用予定数1人→合格者0人
…あれ?
M県は、障害者雇用率を守ってるはずなのに、なんで、毎年、採用予定数より合格者が少ないの?
というわけでM県にインタビューすると…
「受験者の試験結果が採用基準を満たさなかったから」
とのこと。
つまり、M県は受験者のテストの点数が低いので障害者雇用をしなかったと言っているのです。
…ん?
ちょっと待って。
では、M県は、インドネシア、台湾、ベトナムからの労働力の誘致をしているけど、それらの国の人達は、全員M県の想定を上回る優秀な人達で即戦力なのかな?
違くない?
外国の人達は、言葉や文化の違いがあるので日本で働いてもらうためには覚えてもらうことが沢山あるから県が税金を投入して「日本語講座、資格取得補助、コンサル支援、パーティの支援を行う」って言ってるんだよね?
それって労働力として働いてもらうには、ひと手間かかるのでは?
同じひと手間必要なら、日本語や文化の勉強がいらない日本にいる障がい者に働いてもらった方が良くない?
M県は、どうして障がい者を労働力として見ないのかな?
M県の障がい者雇用の実態
M県全体の障害者雇用率は
2.39%(全国平均2.41%) 39位/47都道府県(2024年)
とかなり悪い数値を出しています。
M県庁自体が障がい者の採用に後ろ向きなんですもの、民間企業だって障がい者を雇用しようとは思わないのは当然かも。
因みに、M県の総人口は 14位/47都道府県(2020年)
と上位なので、人数の問題と言うよりM県自体が…
特に障害者雇用に後ろ向きな地域
と言えます。
だから、M県は、働きたい障がい者に働いてもらう支援をおざなりにして、外国人労働者の誘致に一生懸命に税金を投入しているんでしょうね。
…は?
なんで日本人が日本で働けないの?
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ライター 風来坊
東北の片田舎在住のアラフォー。 児童虐待、いじめ、パワハラ、自傷による措置入院を経験。 田舎では福祉に偏りがあると考え30代から大学で福祉を学ぶ。 数年前には事故で利き手が不自由になり、現在はリハビリを兼ねた趣味(プラモデル、ニードルフェルト、UVレジン)に没頭中。 いつか全ての人が楽しめる駄菓子屋を開きたい。
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