一つじゃない　～障がい者用駐車場は誰のもの？～

ライター：風来坊

街でよく見かける、車いすマークのついた「障害者用駐車スペース」。
でも実際、誰が使えるの？どんな基準で作られているの？　
なんとなく知っているようで、意外と知られていないこのスペースには、法律で定められた大切な意味があります。
今回は、身近だけど奥が深い「障害者用駐車場」の仕組みと、本来の目的をやさしく紹介します

障害者用駐車場ってなに？

＜某イベントの障害者用駐車場＞

自衛隊は、毎年開催している航空ショーにおいて、障害者用駐車場を設置しています。
障害者用駐車場は、基地内に設置されるため、航空ショーの観覧会場に近く、道も整備されており、移動に不安を抱えている人でも、移動が容易になるように配慮がされていました。

しかし、今年の航空ショーは違いました。

例年は正門から入れたのですが、今年は正門とは正反対の出入口から入場することになっていました。
当然、障害者用駐車場も変更され、それは観覧会場まで1ｋｍ程の遠方、且つ、割れたアスファルトから草が生い茂る悪路で、移動に不安を抱える人の航空ショーへの参加を拒むかのような場所に設置されていました。

実際に、杖を利用している我が家の高齢者は、あまりの悪路に途中で航空ショーの観覧を諦めて帰ってしまいました。
更に、この航空ショーは真夏の開催なので道端に体調不良で座り込む人々が多数いました。
私は
「自衛隊は、なぜ、こんな僻地に障害者用駐車場を設置したのだろう…」
と疑問を抱きましたが、その答えは直ぐに分かりました。

どうやら、自衛隊は国会議員を招待し、正門を国会議員用に設定したもよう。
つまり、自衛隊は障がい者より国会議員を優遇することを正しいと考えていたようです。
　
まぁ、政治家に媚を売る方が予算に直結しやすいので、自衛隊の政治家優遇は当然と言えば当然ではありますが…それでは誰のための障害者用駐車場なのでしょうね。

＜障害者用駐車場とは＞

様々な施設の駐車場の一角で、車椅子のアイコンが描かれた障害者用駐車場を見ることができます。
このスペースの正式名称は「車椅子使用者用駐車施設」というものですが、国土交通省は、その利用対象者を

車いす使用者だけでなく、身体の機能上の制限を受ける高齢者・障害者等
と設定しています。

また、障がい者や高齢者等の円滑な施設利用の確保を目的としたバリアフリー法（高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律）では、車椅子使用者用駐車施設の設置要件として…
・幅3.5ｍ以上の確保
・施設の出入口付近に設置
・車椅子シンボルマークの表示
等が定められています

つまり、自衛隊が、航空ショーの観覧会場から1ｋｍ程離れた悪路に設置した障害者用駐車場は、法に反しているのです。

＜それでも自衛隊は悪くない＞

自衛隊が、今年の航空ショーの開催にあたり設置した“障害者用駐車場”が法に則したものでないことは、先に説明した通りです。
しかし、自衛隊は悪くないのです。
なぜなら…障害者用駐車場の設置は自衛隊の善意だから。

自衛隊は「国民の理解を得るため」という理由で、年に一度、基地の一部を開放し、航空ショーを行っています。
つまり、このイベントは自衛隊の本来の業務ではなく、単なるサービスなので、障害者用駐車場を用意しようが、しまいが、自衛隊の自由なのです。
ですから、法に反した障害者用駐車場を設置したところで自衛隊は悪くないのです。

まぁ、障害者用駐車場と言われて入ってみたら
「全然、障がい者用じゃないじゃん！」
とは思いましたが、それでも自衛隊は悪くないのです。

しかし、国会議員を優先し、障がい者を僻地に追いやって、国民の理解を得られるのかなぁ…。