復職に役立つ生活記録表のメリットとは?書き方を経験者が解説
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ライター:村木タカト
うつ病や適応障害の急性期を抜けると、復職について考える人が多いです。しかし、どのように過ごせばいいのか悩んでいませんか?
その時は「生活記録表」をつけるのがおすすめです。
生活記録表とは、日々の体調や1日の過ごし方、気分などを書き込めるシートのことです。
筆者も生活記録表を利用して復職した経験があり、産業医や会社との面談で大変役立ちました。
この記事では、生活記録表をつけるメリットや、書き方、筆者が行っていたことを解説します。
最後に、生活記録表をダウンロードできるサイトを掲載します。これから復職を考えている人は、ぜひお読みください。
※体調が良くない時や病気が悪化する場合は、無理をせず療養に専念してください。
生活記録表をつける2つのメリット
生活記録表をつけるメリットは、主に2つあります。
● 生活習慣の乱れに自分で対策できる
産業医・会社への復職判断の材料になる
復職前は、産業医や会社と面談を行う必要があります。その際、「休職期間中にどのような生活を送っていたか」と質問されることがあります。しかし、数ヶ月間の生活を言葉だけで説明するのは、簡単なことではありません。
生活記録表をつけると、面談時に自分がどのように復職に向けて努力してきたかを客観的に説明できます。
また、産業医や人事担当者も、生活記録表があることであなたの状況を把握しやすくなり、復職判断の材料になります。言葉で説明するのが苦手な人でも、生活記録表を提出するだけで、自分の状況を十分に伝えることも可能です。
生活習慣の乱れに自分で対策できる
たとえ休職中でも、生活リズムが乱れることは多いです。生活記録表を書くことで、生活リズムが乱れる原因について深く考えることができ、対策もしやすくなります。例えば、以下の例があります。
●夜に激しい運動して眠れない
●就寝前にご飯を食べてしまい睡眠が浅い
上記は、筆者が休職中に生活リズムが乱れた原因の一例です。自分で原因がわかると、自然と対策をとりやすいです。
例えば、昼間に起きてしまい夜眠れない場合は「朝に起きて、太陽の光を浴びる」といった対策ができます。
生活記録表の書き方
生活記録表の書き方は、明確な決まりはなく、病院やリワーク施設によって変わります。今回は、Webマガジン「リヴァマガ」に掲載されている生活記録表を参考に解説します。
生活記録表の書き方は以下の6つです。
●1日の行動を記入する
●調子・気分がよくなった行動や気になることを記入する
●1日の疲労度・意欲・活動量を記録する
●1週間の振り返りする
●主治医に質問する内容をまとめる
睡眠の量と質を記入する
はじめに、前日の睡眠時間と質を記入しましょう。睡眠時間を記入することで、自分に必要な睡眠時間が次第にわかるようになります。睡眠の質は「良」「普」「悪」の3つで自己判断します。
睡眠時間が十分なのに、質が良くない場合は、寝る前に飲食していないか、ベッドの中でスマホを使っていないかなど、睡眠の質を下げる行動をしていないか振り返りましょう。
最初はうまくいかなくても、1つずつ対策すると徐々に睡眠の質も改善します。
1日の行動を記入する
次に、1日の行動を記入しましょう。生活記録表は1時間おきに表で区切られています。例えば、14〜16時の間に図書館に行った場合は、14〜16時の間をマーカーやボールペンで塗り、下の空欄に「図書館」と記入します。
起床や服薬、入浴などの1日の決まった行動も記入しましょう。「★」「●」などの記号を使うと記入時間を短縮できます。
調子・気分がよくなった行動や気になることを記入する
生活記録表の右側の欄は、1日で調子や気分が良くなったことを記入しましょう。例えば「朝にカーテンを開けて、朝日を浴びたら気持ちよかった」や「昼に30分散歩したら、夜は良く眠れた」など、小さなことでも構いません。
また、復職までの期間に気になったことも書いておきましょう。主治医や病院のスタッフに相談することで、生活改善のヒントが得られるかもしれません。
1日の疲労度・意欲・活動量を記録する
1日の疲労度・意欲・活動量を1〜5段階で自己評価します。記録を続けることで、自分がどのくらい回復してきたのかを一目で確認できます。また、調子が悪くなる時などの目安にも使用可能です。
1週間の振り返りをする
1週間が経ったら、生活の振り返りをします。具体的には記録を見返して、良かった点や悪かった点を書き出してみましょう。書き出していくうちに、「次はこうしてみよう」といった改善策も見えてくるため、モチベーションアップにもつながります。
主治医に質問する内容をまとめる
生活記録表を見返し、主治医に質問したいことがあれば、事前にまとめておきましょう。いざ診察が始まると、緊張したり話がそれたりして、聞きたかったことを忘れてしまうことはよくあります。
診察後に「あれも聞けばよかった」と後悔しないためにも、診察前に事前に質問したいことを書き出しておきましょう。
私がやっていたことは小さな目標を立てること
私が通っていた医療リワークの生活記録表には、タイムスケジュールや疲労度の他に、目標設定がありました。
生活記録表の目標設定は、会社で掲げるような大きなものではありません。1日でできる小さな目標です。
例えば、私は以下の目標を立てていました。
●毎朝起きたらカーテンを開ける
●お風呂で湯船に浸かる
自分が立てた目標に対し、出来たら「◯」、出来なかったら「×」をつけていました。
一週間の終わりに、並んだ「◯」の数を見ると、今週も頑張ったなと自分の努力を実感できます。
継続が自信になる
筆者は、うつ病になった時「自分は何もできない人間なんだ」と落ち込みました。
しかし、生活記録表で目標を立て、継続をすることで「今日もできた」という小さな成功体験が得られます。この小さな成功体験がやがて自信に変化します。
健常者から見ると、家の掃除や湯船に入ることは当たり前のことかもしれません。しかし、休職者からすると病気が回復している証拠にもなります。
もし、小さな目標を立ててもうまくいかない場合は、さらに目標を小さくしましょう。
生活記録表をつけて自分を深く知ろう
本記事では、生活記録表のメリットと私が実践していた方法について紹介しました。生活記録表は、産業医や会社の担当者にも自分の状況を説明しやすくなり、客観的な復職判断の材料になるというメリットがあります。
また、自分の生活の振り返りにも役立ち、体調が悪くなった原因にも気付けるでしょう。
生活記録表の書き方に決まりはありませんが、目標を立てて継続すると、小さな成功体験が得られ、自信につながります。1日5分の掃除や寝る前の読書など、無理のない範囲から始めましょう。
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ライター 村木タカト
14年間製造業に従事するが、うつ病や適応障害で3度休職。27歳のときには、発達障害(ADHD/ASDグレーゾーン)と診断され、精神病や心理学の世界に興味を持った。 現在は、うつ病の経験や復職の体験談などを活かし、メンタルライターとして活動中。 2021年から副業でライター業を始め、SEO記事やインタビュー記事など幅広く執筆している。
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