使ってみて! 聴覚障がい者におすすめのアプリ“UDトーク”
この記事を共有
ライター:聴覚障がいの方向けサービス いそひと
スマートフォンやタブレットの普及で、便利なアプリが手軽にダウンロードできるようになりました。IT技術の進化で障がい者向けのアプリも数、使い勝手ともに充実しつつあります。
今回は、聴覚障がい向けアプリのなかからオススメをひとつご紹介します。
“UDトーク”というアプリをご存知ですか? 1対1の会話から、多人数のミーティングや会議まで、様々な人とコミュニケーションをとるのに活用が出来るうえ、(※1)個人ダウンロードは無料(法人プランは有料あり)。どのアプリを使おうか迷っている方はもちろん、聴覚障がい者との会話にもどかしさを感じたことのある健聴者(=聴覚に障がいのない方)にも、ぜひ一度は使ってみてほしいアプリです。
※1:個人でも利用可能な法人向けプランがあります。このプランを利用すると、より制度の高いサーバーを利用でき、時間制限がなくなります。
“UDトーク”は会話の見える化アプリ
UDトークは簡単に言うと、聴覚障がいのある人との「会話の共有」がリアルタイムにできるアプリです。いったいどうやって「会話」していくのでしょうか。
発言の仕方は「音声」「キーボード」「手書き」の3種類。
「タップして話す」のマイクを押して話すと、音声認識ソフトが話した内容を自動的にテキスト化します。
「キーボードで入力」をタップすると、キーボードが出て入力ができます。
「手書きで入力」のえんぴつをタップすると、画面に罫線が出てくるのでそれにそって指で文字を書き、送信ボタンを押せばOK。
実際に使ってみるとわかるのですが、とにかく操作が簡単! スマートフォンやタブレット端末の扱いに慣れた人なら、説明がなくても感覚的に使えるはずです。キーボードに慣れていない人には手書きで入力できるのも嬉しいところ。
音声からの日本語変換は素早いうえに精度は高め。もちろん、発音の明瞭さによるところは大きいので、多少の誤変換はお許しを。キーボード入力であとから修正するのも簡単です。注目すべきはUDトークの辞書機能はクラウドで管理されていて登録単語が多く、人名や固有名詞などの情報更新も簡単にできるということ。日本語変換の際のストレスが少なく、今後多くの人が使うことで、いっそう使いやすくなっていくのです。
UDトークの詳しい使い方はこちら
日常会話から講演会、会議まで利用範囲は大
さて、このアプリ。どんなシーンで役立つかと言うと……。
まずは「1人で使う」場合。「話す」「キーボード入力」「手書き」のどれかを使って、伝えたいことを文字化し、その画面を相手に見せればOK。健聴者が、聴覚障がい者と話したいときに、スマホにこのアプリを入れてあれば、オンタイムに「会話」できます。また、聴覚障がい者側から、相手にUDトークを差し出して話してもらう使い方もできます。筆談してもらうのに遠慮がある、という人にも向いているかもしれません。
1対1の会話で便利に使えるのはもちろん、講演会で使えば、アプリ画面をプロジェクターに映すことで字幕として使えます。障がいの有無に関係なく、大勢の人と講演内容が共有できます。学校などで講師や先生にUDトークに向かって話してもらい、授業を受けるといった使い方もできそうです。
複数でトークするときは、「トークを公開する」をタップするとQRコードが作られます。一緒に会話する人には「トークに参加する」をタップして作ったQRコードを読み込んでもらいます。これで参加者がそれぞれに「音声」「キーボード」「手書き」の好きな方法で発言できるようになり、各自の発言がオンタイムに画面上でテキスト共有されます。
画面上の発言は、保存も可能。実はこの機能、会社での会議の議事録作成にも非常に便利(法人での利用は法人向けプランの契約が必要)。まさにユニバーサルデザイン、だれもが使って便利なアプリなのです。
聴覚障がい者と健聴者をつなぐスタンダードツールに
聴覚障がい者向けの就職支援サービス「いそひと」では、ITツール研修にUDトークを使っています。導入の思いを「いそひと」責任者の戸田さんはこのように語ります。
「健聴者と聴覚障がい者をつなぐ手段の一つとなるITツールを探していたところ、UDトークを見つけました。当施設に見学に来られた方も『こんな便利なものがあったのか!』と驚かれます。手話や特別なスキルがなければコミュニケーションが取れないと思っている方は多いと思いますが、そうではないんですよ。」
インタビューの様子
「特別なスキル」がなくても、聴覚障がい者と健聴者の「会話」がどこでも可能になり、これまで課題だった情報共有がこんなにも簡単になる。アプリの秘めた可能性は無限大です。今後、障がい者雇用に取り組む企業でUDトークが導入されることも期待されます。
全ての聴覚障がい者にとって、伝える手段を多く持つにこしたことはありません。個人の障がいの状況やニーズに応じて、補聴器、手話、筆談、読話、音声認識など複数の手段をもち、組み合わせて使うことが理想ですね。
この記事を共有
ライター 聴覚障がいの方向けサービス いそひと
聴覚障がいの方向けの就職支援サービス。聴覚障がいがある方が就職を実現し、安定的に就労するためのさまざまなノウハウなど、聴覚障がいに関する情報を発信していきます。
- ランチタイムにストレスマネジメント講座~1日目 ストレスって何?~
- 「バリアフリー住宅へのリフォームはオールフラット化でOK」・・・ちょっと待った!トイレ・お風呂・洗面所など、実は水周りの改善こそが重要ポイント!
おすすめ記事
-
2024年10月11日
年越しスリランカ旅byチョイノリ
-
2024年8月30日
一つじゃない 第22回
-
2024年8月9日
年越しスリランカ旅byチョイノリ
-
2024年7月24日
一つじゃない 第21回
-
2024年7月19日
脳性まひのある私が、重度訪問介護の利用で一人暮らしをして、はじめてコンビニに行った話
-
2024年7月4日
一つじゃない 第20回
-
2024年6月25日
インドの食文化と日常生活
-
2024年6月4日
山梨県から届いた嬉しいニュース!「難病者の働く」が世の働き方を変える
-
2024年5月10日
インド旅の1日紹介
-
2024年3月22日
「見えない障害」を伝えるために、当事者の声を冊子にする言語聴覚士・多田紀子さん
-
2024年2月16日
趣味も美容も仕事も「やりたいことを犠牲にしない」。当事者に聞いたセルフ透析のメリットとは
-
2024年2月9日
フィンランド大使館主催の映画『ブラインドマン』上映記念レセプションに参加しました
-
2024年2月1日
障害者は単独行動しないもの? 時代遅れの鉄道の障害者割引