- Media116
- その他
- 補装具(車椅子/補聴器など)
- 再歩行を目指す脊髄損傷者専門トレーニングジムJ-Workout株式会社。~脊損患者に希望の光~
再歩行を目指す脊髄損傷者専門トレーニングジムJ-Workout株式会社。~脊損患者に希望の光~
この記事を共有
ライター:Media116編集部
リハビリテーションの主目的は、残された身体機能を活かし、なるべく早期に社会復帰することですが、麻痺部分も含めた全身に積極的にアプローチしながら状態の改善を図り、年単位で『もう一度歩くこと』を目指す、脊髄損傷者専門トレーニングジムがあります。
東京都江東区木場にある『J-Workout』のトレーニングメソッドは、ヒトの成長過程を繰り返すことで神経を鍛えるパターントレーニングを行い、残された脊髄に歩行を再教育して、脳と脊髄をつなぐ神経回路の再構築を図るというものです。
こうした脊髄損傷者専門トレーニングジムは、国内で唯一なのだとか。病院で「再歩行は難しい」と言われたケースでも症状を改善させるなど多くの事例が評判となり、関東だけでなく全国からも多数のユーザーが通っています。さらには、より頻繁に通えるようにと東京に引越された方も!
これらの声を受け2015年には国内2号店となる大阪スタジオもオープンしました。
さらにジムに来るのが難しい方向けには、DVDやマニュアルによる在宅プログラムも用意されています。
脊髄を損傷し、渡米して受けたトレーニング技術を日本へ
現在代表を務める伊佐拓哲さんは、2002年に脊髄を損傷。当時日本では車椅子でトレーニングできる環境がなかったため、親友であり後にJ-Workout創設者となる渡辺淳さんとともに渡米し、脊髄損傷者専門回復施設「Project Walk」の門を叩きました。
「自分と同じ障害を持った人たちが、バリバリトレーニングをしている姿に感動しました」(伊佐氏)。
いつか日本にも、『歩くこと』をコンセプトとしたジムを作りたいという気持ちが芽生えたのだそうです。
技術を日本に持ち帰り、わずか2、3台のマシンで運営スタートした当初は、国内で同様の事例がないため、病院からの協力や理解を得ることが難しかったそうです。現在では、マシンも仲間も増え規模を拡大。実績も認められ、病院と連携しながら脊髄損傷者のトレーニングを行っています。
「医療の領域ではできることに限界があります。現状の保険の枠組みの中では、サポートする人員数も限定されますし、そもそも『歩くこと』を目標にすることができません」(伊佐氏)。J-Workoutでは、1ユーザーに対し、少なくとも1名のトレーナーと0.5人以上のアシスタントが付き、場合によっては4名のトレーナーが付くこともあるのだとか。
完全オーダーメイドのトレーニングプログラム
サービスを利用するには、まず問い合わせをして、施設見学と専門トレーナーへの相談がおすすめです(無料)。個々の障害の状況や、保持できている身体機能、身の回りの支援者の存在など、様々な条件をもとに、トレーニングの内容と頻度、自宅での自主練習の必要性などを検討し体験トレーニングをご案内します。
体験トレーニングでは、実際の体の様子を見ながらメニューを作成し、トレーニングの効果や重要性を感じていただきます。体験トレーニング後、費用・頻度を相談の上で入会に到ります。
□施設見学申請フォームへ
トレーニングは1回2時間から3時間で、一人のクライアントに対し常時1.5人以上のトレーナーを配置。さすが専門ジムだけに、室内にはほかでは中々見たことがない、珍しいマシンが並んでいます。
例えば「パワープレート」。宇宙で骨や筋力が衰えてしまった宇宙飛行士が、地球に帰還したあと、重力に対応するために開発されたマシンです。最近は、アメフトやJリーグ、プロ野球の選手なども利用するようになってきているそうですが、上下左右前後と3次元の振動が与えられ、身体に適度な負荷をかけられます。
重いものを持つことができないような人でも、自重による負荷に耐えることで、怪我などのリスクを抑えたリハビリを行うことができます。伊佐さんいわく、「脊損の方にもってこいのマシンなんです」。
通常立ち上がれない障害状態の方が、立位で運動できるマシンが「スタンディングフレーム」です。欧米などの障害者先進国の車いすユーザーは、立位でのリハビリを日常生活の一部に取り入れています。
J-Workoutは、メーカーと協力してトレーニング機器を改修・開発しています。トレーニングメニューは300種類以上。同じリハビリ目的でも、異なるトレーニングを行うことで、飽きが来ないように考えられています。
目標をともにする仲間が力となり、希望が生まれる
「クライアント様同士が、『歩く』という目標を共有し、互いに切磋琢磨しています。再歩行や改善を諦めかけていた人が、J-Workoutに通うと目の色が変わる。希望が生まれるんです」と、伊佐さんは語ります。
今後は、こうした環境を作り上げるための3要素、「トレーナーのサポート」×「トレーニングジム施設」×「トレーニングメニュー」を強化し、特にトレーナーの人員増強には力を入れて、活動を拡大していきたいとのこと。また将来的に、医療保険や介護保険が適用されるなど、費用的な課題をクリアして、より多くの方にとって利用しやすいようになることが目標なのだそうです。
J-Workout株式会社
○東京スタジオ
・東京都江東区木場2-17-13 第二亀井ビル3階
○大阪スタジオ
・大阪府大阪市北区神山町1-7 アーバネックス神山町ビル(扇町メディックスモール)1階
Webサイトへ
お問い合わせ:info@j-workout.com
この記事を共有
ライター Media116編集部
障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。
- ブログ
- 公式HP
- https://www.media116.jp/
おすすめ記事
-
2024年11月26日
学生起業家による障がい者アートを発信 ~株式会社SigPArt 古川友稀さん~
-
2024年11月12日
障がいママの子育て
-
2024年10月11日
年越しスリランカ旅byチョイノリ
-
2024年8月30日
一つじゃない 第22回
-
2024年8月9日
年越しスリランカ旅byチョイノリ
-
2024年7月24日
一つじゃない 第21回
-
2024年7月19日
脳性まひのある私が、重度訪問介護の利用で一人暮らしをして、はじめてコンビニに行った話
-
2024年7月4日
一つじゃない 第20回
-
2024年6月25日
インドの食文化と日常生活
-
2024年6月4日
山梨県から届いた嬉しいニュース!「難病者の働く」が世の働き方を変える
-
2024年5月10日
インド旅の1日紹介
-
2024年3月22日
「見えない障害」を伝えるために、当事者の声を冊子にする言語聴覚士・多田紀子さん
-
2024年2月16日
趣味も美容も仕事も「やりたいことを犠牲にしない」。当事者に聞いたセルフ透析のメリットとは
-
2024年2月9日
フィンランド大使館主催の映画『ブラインドマン』上映記念レセプションに参加しました