生き辛さを緩和するために「複数の拠り所」のススメ
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ライター:森あおい
みなさん、こんにちは。発達障がいのある森あおいです。前回の記事で、生き辛さを克服するため「自立とは依存先を増やすこと」という内容に基づいた3つのライフハックを紹介しました。今回は、2つ目の「複数の拠り所を増やすこと」編をご紹介していきたいと思います。どこか漠然と生き辛いと感じている方の参考になると嬉しいです。
少ない居場所に依存することで起きる弊害
私が学生の頃、多くの時間を過ごしたのは「学校」と「家」の2つ。クラスのパワーバランスばかりを気にしていた当時小学生の私は、空気を読んで、面白くもないけど笑って、トイレに行きたくないのに一緒にいき、お互い苦手だと感じている子とも仲良くしていました。もしいじめられたら学生生活が終わってしまうから、と窮屈な毎日を送っていたのを覚えています。
私と同じように「学校は世界のすべて」と思っていた経験はありませんか?クラスでいじめられることで「自殺するしかない」と思い詰めるほど、少ない居場所にいることで視野が狭くなってしまうことがあるかもしれません。
学校で過ごす時間が多いからこそ、自分を押し殺してでもコミュニケーションを円滑にしたい気持ちはとてもわかります。大人になっても嫌だなと思いながら、その場の会話を”こなす”こともあるし、他人と生きていく中である意味必要なスキルかもしれません。
私がここで一番問題だと感じるのは、そんな生活の中でも「自分らしくある時間や自分らしさを認めてくれる人がいない」こと。自分が抑圧される居場所ばかりだと、漠然とした生き辛さを抱え続けることになりかねないのです。
複数の拠り所で自分らしく
漠然と生き辛いと感じる人には、「複数の拠り所」を見つけることをオススメしたいです。生き辛さを吐き出せる拠り所を見つけると共に、生きる活力となる拠り所を増やしてみてほしいのです。学校や会社、狭い友人関係が世界の全てではなく、自分の世界を様々なところに分散して、一つの居場所に依存・固執しないことで、自分らしさを楽しめるようになるはず。
窮屈だった学生生活も、思ったことを言い合える幼なじみや部活の仲間や信頼できる保健室の先生などがいれば少しは楽になったのではないかと思うのです。
複数の拠り所を見つける方法って?
普段いるコミュニティとは違う拠り所を見つける方法としては、友人経由で新しい人やコミュニティと出会ったり、イベントに参加したり、行きつけの飲食店や美容院などで顔見知りになるなどが挙げられますが、大人になると改めてリアルな場で友人をつくるのは難しいと感じる人もいるでしょう。
また、実際のコミュニケーションが苦手だという方は、インターネットで拠り所を見つけると良いかもしれません。
例えば、私は最近まで5つのSNSアカウント(好きなアーティストを応援する、お気に入りの漫画を語り合う、勉強をする時に高め合う、同様の境遇の人と日々の愚痴を発散する、自分の興味のあることを発信するなど)を使い分けていました。好きなものや趣味などといった自分らしさを細分化することで、ピンポイントで分かり合える人と出会え、今でも大切な拠り所となっています。
また、人とのコミュニケーションだけが頼りになる拠り所ではありません。例えば、音楽や映画、アニメ、ラジオ、本、ゲームなどのコンテンツが自分らしさを肯定してくれると感じたり、日々のモチベーションになったりすることも。コンテンツは世の中に大量にあるため、それらとの出会いにアンテナを向けておきたいですね。
次回は、3つのライフハックの3番目「便利なツールを利用する」編をご紹介したいと思います。いま困難を感じている方にとって少しでも役立つ記事になれば良いなと思います。
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ライター 森あおい
社会人になる直前に発達障がいの診断を受け、障がいに興味を持つように。自らトラブルの波を起こし、その中で溺れそうになりながらなんとか生きてきた人。障がいだけでなく、5人に1人と言われているHSP、生理前の不調であるPMS/PMDDとも向き合う日々。「生き辛さを抱える人の居場所や選択肢をつくりたい」をテーマに執筆活動を行う。
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