「平等じゃないけど対等なんです」ある男性から教わったこと
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ライター:わに
みなさんこんにちは、ゼネラルパートナーズでライターをしているわにです。私はてんかんとそれに付随する器質性気分障がいがあります。実は私、ライターになる前はゼネラルパートナーズでキャリアアドバイザーをしていました。ある時、求職者様から頂いた言葉が今でも人生の糧になっています。今回はそれを皆さまにもご紹介できればと思います。
「平等」じゃないけど「対等」その意味とは
私は現在、ライター業に専念していますが、以前はキャリアアドバイザーとして働いていたことがあります。毎日様々な当事者とお会いする中で、とても印象に残っている男性の求職者様がいます。
身体障がいの当事者である彼は、健常者と障がい者の関係について常々こう仰っていました。
「平等じゃないけど対等なんです」
「持っているもの、できることは平等ではありません。しかし、ひとりの人間としては対等なんです。」
持っているもの、持たざるもの。できること、できないこと。健常者と比較すれば違いがあることは明白です。だからこそ「平等」ではない。そう彼は言います。しかしひとりの「人」として、1対1の人としては何も違いのないただの「人間」なのだと。
私自身、障がいがあることで辛い経験をしたことは何度もあります。「障がいがなければどれほどよかったか」「障がいがあるから健常者のような当たり前の生活ができない」「障がいがあるから差別や偏見に遭う」「なぜこんな思いをしなければいけないんだ」…健常者と呼ばれる人たちと、障がい者と呼ばれる私達の間には大きな溝があると感じていたのです。
しなくても良いはずだった辛い経験をすること、それが「平等」ではないとさえ思っていました。そして「平等」ではないことに落胆し、腹を立て、羨んでいたのです。
アンケート調査から知る差別と偏見の実態
ゼネラルパートナーズが運営する障がい者総合研究所の「障がい者に対する差別・偏見に関する調査」ではこのような結果が出ています。その一部を抜粋してご紹介します。
Qあなたは日常生活において、差別や偏見を受けたと感じる場面がありますか。
【障がい別】
日常生活において、差別や偏見を受けたと感じる場面があるかお聞きしました。その結果、「頻繁に差別や偏見を受けたと感じている」、「ときどき差別や偏見を受けたと感じている」と回答した人は59%となりました。また、障がい別での差はほとんど見られませんが、若干、精神障がいのある方の方がより強く感じられていることがグラフからわかります。
この他にも、アンケートでは差別・偏見を受けたと感じる場所で最も多いのは「職場」で56%であるという結果が出ています。また、差別や偏見を受けたと感じた場合でも47%は「誰にも相談していない」相談している人の相談先は、「家族・友人」が30%、「専門機関」が23%という結果もでています。
この調査は2016年4月1日に障害者差別解消法が施行された約1年半後に行われていますが、差別の禁止や合理的配慮の提供が求められるよう法律で定められても尚、差別や偏見が人々の心の中に根強く残っているということを表した結果なのかもしれません。
「対等」その言葉のチカラ
自分では障がいを受容していても、守ってきた部分を外からつつかれてしまうこともあります。しかし、どんな辛い場面に遭おうとも、奥歯を強く噛みしめ「平等じゃないけど対等なんです」その言葉を思い出すことで救われた気持ちになるのでした。
私達障がい者は、できないことで助けを借りることもあります。困難なことで配慮を頂くこともあります。しかし、助けや配慮を頂くから「対等」ではないというわけではないと思うのです。障がいの有無に関係なく、人それぞれ得手・不得手があるものです。健常者でもできないこと、困難なことはきっとあるでしょう。だからこそハンデがあるからなんだ、同じ人間じゃないか、「対等」じゃないかと強く思うのです。そして、ひとりの人として、ただ「対等」に付き合いたいとも。
日々過ごす中で、障がいがあることを恨んだり、劣等感を感じたり、様々な苦難を抱えることもあるかもしれません。その時に「平等じゃないけど対等なんです」この言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。できること、持っているものは平等ではない。けれど、ひとりの人として「対等」なんだと。その一言で受け止め方や感じ方も変わり、健常者に対して感じていた心の溝もだんだんと埋まってゆくのかもしれません。
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ライター わに
17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。
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