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【後編】子どもの可能性を引き出す!障害児訪問保育アニー

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ライター:Media116編集部

こんにちは!Media116編集部です。皆さんは「障害児訪問保育」というものをご存知でしょうか?障害児・医療的ケア児のために医療研修を受講した保育スタッフが各家庭を訪問し、自宅にてマンツーマンで保育を提供します。今回は、前回の記事でご紹介したフローレンスが経営する「障害児訪問保育アニー」と、アニーをご利用されている親御さんにインタビューしました!

アニーの「障害児訪問保育」ってどんなもの?

アニーの「障害児訪問保育」は、障害や医療的ケアの有無に関わらず、全ての子どもが保育を受けられ、親御さんが働くことを選択できる社会の実現を目指して立ち上げられました。

 アニー1

アニーでは医療研修を受講した保育スタッフがご自宅に訪問し、マンツーマンで保育を行っています。慣れた環境での保育を行うため、お子さんの負担が少ないのが特徴です。保育中は家の中での遊びやお散歩のほか、地域の保育園と連携し、子ども同士のコミュニケーションによる発達を促しています。
※現在、地域の保育園との交流は新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、見合わせております。

現在41名の方がアニーを利用されています。肢体不自由、重症心身障害児、胃ろうや経管栄養が必要な子、在宅酸素療法をされている子、先天性疾患の手術を控えていて感染症のリスクがある子などをお預かりしているそうです。

保育中は、研修を受けた保育スタッフがたんの吸引や胃ろう管理などの医療的ケアにも対応します。また看護師が定期的に訪問し、医療的ケアのフォローや障害児の健康管理のサポートを行っているため、保育園での預かりが難しい子どもも利用することができます。

アニー2

アニーを利用される方の中には、医療的ケアを理由に認可保育園で受け入れを拒否されたり、認可保育園に通っていたけれど病状が悪化してこれ以上受け入れられないと言われた方、中には診断書を持って20件認可保育園を回っても断られてしまった方もいるそうです。

アニーでは担任制をとっており、マンツーマンで保育することでその子の発達に合わせた計画を立てることができたり、昨日からの続きで変化に気づくことができたりと、お子さんと信頼関係を築きながら日々の変化などに敏感にそして柔軟に対応しています。

アニー3

「感情を経験してもらったり、感情をひきだしていく。明らかな反応はなくても感じていることはきっとあるので、その子なりの意思表示を探りながら保育を行っています。」アニーのスタッフはそう語ります。

保育中は、色々な素材に触れさせたり、関節が固くならないようにマッサージをしたり、ふれあい遊びなどをすることでお子さんの発達に「刺激」を与えます。日々影響をうけることで発達が促進されて、以前よりも体が動かせるようになったりするそうです。

その甲斐あってか、生まれてから感情を表情で表せなかったお子さんが日々の呼びかけなどによって、アニー利用開始から半年経って突然にこっと笑うようになった例もあるそうです。

利用するにあたって更に嬉しい点は、ベビーシッターのように利用時間に応じた利用料ではなく、世帯収入に合わせた利用料だということ。障害などを理由に集団保育が難しいと判断されたお子さんも、自治体の「居宅訪問型保育」と「居宅訪問型児童発達支援」という制度を使い、世帯収入に合わせた安価な利用料でマンツーマンの保育を利用できます。

アニーを利用されている親御さんはどう感じている?

今年の2月から週5日、1日8時間アニーを利用されていている親御さんにお話を聞きました。

お子さんが難治性のてんかんで、発作がでると5分前後続き、1分以上息がとまることもあるそうです。そのため、昼に液体の薬を2種類飲ませる必要があります。厳密には医療的ケアは必要ないのですが「配慮」が必要なため、普通の認可保育園では預かってくれるところがなかなか見つからなかったそうです。

アニー4

そんな時、障害児保育をインターネットで検索したことがきっかけでアニーの障害児訪問保育を知ったそうです。アニーの利用を決められた理由は、元々ご両親それぞれが仕事を続けながらご家庭との両立をされたいという想いがあったからだと言います。

「保活」当時、妻の A さんは就職が決まっていた会社への入社を1年延ばし、お子さんを預かってくれる認可保育園がないか色々と探し回りましたが、結局住んでいた神奈川県では預けられる園が見つかりませんでした。そのため、全国に視野広げ保育園探しをすべく東京に引っ越すことを決められたそうです。「これはカケでした。」そうご夫妻は言います。

「なんにもできない子」じゃないと気づかせてくれた

アニーの利用が決まってから、ご夫妻は共に仕事とご家庭を両立することができるようになりました。

更に、アニーを利用してから、お子さんにはとても良い変化が見られたと言います。お子さんが1歳になるまでは日中妻のAさんが自宅で1人で子育てをしていました。その頃はお子さんの反応が薄く、笑顔も少なく、どうやって遊んであげたら良いのかわからず困ってしまっていたそうです。

「家で1人でみていても限界がありました」Aさんはそう語ります。

しかし入園後すぐに、アニーの保育で「あそびかた」を熟知した保育スタッフがお子さんの感情を引き出してくれたといいます。

「毎日刺激があるので続けるほどに笑うことも増えて身体も動くようになっていったんです。おもちゃをつかえるようになったり、寝返りができるようになったり、これまでできなかったモノを追視することもできるようになりました。」

「アニーの保育スタッフは子どもの小さい反応を見つけては報告をしてくれ、それによって我が子の感情がわかるようになってきました。」とご夫妻は語ります。

一例を出すと、「口を縦に開ける」というあまり気にしていなかった動作の意味が実は「嬉しい」と感じているということを知ることができたそうです。

「なんにもできない子だと思い込んでいたんです。」とAさんは言います。

しかしアニーの保育スタッフが色々な角度からお子さんに刺激を与えることを続けてくれたことで変わったと言います。

アニー5

「砂場や遊具では遊べないだろう、無駄だろうと思い公園に連れて行ったことがありませんでした。しかし保育スタッフさんが公園に連れていって、抱っこしながらブランコにのると大喜び!読まなかった絵本も保育スタッフさんが読んでくれてからは、実は絵本が大好きだとわかりました。」

「普通の子以上に大きな伝え方をする必要があったということを教えてもらい、やれば喜ぶんだ!ということを教えてもらいました。」

良い変化が見られたのはお子さんにだけではありませんでした。
Aさんはアニーの利用が決まるまでは「働きたいのに働くことができない」という落ち込みがあったそうです。しかし、アニーを利用して「働けることの喜び」を知ったといいます。

「強いて言うなら1つだけ」親御さんからアニーへのお願いとは

アニーの保育は8時間なので、通勤時間などを考えて6~7時間の勤務しかできず、フルタイムで働くことは難しい状況にありますが、ご夫妻が共に職場に事情を相談し、バランスをとって働かれているとのことです。

「アニーのサービスに関しては非の打ち所がない程満足しています!」そうご夫妻は言います。

強いてお願いしたいことがあるとしたらどんなことか、と伺うと「もう2時間保育時間を延ばして欲しい」ということでした。現在は最長8時間のお預かりのため、あと2時間、10時間に延ばして頂ければより仕事との兼ね合いがうまくいき尚助かるのだそうです。

課題はあれど、アニーのおかげで安心してお子さんを預けて仕事への復帰ができるということはご夫妻にとっては非常に大きな助けなのです。

アニー6

当事者が考える障害児保育問題

最後に障害児保育問題についてどのようにお考えになっているのかを伺いました。すると「課題は山積み」だと答えられました。「アニーのような理念を持ってサービスを提供してくれているところがあるから働くことができている。しかし、頑張る人が違う」と言います。

本来は国が福祉としてやっていくべき課題であると。

「子どもに障害があるだけで働かないのが当たり前と言われてしまう」Aさんはそう言います。
役所に行き共働きで働きながら育てていきたいと相談しても、片方の親が仕事を諦めること、特別児童扶養手当を貰うこと、生活保護を受けることの打診をされたと言います。福祉制度の遅れや、一人一人の偏見が大きな壁となって立ちはだかるのです。

最後に夫のBさんはこう言いました。
「5歳まではアニーを利用できるから一安心です。しかし、そこから先はまだまだ闘わなくてはならないだろうと思っています。」

障害児保育の問題をクリアした後にも、小学校・中学校に進学するにつれて今度は障害児の学校への受け入れ問題に直面します。障害児・医療的ケア児を子育てする家庭の困難はまだまだ続いていくでしょう。福祉制度の改革・改善が急がれます。

今後アニーが叶えたいこととは

最後に、フローレンスの障害児保育事業部の安野さんに、アニーが今後も訪問保育を運営されるうえで叶えたいことを伺うと、こう答えられました。

「医療的ケア児がアニーがなくても認可保育園に通えるようになることです。地域にアニーが培ったノウハウを伝え、担い手を増やしていきたい」

アニー7

アニーに興味を持たれた方は、ご利用案内・ご利用対象となるお子さんとご家庭についての詳細をこちらからご確認ください!

この記事が障害児・医療的ケア児をお持ちの親御さんたちに届くように、そしてそれ以外の方にもフローレンスやアニーの素晴らしい取り組みについて知ってもらえるように願ってこの記事を終えたいと思います。

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ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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