【大切な3つのこと】障害者雇用で長く働くために
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ライター:ヒラノオツボネ
みなさんこんにちは、ヒラノオツボネです。私はキャリアアドバイザーとして一般雇用・障害者雇用、両軸で多くの方をサポートしてきました。さて現在障害者雇用で勤務されている皆さん、現職に勤めてどれくらいになりましたか?障がい者総合研究所の「転職・退職理由に関するアンケート調査」では入社後3カ月未満で転職や退職を考え始める方が多いという結果がでています。今回はアンケートから見る転職・退職理由と、障害者雇用で勤続するために大切なポイントを紹介していきます。
1年以内に3割が退職!?アンケート結果が示す障害者雇用の現状
障がい者総合研究所の「転職・退職理由に関するアンケート調査」のアンケート結果からは以下のようなことがわかりました。
〇1年以内に3割の方が退職している。
〇障がい別にみると身体障がい者では18%、精神障がい者では46%であり、精神障がい者の約半数が1年以内に退職している。
〇転職や退職を考え始める時期で最も多いのは入社後3ヶ月未満。
〇3ヶ月未満での転職・退職を考え始めた割合を比較した場合、身体障がい者では12%、精神障がい者では25%と約2倍。
こうした転職・退職に至る背景にはどんな理由があるのでしょうか?
転職・退職の背景にあるものは…
1位は「障がいの発生・状態変化、体調不良」
2位は「職場の人間関係」
3位は「給与・待遇」
4位は「リストラ・事業縮小」
5位が「障がいへの理解・配慮が無かった」
という結果でした。
3位の「給与・待遇」と4位の「リストラ・事業縮小」は環境要因が大きく、ご自身では変えがたいものかもしれません。しかし1位、2位、5位はもしかすると工夫次第で変えることができる要因かもしれません。ではどのようにすれば長期就労が可能になるのか?長期就労を目指す上で大切にしたい3つのことをお伝えします。
1.最優先は体調の安定、それができたら「自分のペースをつくること」
まず障害者雇用で一番大切なことは「体調の安定」です。更にいうと、「自分の体調を把握し、障がいと仕事を上手なバランスで保っていくこと」です。
「体調のコントロール」とまではいかずとも、日々自分のコンディションを確認し、「ここまでなら頑張れそう」「この仕事はもう少し調子のよい時に回そう」など、自分の体調を把握し、体調と現在持っている業務をバランス良く配分することが大切です。
一言で言えば「自分のペースをつくる」ということです。
体調に合わせた自分のペースが決まったら、「現在の体調が○○なので、業務をこのようなペース(配分)で進めたいと思っています」と周囲に一言声をかけておくだけでも違うかもしれません。
2.必要な配慮は「前向きな意思」で遠慮せず伝える
「転職・退職を決断する前に欲しかったフォローや対応」というアンケートの1位は「障がいへの理解・配慮」でした。「障がいへの理解・配慮」の問題は一筋縄ではいきません。
大切なのは、「できる」「できない」を入社前・入社後にも、明確に人事・上司・周囲へ「伝え続ける」ことです。「一度伝えればわかってくれるだろう」「配慮してくれるべき」など、自分の中の「だろう」「べき」は相手には伝わらないのです。
同時に、配慮を求める際にどうしても引け目を感じたり、遠慮してしまうこともあるかもしれません。しかし、必要な配慮は100%伝えてください。なぜなら、その配慮を受けることであなたが最大限のパフォーマンスを発揮し貢献できるのであれば、それは会社、ひいては社会にとって「有益な配慮」だからです。前向きな意思で「長く勤続して貢献していきたいので配慮してください」とハッキリと伝えましょう。
3.相談できる相手を見つけておくこと
アンケート結果から、転職・退職を決断する前に約6割の方が上司や人事担当者へ相談しないまま退職を決断していることがわかりました。一方で転職・退職を決断する前に欲しかったフォローや対応として「相談できる人・場所・機会」が2位に上がっており、相談したくても出来なかったという実情が浮かび上がってきました。
このようなことにならないために大切なことは、日ごろから相談ができる体制を構築しておくということです。相談相手は誰でも良いのです。目をかけてくれる先輩、同期、人事…話を聞いてもらうことだけが大切なのではありません。新しい意見や考え方を吸収し、本当に転職・退職すべきなのか?自分の選択肢は正しいのか?と相談することでいま一度、客観的に見直すことが大切なのです。
あなたが決めたなら、どの方向に進んでも正解
どうしようもない壁にぶち当たった時、戻ってみたり回り道をしてみたり、違う道を歩いてみることは決して悪い事でも、弱さでもありません。しかし、もし自身で変えられることがまだあるのであれば、ベストを尽くして燃え尽きてからどの方向に進むか考えるのもアリかもしれませんよね。
何はなくとも体調の安定が一番です。どう転んでもあなたの体調に悪影響を及ぼすと考えられる環境なら、さっさと退散しましょう。そこで過ごす時間はあなたの人生にとって有益な時間ではないからです。しかしもし体調を安定させながら働ける可能性がある環境ならば、できる限りの工夫をし、生きやすい環境を作って「オツボネ」になるのも悪くないものですよ。
平のお局より。
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ライター ヒラノオツボネ
これまで一貫して人材紹介会社にて健常者・障がい者の転職サポートに携わってきた人材一筋のオツボネ。ゼネラルパートナーズではキャリアアドバイザーとして身体障がいのある方のサポートを経験した後、精神障がいのある方のサポートに従事。現在はMedia116のライターとして仕事系記事を執筆中。
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