1. Media116
  2. その他
  3. その他
  4. 山梨県から届いた嬉しいニュース!「難病者の働く」が世の働き方を変える

山梨県から届いた嬉しいニュース!「難病者の働く」が世の働き方を変える

この記事を共有

ライター:斉藤幸枝

難病者は病状に波があり、定時に出勤する一般的な働き方は苦手です。難病者が働きやすい勤務形態は、誰にも働きやすく、互いに支え合う、一億総活躍社会や全世代型社会保障社会の実現に繋がります。

心臓病の子どもを授かって

一人息子は心臓に障害を持って生まれました。今は成人し、医師として、激務をこなすまでになりましたが、4歳の時、東大病院で手術を受けるまではゆっくり、ゆったりの生活でした。術後は普通の子どもたちと走り回れるようになりましたが、1980年代当時は心臓手術の成績も今とは違い、息子と同じ日に手術をした3人のうち、1人は病室に帰ってきませんでした。
また、基準看護を返上していた病院でしたので、私は付き添いのために寝泊まりし、昼間は他の人に託し、朝食を食べさせ、職場に直行していました。医療費は公費負担である小児慢性特定疾病と育成医療により、ほとんど要しないという状況でした。
おかげで心臓病児を授かっていなかったら、知りえなかった多くのことを学ぶことができました。
患者会活動への参加もそうです。幼稚園入園や小学校入学に難色を示された、医師の診断書を提示しても体育や修学旅行等への参加は難しく、良くて親の付き添いあっての参加と言われた等々、病児の親たちの話を聴くたびに、行政で働く自分のすべきことは何かを考えさせられる日々でした。

想いが通じた経験

こんなことがありました。福祉事務所長となって赴任したばかりの時、障害者手帳の等級の引き上げを求めて、「所長を出せ!」と大声を上げていた年配の男性がいました。担当係長が困って、申し訳なさそうに、「顔だけで結構ですので・・。」と言ってきました。その方は指に障害があり、5級から4級へと等級をあげて欲しいとの要求でした。
福祉事業のことは全く初めての私は、その方の話を聴いてみようと耳を傾け、「手が思うように使えないと大変ですね。実はうちの息子も心臓が悪くて、手術をしたんです。」という話をし、障がいの共有をしました。すると不思議なことに、その方は、表情を変え、怒りを鎮めて私の話を聴いてくれました。病気の子どもへの心配りのできるやさしさを持っていた方だったのです。最後には私に「頑張ってください。」と言って帰りました。全く異なる障がいであっても、〇〇同士、相通じるものがあることを実感した出来事でした。おかげで、係長さんの私を見る目がちょっと変化したように思いました。
障害者団体との交渉時や交流、障害児を持つ保護者とのお付き合いにも、病児である息子のおかげで、壁を感じない話ができ、お付き合いができました。

患者会への参加

他の心臓病児はどうしているか、また、親はどのような気持ちでいるのかと言う思いから、心臓病の子どもを持つ親たちが作っている患者会に入りました。医師や看護師、保育士を連れた夏の療育キャンプ、走れない子も参加できる春のスポ—ツキャンプも企画運営しました。特に東京都への交渉は、23区の末端行政に勤務していた私には、とても勉強になり、仕事上も役に立ちました。以下は夏のキャンプの写真です。

夏のキャンプの写真
夏のキャンプの写真

12年務めた患者会の会長を引退後、難病・慢性疾患の患者会の中央団体であるJPAの役員となり、国への委員会や会合に出席することもできました。また、この組織は当然のことながら、心臓病だけでなく、多くの難病患者さんと知り合うことができ、視野が広がったと自負しています。国の行政機関の職員や他の障害者団体の方々とも知り合え、今でも私の財産になっています。

筆者、社会保障審議会障害者部会にて
筆者、社会保障審議会障害者部会(第113回)(2021年6月28日)にて

二足のわらじから考えた大事なこと

仕事と患者会の二足のわらじを履き続け、どちらが本業かわからないと感じる時もありましたが、片方だけでしたら、きっと今より見方や感じ方が狭かったのでは、と思ったりしています。
私にとっての出発点は心臓病の子どもを通しての見方でしたが、仕事や難病の人たちを通して、一番大事なのは世の中とのかかわりを持って生きることであり、生きられる仕組みを作ることと思うようになりました。

さらに多くの難病の人たちと出会って

日本には医療費の助成対象になる難病の要件に該当する指定難病者が約100万人、治療法が確立していないにも関わらず、人口要件等で該当しない難病者を含めると、約700万人いるとも言われています。難病者は、症状に波がある人が多く、一日8時間週40時間、決められた時間に出勤するという働き方は大変つらく、継続が困難で、離職や就職をあきらめる人が多いことが知られています。
しかし近年の医学の発達で、治療をしながら働き続けられる人も増え、また、ショートタイムワークや在宅勤務等の働き方も広がってきており、「働く」をあきらめずに済む難病者も出てきました。柔軟な働き方で、誰もが希望すれば働ける、そんな働き方を創れたと、難病者の就労を考える研究会に参加しました。

難病者の社会参加を考える研究会

病気は辛く、生きるうえで多くの制約がありますが、それでも難病者の多くは、単に福祉サービスの対象として生きるだけでなく、その人なりの能力を育て活かしていける社会のしくみを望んでいます。そのような思いから、研究会は病状や体力に見合う多様な働き方が開発され、広まることを求めています。
・在宅勤務で行え、通勤負担がない:テレワーク
・週20時間未満の短時間就労:ショートタイムワーク
・介護や育児対象者に限定されている制度:短時間勤務制度の対象者の拡大
具体的な活動としては、難病者の就労実態をまとめた「難病者の社会参加白書」を作成、今は第二弾を計画中です。
また、国への提言や難病者のは働きやすい雇用施策を地方からも実現したいと、地方議会の議員さんたちとの勉強会も重ねています。

山梨県から驚きのニュースが!

そのような時、山梨県が難病者の正規職員採用へ!というニュースが飛び込んできました。昨年10月の山梨県議会での一般質問への答弁で、長崎山梨県知事は、難病患者を対象に県職員としての採用枠を設ける検討を始めることを明らかにした、というニュースです。

素晴らしかった山梨県議会質疑の内容
議員の質問は要約しますと、「難病の方々も含め、全ての国民が活躍できる環境づくりが望まれ、社会福祉サービスの充実とともに、持てる力を発揮するための就労支援が必要。治療や働き方の工夫により、仕事で活躍できる範囲が広がってきている。」として、山梨県の職員採用も含め、難病者の就労支援について質問されました。
それに対し、知事は、「県職員の採用について、難病者を対象とした採用枠の設定についても検討していく。」と、真摯な内容の答弁をされました。

超速!山梨県の対応

議会質問への答弁された内容であっても、それから検討、早くて翌年に案の提示、実施計画というスケジュールが多い中、山梨県の対応は違っていました。10月答弁から4か月後の2月2日には山梨県ホームページに、障がい者とは別枠を設けての募集内容が公表されました。議会答弁への対応がこのように迅速に行われるには、トップの姿勢と山梨県の行政運営のありようが伝わってきて、驚き、感激してます。多くの難病者の方々の応募のあることを期待します。

山梨県職員採用情報HPより引用
山梨県職員情報採用HPより引用

詳細はこちらより

最後に…

「働くとは傍を楽にすること」と古事記に書かれているそうです。傍を楽にするために誰もが力を発揮できる社会は、きっと支え合う共生社会に繋がることでしょう。それには、難病者の働くうえで困っていることを挙げることが大事。難病者の働くは社会の働き方を変えることを信じて、困難を希望に変えていきたいです。

*「難病者」:指定難病、希少疾患、その他難治性疾患を含めた用語で、障がい者と対になる捉え方として研究会が独自に使用し各方面に広まりつつある用語。

この記事を共有

アバター画像

ライター 斉藤幸枝

群馬県(かかあ天下と空っ風の地)出身。難病者の社会参加を考える研究会委員。小児心臓病の当事者家族としての患者会活動や豊富な行政経験等を活かして、誰もが尊厳を持って生きられる社会をつくりたいと奮闘中。

ブログ
公式HP
https://ryoiku.org/think-possibility/studygroup/

このライターの記事一覧を見る

おすすめ記事

Media116とは?

アットジーピー

障害別専門支援の就労移行支援サービスアットジーピージョブトレ。障害に特化したトレーニングだから働き続ける力が身につく。職場定着率91パーセント。見学・個別相談会開催中!詳しくはこちら。

MENU
閉じる
ページの先頭へ戻る