障がいママの子育て
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ライター:AYAKA
皆さんは障がいを持ってるママと聞くとどんなことを想像しますか?
「障がい持ってるのにママになれるの?」
「自分のことだけでも大変そうなのに子育てなんてできるの?」
こんなことを一瞬、思ったりしませんか?それが当然だと私は思います。
そこで当事者である私、障がいのあるママはどうやって日々、子育てをしているのかをお話していきたいと思います。
私の経歴
私は脳性まひで生まれ、右半身が不自由な身体です。現在は一児のママとして生活しています。
幼少期の頃は歩行困難で車いすで生活していました。
でも、いつ頃か周りの人達と比べるようになり、歩けるようになりたい!という気持ちが強くなった私は根性とリハビリのおかげで歩行できるまでになりました。
この経験から、目標を立て、達成することの喜びを知り、それが次への自信につながっていきました。
恋愛、結婚へ
障がい者が恋愛できるの?と多くの方は思っているでしょうが、障がい者だって恋愛します。障がいを持ってるというだけで心は恋する乙女です。
ただ、悔しいのは心に身体が着いて行けない自分がいます。
周りの健常者と同じようなデートをしたいと思っていても、道端で急に転ぶ、言語障がいのことで話が通じない。
このように健常者には当たり前のことが時に私にとっては難しく、同時に羞恥心を抱いたこともあります。
しかし、昔からやりたいことには突っ走る私は、恋愛においても、めげずに突っ走ってきました。そのおかげか今現在の主人と出会い、結婚し、6歳の娘にも恵まれました。
出産方法の選択
私が娘を産んだのは、今から6年前。
当時はまだ障がい児のメディアはたくさんありましたが、障がいを持ったママから見た子育てのメディアはほとんどありませんでした。
そんな中でまず最初に直面したのが分娩方法でした。
その当時の私の周りにはもちろん障がいを持つ友人はいましたが、障がいを持ち、子育てをしているパパ、ママはいませんでした。なので、私自身「帝王切開で出産するしかないだろう」と思い、産婦人科の先生に相談すると、「普通分娩で出産しましょう」と言われました。
その時私は嬉しくて、喜んでいました。障がいを持ってママになった私には選択肢は無いんだとずっと思っていたからです。
そこから私の人生はまた更に変わったと思います。〃選択肢のない人生なんてない〃それを気づかせてくれた産婦人科の先生にも感謝しています。
授乳方法との葛藤
娘はミルクを飲んでくれなかった為、完全母乳で育てました。その授乳の仕方もすごく苦労しました。
右半身まひの私は日常生活において左手、左足中心で生活しています。
幼少期のリハビリで日常生活は自力で送れる私ですが、普段と違う動き、右手、右足を使用しなければならない動きはまだまだ苦手です。
授乳は赤ちゃんを支えながら、赤ちゃんの口を胸のところまで持って行き、更に自分の胸を衣服から出さなければならず、右手が不自由な私にとってはかなりの難題でした。
ネットなどで調べたりしていたら、クッションを不自由な右手の下に置き台として使用する方法に辿り着きました。
しかし、右手はやはり支える力が弱く、柔らかいクッションだとだめで、ある程度高さと硬さのあるクッションが良いんだということに気づき、試行錯誤しながら授乳をする日々でした。
時間との戦いのオムツ替え
新生児の頃のオムツ替えは1日およそ1回10以上あります。新生児の頃は肌も弱く、便はもちろん、尿の時も素早く替えてあげなければ肌がかぶれてしまいます。
右手が不自由な私は、やはりオムツ替えも健常者のママより時間がかかってしまいます。
焦りと脳性まひの特有の緊張感で余計に不自由な右手が思うように利かないのです。
特に赤ちゃんの足を持ち上げて、紙オムツをお尻の下に敷くという動作が難しかったです。
でも、ここもやはり毎日、時間がかかってもこなしていると、慣れてくるのです。
私の中で自信が生まれ、一つ一つできることが増えると楽しくなってきます。
次の試練は抱っこ紐
娘は抱っこでしか寝ない子だったため、抱っこ紐の使用は避けられませんでした。しかし、片手で抱っこ紐の金具を留めることは非常に困難でした。
でも、この問題に対し、次のような解決策を見出しました:
・夫と一緒に、私一人でも使用できる方法を考案(ついでに夫婦の絆がまた深まった気がして嬉しかったです)
・抱っこ紐メーカーに片手で使用できる製品の開発を提案(現在は需要の問題で実現していませんが、将来的な開発・販売に期待です)
片手で使用できる抱っこ紐、できないかな
障がいママサークル立ち上げ
障がいを持つママたちの交流の場がないことに気づき、「障がいママサークルkokowa」を設立しました。
毎月1回、障がいを持つママとその子どもたちのために楽しいイベントを企画し、交流の場を提供しています。
さまざまな障がいを持つママたちが参加してくれており、その中で「身体が不自由で料理教室に行くのが難しい」といった声を聞き、サークル内で料理教室を開催することを思いつき、実現しています。
企画は毎回サークルのメンバーのアイデアによって行われており、子どもたちも楽しみにしており、さらに子ども同士の交流が生まれることはママたちにとっても嬉しいことです。
この「障がいママサークルkokowa」を通じて、障がいを持つママたちの子育てについて広めていけたらと思っています。
おわりに
子育てとはママにとっては”当たり前”でも、その当たり前が難しいママだっている。
だからと言って、子どもを産むことを諦めたくない。
障がいがあってもママになれて”当たり前”だと私は思っています。一つ一つできることが増えると、自分への自信に繋がっていくように感じます。
そして「ママはこれで良いんだよ」と日々、我が子にも自信を貰っているように感じます。
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ライター AYAKA
1995年生まれの29歳 仮死状態で生まれ、脳性まひとなり、右半身不自由な障がい者。 今現在は一児の母親となり、子育てに奮闘中!”障がいがあってもママになって当たり前” 「障がいママサークルkokowa」の代表でもある。
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