「視覚障がい者」の切実な悩み・・・「紙幣の識別」問題についてまとめてみました。
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ライター:Media116編集部
みなさん、こんにちは。突然ですがアナタが受け取ったお札が何円紙幣かわからなかったらどうします?
重度の視覚障がいの人や全盲の人にとってそれは日常のこと。お札のサイズや触感などを頼りに金額を判定し日々を生活しています。視覚障がい者にとって非常に重要な問題。今回は視覚障がい者をとりまく紙幣に関する課題と現状について少し・・・。
目の不自由な人に対するお札の工夫
聞いたことがある方も多いと思いますが、日本の紙幣製造技術は世界でもトップクラス。先進技術を駆使して、財務省、日本銀行及び独立行政法人国立印刷局は、視覚障がい者にとってお札がより使いやすいものとなるよう、関係者からの意見聴取、海外の取組状況の調査等、様々な観点から検討し、取り組んできました。
1)紙幣の種類ごとに付けられた識別マーク
現在の紙幣の場合、「識別マーク」といって、目の不自由な方がお札を指で触って識別できるように、凹版印刷により、お札の角にざらつきを持たせたマークがついています。昔のお札は角に一箇所こういったマークがついていましたが、現在は両角に2箇所ついています。
1万円札→かぎ型マーク / 5千円札→8角形型マーク / 千円札→横棒マーク
2)紙幣の種類ごとに異なるホログラム透明層の形
上記の識別マークについては知っている方も多いと思いますが、実は偽札防止に1万円札と5千円札のみに付けられたホログラムを覆う透明な層の形が、お札の種類で異なっているのはご存知でした?
(当事者の方には、いわずもがな、かもしれませんが・・・。)
1万円札→楕円形 / 5千円札→四角形 / 千円札→ホログラム自体がない
参考)国立印刷局ホームページ 識別性向上に向けた取組
http://www.npb.go.jp/ja/intro/ninsiki/
紙幣をとりまくさまざまな課題
上記のホログラムの件ですが、5千円札のホログラムが四角形になったのは2014年から。長い間、1万円札と同じ楕円の形が続いており、「判別しずらいから5千円札は手元に置きたくない!」という当事者の方もいたらしい。。視覚障害者の団体が政府への変更の要請を重ねた結果、ホログラムを覆う透明シールが1.7倍に大きくなり、形も四角に変更されたとのこと。
「紙幣」に対する視覚障がい者からの要望は上記の事例だけではありません。過去の紙幣も含め「識別のしやすさ」をめぐる要望と改善が続けられてきました。
紙幣には「触感」で種類を識別する工夫がされていますが、一方で年月が経つうちに表面が摩耗してしまいお札の識別が難しくなったり、目が見えない生活に慣れていない、後天的な視覚障がい者にとっては、触感だけでお札を識別するのは難しい、といった課題は残ります。
そこで、視覚障がい者が識別する方法としてよく使っているのが「紙幣の横幅」の違い。千円札→5千円札→1万円札で金額が高くなるごとに横幅が長くなるので、お札の長さを比べて種類を判別している方は多いと聞きます。
この「紙幣の横幅」についても、議論が重ねられてきました。一番カオスだったのは、現在のお札が発行された後、新旧のお札が両方流通していた時期。最近は見かけなくなりましたが、旧札を含めると微妙なサイズ違いの紙幣が7種類流通していたのですが、それぞれのお札のサイズの違いが非常に微妙で、
1千円は150 mm
2千円は154 mm
旧5千円は155 mm
新5千円は156 mm
1万円は160 mm
と、どれも非常に似た横幅(ちなみに縦は76ミリと全て共通です)。特に2千円札が出たときは、
「2千円と5千円が1~2mmしか違わず、識別できない!!!」
と苦情が、、、。視覚障がいのマッサージ師が客からだまされてお札を渡されたこともあったそうで、視覚障がい者の団体は、「2千円札は生活にバリアを持ち込む」と政府に2千円の流通中止を求めていました。(最近は2千円札めっきり見なくなりましたが・・・)
そもそも、お財布の中に常に比べられるお札が揃っているとは限りません。お財布に使い古した5千円札が1枚しかない時にどのお札か、判別するのは相当むずかしい。。
ユーロ紙幣のように、お札の色や大きさなどを分かりやすく差をつけることを要望する声もあがっていますが、現金自動預払機(ATM)や自動販売機の対応が困難、という問題もあるとのこと。
現代社会は貨幣経済、お金の受け渡しの伴わない生活はありえません。日々の生活の中で、自分から相手にいくら渡し、相手からいくら受け取ったのか?速やかに確認できないことは相当なストレスですし、経済的損害にもつながりかねません。今後、紙幣が刷新される際には、アプリやツールを使用しなくても、全ての人にとって識別しやすい紙幣が発行される方向で検討が進むことを---。
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