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障がい者になってわかった”甘えること”の大切さ

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ライター:わに

みなさんこんにちは!てんかんと闘いながらゼネラルパートナーズでライターをしているわにです。先日Media116編集部にAさんという障がいのある24歳の女性から一通のメールが届きました彼女に連絡を取り詳しくお話を聞くと、彼女の障がい者になったことでの苦悩や、その中から見出したという彼女なりのアンサーを聞くことができました。それを今回はご紹介したいと思います。

24歳で障がい者になったことでわかった苦悩

Aさんは大学4年生の時、会社の内定が出た後に脳腫瘍が見つかり摘出手術をすることになりました。その後、後遺症で肢体不自由となり、また高次脳機能が残ることになりました。寝たきりの状態から懸命なリハビリをし、現在は杖を使って歩けるようにまでなりました。内定していた会社には2年間待ってもらい入社しましたが、通勤の際に健常者であった時にはわからなかった辛さをひしひしと感じることになったそうです。

みなさんは「ヘルプマーク」をご存知でしょうか?いまや障がいのある方の多くに認知されつつあるマークです。
ヘルプマークとは・・・(以下、東京都福祉保険局のサイトより引用)

「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。」
東京都福祉保健局
※全国の入手方法や配布場所はこちらから
「ヘルプマーク.info」より

ヘルプマーク

Aさんは歩行には杖を使っていますが、混雑した電車などでは杖が周囲から見えないこともあり、配慮を頂けないのでヘルプマークをつけて通勤しているそうです。しかし彼女が驚いたことは、杖を持って、かつヘルプマークをつけていてもめったに席を譲ってもらえないという事実でした。それは一般の席だけではなく、優先席の前に立っていても譲ってもらうことが少ないそうです。

「毎日通勤していて、譲ってもらえるのは月に1回くらいです・・・」彼女は少し悲しそうな声でそう話しました。

実際私もてんかんという目に見えない障がいがあるので、万が一倒れる可能性があるためヘルプマークをつけて通勤していますが席を譲ってもらうことはほとんどありません。私の場合ははたから見ると全く健康そうで障がいがあるように見えないからなのか、20回中1回譲ってもらえるか否かという頻度です。

また、彼女を困らせるのは周囲の心ない言葉でした。ヘルプマークをつけていれば戸惑わず優先席に座っていられると思いきや、年配の方に「若いくせに」とののしられることもあるそうです。

そして妊婦さんが前に立ってきた時、周囲は気づかないふりや寝たふりをきめこんでしまうため、結局辛い状況でも「若いから」という理由で彼女は席を譲ると言います。

私も以前同じような状況に遭い、「【妊婦VSヘルプマークをつけた障がい者】ゆずりあい合戦が勃発!!その時周囲は…」という記事を書きました。

彼女はこう言いました。
「ヘルプマークは妊婦マークより認知度が低いし『弱い』と感じるので、自分が辛くても譲ってしまう」マーク自体や障がい・体調に強い弱いはないと思いますが、彼女の『弱い』という言葉の中には「ヘルプマークをつけていても堂々としていられない」という気持ちが入っていたのかもしれません。

優先席

そして彼女の話の中で驚きだったのは、「ヘルプマークをつけている人に席を譲ってもらうことが多い」ということでした。目に見えない・みえづらい障がいがあることの辛さをわかってくれるのはやはり同じ障がい者なのかもしれませんが、席を必要としている人同士が譲り合っているという光景に対し何も反応しない周囲の環境を想像するだけでゾッとしました。

障がい者と健常者が共生していくために

彼女は「毎日の通勤がこんなにも辛いなんて健常者の頃には気づかなかった」そう語ります。そして、「結局、障がい者になってから日々の通勤でわかったことはヘルプマークをつけているかいないか以前の問題で、健常者が障がい者と一緒に生きているという認識が足りないのではないかと思ったんです。」と力を込めて言うのでした。

「ヘルプマークの件も含めて、社会が変わってほしいと思うことも多いけど、いまは受け入れなければいけない部分もあるんだと思います。」
彼女は「ヘルプマークをつけているのになぜ席を譲ってくれないんだ!」という不満を話したかったのではないのです。彼女はもっと冷静に、広い視野で障がい者と健常者が共生する社会のことを見つめていました。

コスモス

「なんて返されるかわからないけど…席を譲ってほしい時は自分から『譲ってほしい』と声をかける勇気も必要だし、仕事の面でもできないことは素直にできるように配慮をお願いすることが必要だと思います。」

「障がい者になってわかったのは、時には人に甘えることが大事ということ。甘えることは理解してもらうこと、それは負けでも何でもない。」彼女は話の中で一番声を大にしてこう言いました。これまで「普通に」生活をしてきて見えなかったことが、24歳で障がい者となり気づいた彼女なりのアンサーがここにありました。

手を差し伸べる

「甘えること」は「弱みをみせること」と表裏一体です。そのため、多くの場合躊躇してしまうことでしょう。私自身も障がいがあることで色眼鏡で見られないよう、健常者以上に成果を出さなくては!健常者には頼らない!障がいを理由にしない!と、ずっと意気込んでいました。今思えば空回りをしていたのかもしれないと、今回彼女に気づかされました。彼女は辛い体験から「甘える勇気」を見つけ出したとても強い女性なのだと感服しました。 

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ライター わに

17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。

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https://www.media116.jp/

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