視覚障がいのある方が「ふらっ」と外出できるようになる!?「VIBLO by &HAND」を体験してきた!
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ライター:Media116編集部
みなさんこんにちは!Media116編集部です。今回視覚障がい者の移動・外出を助ける「VIBLO by &HAND」というサービスの体験会に行ってきました。まだ開発途中のサービスではありますが、時代の最先端をゆくアイデアとサービスに驚かされるばかりでした。体験された当事者の方にもお話を伺いました!
&HAND(アンドハンド)ってなに?
&HANDは一般社団法人PLAYERSが考案し、さまざまな企業とのオープンイノベーションにより社会実装を進めているサービスで、LINE などを活用し身体・精神的な不安や困難を抱えた人と、手助けをしたい人をマッチングし具体的な行動をサポートするというものです。2016年にGoogle「Android Experiments OBJECT」グランプリ、2017年にはLINE「LINE BOT AWARDS」グランプリを受賞している今注目すべき法人です。
「&HAND / アンドハンド」ホームページ
妊婦や障がい者など手助けが必要な人がキーホルダー型デバイスをONすることで、近くにいる手助けをしたいサポーターのLINEにメッセージが届き、チャットボットを通じて具体的な行動を支援する、というものです。PLAYERSを主宰し、&HANDプロジェクトリーダーのタキザワケイタさんに、今後の方向性について伺ったところ「これまでに妊婦や車イス・ベビーカーユーザー・旅行者向けの実証実験を実施しており、現在は視覚障がい者や聴覚障がい者、ボランティア、災害用の検討・開発を進めている」とのこと。
&HAND開発のきっかけ
一番初めに手掛けたのは妊婦向けのサービスでした。きっかけはタキザワさんが奥様の切迫流産の診察に付き添った際、満員電車で席を譲ってもらったことに非常に感謝を感じたことでした。
その経験をした時に「ああ、これまで自分も妊婦さんに席を譲れていなかったな」と気づいたそうです。そして「今の日本のままでは恥ずかしい!子供たちの未来のために、やさしさからやさしさが生まれる社会にしたい。」と思われたそうです。
席を譲る側がスマホに夢中で妊婦さんに気づかなかったり、マタニティーマークにネガティブな印象を持っていたり…本来あるはずの周囲の「やさしさ」が助けを必要とするひとに伝わってなかったのです。手助けを必要とするひとと手助けしたいひとをマッチングすることによって「誰もがいつでも助けを求められる誰もがすぐに手助けできる社会の実現」を叶えるために&HANDを考案されました。
PLAYERS主宰、&HANDプロジェクトリーダーのタキザワケイタさん
今回体験したVIBLO by &HAND(ヴィブロバイアンドハンド)とは?
今回私は「VIBLO by &HAND」という視覚障がい者向けの全く新しいサービスが開発されたとの情報を聞き、体験会に行ってきました。
皆さんが外を歩けば必ずと言っていいほど目にする点字ブロック。現在の点字ブロックでは「点字ブロックだけでは目的地に辿り着けない」「警告ブロックが意味する内容がわからない」「自転車などで点字ブロックが遮られていることがある」といった声が当事者から上がっていて、社会インフラとして十分に機能していないといいます。
「VIBLO by &HAND」とは、その点字ブロックを「テクノロジーでアップデート」して視覚障がい者がより外に出やすい環境を作ろうという取り組みです。簡単に言うと「声」を使って視覚障がい者の移動をサポートしよう!というものです。
視覚障がい者の多くは一人での外出、特に初めての場所や遠出に不安や困難を抱えており、外出を諦めてしまうことも少なくありません。また、日本で生まれ国際規格となった点字ブロックは、視覚障害者の移動を支援するインフラとして社会実装され、今後も実装され続けることが期待されています。
しかし、視覚障害者からは「点字ブロックだけでは目的地に辿り着けない」「警告ブロックが意味する内容が分からない」「自転車などで点字ブロックが遮られている」といった声があがっており、社会インフラとして十分に機能しているとはいえません。そこでこの「VIBLO by &HAND」が開発されました。
VIBLO by &HANDの使用方法は、まず発信機を内蔵した点字ブロックの「VIBLO BLOCK」というものを点字ブロックの各所に取り付けます。
そして最近話題のスマートスピーカー「Clova」を「LINEアプリ」と連動させ、オープンイヤーヘッドセット(イヤホン)「Xperia Ear Duo」を視覚障がい者の耳に装着し移動を「声」でサポートするもの。「Xperia Ear Duo」は耳をふさがない形状で、周囲の環境音を聞きながら音楽を楽しむことができるものです。
「VIBLO BLOCK」 には発信機(LINE Beacon)が内蔵されており、設置場所に関するスポット情報が登録されています。視覚障がい者が近づくと、スポット情報とルート設定された次の VIBLO BLOCK までの道案内情報を、LINE に通知します。自宅のClovaから現在の位置を確認することもできるので、道に迷った際は家族がLINEビデオ通話で道案内することもできます。
「VIBLO by &HAND」コンセプトムービー
開発前に視覚障がい者45人にアンケートを行ったところ、ガイドヘルパーがいないと外出を諦めてしまう、そもそも旅行にはいかない、お祭りや暗い場所に行くのは諦めている…など、外出することでトラブルが起きるのではないかと考えてしまい、結果的に外出を諦めることが多かったといいます。「VIBLO&HAND」は外出を諦めている視覚障がい者が「ふらっと外出を楽しめる」サポートするひとつの大きな希望でもあるのです。
実際に体験してみた感想は・・・
目隠しをして白杖を持ち、点字ブロックを頼りに目的地まで歩きます。まずは音声で案内をしてくれるイヤホンを両耳に装着しました。ふと私の頭をよぎったのは「視覚以外に聴覚の感覚も奪われてしまったら怖さが増すかも・・・辿り着けるかな・・・」ということ。
早速歩き始めようとすると、アナウンスが流れました。そのアナウンスに従って歩き始めると、次のアナウンスまでの間は何も音声が流れない状態だったので、周囲のざわざわとした声が聞こえる状態で完全に聴覚が奪われるというイメージは払拭されました。
イヤホンからの音は鮮明で、アナウンスも簡潔で話し方もわかりやすかったです。ただ、次の音声ブロックまでの間が何mくらいあるのかわからないので使い慣れないと難しいかもしれないという感じは受けました。点字ブロックにどれくらいの数の「VIBLO BLOCK」がインフラとして埋め込まれるのかな?と考えていました。
今回体験をされた視覚障がい当事者でありCocktailz代表の伊敷さんに感想を聞いてみました。「歩きながら外の音が聞こえるようになってるのは良いと思った。ただ、使い勝手については実証実験中なのでまだまだな部分はある。例えばアナウンスの文章で『この先のつきあたりを右折です』といわれても『この先って何m?曲がるって右なの?左なの?』どのタイミングでどちらに曲がって良いかがまだ曖昧だったりする。」という厳しいご意見もありながら、「これから精度を上げて、視覚障がい者がふらっと出歩けるような環境づくりに貢献してほしい。」と期待をお話されていました。
視覚障がい者が外出したくなるような「楽しい」サービスに
着々と実現化に向けてプロジェクトが進んでいます。「VIBLO BLOCK」をどのように点字ブロックの中に取り込んでいくか、どうやってインフラの一部にしていくのか・・・などなど課題はまだあります。「2020年オリンピック・パラリンピックまでの実用化を目指したい」と語るタキザワさん。「まずは、交通事故の多い横断歩道や視覚障がい者が迷いやすい場所、商業施設などで実証実験を行いたい。さらには、ポケモンGOのような視覚障がい者の外出を促すエンタメコンテンツに展開していけたら面白いと思っていて、その可能性を探るワークショップを計画しています。」という彼の想いに、私はワクワクと期待が止まりませんでした。
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ライター Media116編集部
障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。
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