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その時私は「移住」を考えた。あなたならどの選択肢を選びますか?

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ライター:わに

みなさんこんにちは!ゼネラルパートナーズでライターをしているわにです。私はてんかんとそれに起因する器質性気分障がいのある、精神障がいの当事者です。ある時体調が悪化し状況が暗転…その時私は「移住」を考えたのでした。みなさんならどういう選択をされるでしょうか?

体調の悪化、状況の暗転…私が「移住」を考えるまで

私の障がいは「難治性の側頭葉てんかん」とそれに起因する「器質性気分障がい」というものです。てんかん発作は倒れるような全発作ではなく、めまいがして数秒間自分が何をしていたのかわからない、いわゆる「意識がとぶ」ような発作です。それが月に2~3回起きていました。そのてんかんが起因の「器質性気分障がい」の影響で気分のアップダウンが大きくなるという症状があり、何かのきっかけでうつ状態の時になってしまうと倒れて動けなくなるようなことも多々あります。

そんな障がいがありつつも現職で約5年間、健常者と変わらない勤務形態で勤続していました。しかし、それが起きたのは昨年のことでした。

私は体調を崩し、まともに仕事が手につかなくなってしまったのです。私生活も荒れ、にっちもさっちもいかない状況に陥ってしまいました。それでも献身的に支えてくれる夫。しかし私はそれを申し訳なく思っていたのです。

悩む

「夫一人に負担をかけられない」

そう考えた私は、実家を頼ることを考えました。地元であれば体調が大きく崩れた際に両親を頼ることができ、夫一人に全ての負担をかけなくて済むと思ったのです。体調を考えて自分の地元に移住したいと夫に伝え、私達の移住計画が幕を開けたのです。

移住という夢、はだかる生活という壁

早速職探しを始めました。しかし、いくらインターネットで求人情報にかじりついても希望に合致する職がない…。地方都市ではまだ都心よりも精神障がい者の雇用が進んでいなかったのです。これまでの経験を生かせない仕事や大幅に給与がダウンする仕事しか見つかりませんでした。人材紹介会社を頼っても「地方ですか‥ご紹介できる案件はありませんね…」と困った顔で言われるだけなのでした。

断る

現在の生活を維持するためには私は現職にすがるしかありませんでした。「体調安定のために移住をして仕事を続けたい。現在の雇用形態と仕事内容で継続して頂けないか。」そう相談しました。しかし現職の回答は「支社のない地域で、かつそこに”定住”となると総合職としては雇えない。雇用形態が変わってしまう。」ということでした。簡単に言うと正社員から業務委託という雇用形態になり、給与も月収から1記事いくらという形になるということでした。

「生活ができない」

地元に戻り、給与を下げ生活レベルを落としても体調の安定を取るか?現職にすがり体調に不安を抱えながらも安定した仕事を取るか?その時の私はそのどちらかしか選択できないと思っていました。自分に合った生活をするために障がいがこんなにもネックになるとは想像もしていなかったのです。しかし、どちらの選択肢を選んでも夫に負担をかけてしまうことに変わりはなかったのです。

水たまり

十人十色、様々な生き方がある

私は現職に残ることを決めました。本当は地元に戻りたい。静かで安心できる環境で体調をしっかり整え、生活を営んでいきたい。自分のためにも、夫婦生活のためにも。

しかしその時の私は生活基盤が立ち行かなくなっては体調うんぬんも、元も子もないと思ったのです。安定した収入を得ることが私の安心感にもつながり、生活に(ギリギリですが)ゆとりを持つことに重きを置きました。

また、移住とまではいきませんが、少し穏やかな生活環境を整えるために都内から都内近郊への引っ越もしました。少しでも自分ができる範囲のことで精一杯工夫していこうと決めたのです。

結果として、現在は現職から様々な配慮を頂き、できないことはありつつも今は安定して働くことができています。あえて残ったことが功を奏したと、事実だけをみるとそう思います。

今の自分であったら視野を広げて他の選択肢も考えられたでしょう。例えば休職をして体調が戻るまで実家に頼る、年収は大幅に下がるけれど二足の草鞋でアルバイトと業務委託でライターの仕事をする、全く違った職種に挑戦してみる、障がいを隠して健常者枠で働く…様々な選択肢があったかもしれないと、冷静になって考えるのです。その時の私の状況ではこれらの選択肢はマッチしませんでしたが、視野を広く持てば様々な生き方があると気づくことができたのかもしれないと思うのです。

分かれ道

もうひとつ、今になって思うことがあります。それは「もっと人に頼ればよかった」ということです。私と夫の中での話し合いだけでは2つの視野からでしか物事を捉えられなくなっていたのかもしれないと今なら思います。身近な人や経験者、専門的知識を持った人に頼ることもひとつの手段だったのかもしれません。

精神障がいに限らず、障がいのある方の就職・転職にはまだ課題も多く残っています。そう簡単には希望する職種や希望年収が叶えられないかもしれません。しかし、もし現在の状況に困難を抱えていたり、どうしようもない壁にぶつかってしまった時には思い出して欲しいのです。

「生き方の選択肢は無限」

環境が変わることで何かを失うかもしれません。思い通りにいかないかもしれません。しかし私は今回のことを経験し、皆さんに心にとめておいて欲しいことがあります。

選択肢の組み合わせは無限、そして自分の未来は自分しか選択できないのだということを。

青空

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ライター わに

17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。

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