DIYでユニバーサルデザイン!鍵、ペン、水筒、カバン・・・障がい者ならではのこだわりグッズ公開!
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ライター:Media116編集部
私たちは、日常生活をより便利に楽しくするために、たくさんの道具=モノを使っています。
障がいのある方も一緒で、自分の状況をきちんと把握し、さまざまな工夫をしながら日々を生活していいます。今回、障がいのある方の日常使っているモノにスポットを当て、ユニバーサルデザインの視点によるモノ選びのコツやDIY・ハンドメイドの工夫により生み出されるこだわりグッズをご紹介します!
上肢障がいAさんのモノのこだわりポイントは?
今回取材したのは上肢障がいの方、Aさんです。Aさんは大学時代に障がいを生じて以来、五本の指を別々に動かすことが出来ないとのことで、モノを使うときは
・手と手の間にはさむ
・グーの状態の指の間にはさむ
・あごで押す
・口でくわえる
といった動作を駆使します。 Aさんが日常生活で使うモノは、こうした動作で利用できるかどうか常に考えて商品を選ぶ、使いづらかったら直してしまう、のコト。そうしたモノへのこだわり、さっそくご紹介します。
水筒、ペン、カバン・・・仕事道具に対するユニバーサルデザインのこだわりがスゴイ。
皆さん、日々仕事をする時には何かしら水分補給はしているかと。Aさんも水筒は必需品。ユニバーサルデザインの視点で、商品選びには随分こだわったとのことで、たどり着いたのが下記の2つ。
まずは、会社に持っていっている水筒から。
水筒はスポーツメーカーのものと、ストロー付ペットボトルの2種類。
「スポーツメーカーの水筒は、まず手にかけられるカバーが最初からついていて、水筒を握らなくていいのですごく持ちやすかったです。あとポイントはフタの部分。水筒ってフタをはずすタイプとか、飲み口をクルクル回さないといけないタイプが多いでしょ。この水筒は、あごで押したらカンタンにフタがあき、あごで押せばまた締まる、自分にとってぴったりの水筒でした。」
「ストロー付ペットボトルは幼児用のペットボトルで、フタの部分がストローになっている。だからフタを回してあけなくても、ストローを口で引っ張り出して飲んだら押し込めばOK。使いやすいです。」
続いて、仕事にはかかせないカバン。
「まずはカバンのタイプですが、僕の場合、カバンの中身が取り出しやすいよう、カバンが底まで開くタイプを選んでます。さらに、チャックにはヒモやリングを自分でつけてます。チャックの先は握るのつらいけど、ヒモのわっかさえあればそこに手を通せば引っ張れる。ヒモはあらゆる所につけてますね。あるだけで全然ちがう。」
次はAさん愛用のペン。
「シャープのドクターグリップを愛用してます。ノック式なので通常のペンみたいにフタをはずす必要がありません。さらにドクターグリップの場合、ノック箇所が広く軽いというか、あごで押してもカンタンにノックできるんですよね。」
後で調べてみると、ドクターグリップは人間工学を元に、体に負担をかけない研究を重ねて早20年以上経過しているペンとのこと。使いやすいのもうなずけます。
続いてパソコンのキーボードを打つためのモノ。スタイラスペンといえばいいでしょうか。
「手に巻きつけてつかうユニバーサルニューカフに、市販のノック式消しゴムを組み合わせて自作しました。以前は鉛筆のお尻の消しゴムを使っていたのですが、この消しゴムだと汚れたらカッターで切ればいいし、キーボードもうちやすい。重宝してます。」
会社のロッカーの鍵。
「小さな鍵を握って挿して回す、という動作がキビシイ。だから鍵の後ろにL字型の金具をつけて手と手の間にはさんで回せるようにしました。元々自分用に車をカスタマイズした時に、車についていた鍵がそうなっていたので、自分の鍵にも応用したんです。これはすごく使いやすく、同僚にもリクエストされてプレゼントしました。」
「あとはスプーンやフォーク。僕はグーの状態の指と指の間にスプーンやフォークを差しこんで固定します。だから市販のフォークやスプーンの中から、指に刺しやすく動かないモノを選びますね。」
少しの取材しただけでこれだけのこだわりが。。今回印象的だったのは、Aさんが一般の商品の中から自分にあったモノ選びをしていること、それがベストでなければ自分で工夫して工作してしまい、ベストフィットさせてしまうこと。
Aさんいわく「ユニバーサルデザインのモノ、バリアフリーのモノは使いやすいです。ただ一般の商品と比べるとどうしても価格は高めなので、一般のモノで代用できるモノは代用しちゃう。そして専用のモノのほうがいいものはそちらを選択する。うまく使っていくことですよね。」
といいながら、吸っていたタバコを氷の入った灰皿にポトッと落とす。
なるほど、タバコの火をぎゅっと押して消せないから。そのための氷か。。
隅々までいきわたった創意工夫に最後まで唸らされました。
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ライター Media116編集部
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