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マイナンバー制度における点字対応のその後~後編~

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マイナンバー制度における点字対応のその後~後編~

ライター:Media116編集部

視覚障がい者向けの配布物がまもなくリリース

各市区町村で、マイナンバー点字化の独自サービスが模索されている一方、国の視覚障がい者向けのマイナンバー制度の施策は進んでいるのでしょうか。
「マイナンバー制度における点字対応のその後~前編~」はコチラ

2015年12月22日の国会で、視覚障害者へのマイナンバー通知カードの発送方法などの改善が内閣府と総務省へ要請され、その際、政府が作成した点字パンフレットや音声説明CDが障がい者の手元に届かないことや数の少なさが指摘されました

▼マイナンバーに関する点字パンフレットや音声説明CDの紹介ページ
特集-マイナンバー:政府広報オンライン

内閣府の担当者は「指摘を重く受け止め、3月までに点字媒体が作れないか検討したい」と回答しています

この件について、実際に動きがあるのか、内閣府の社会保険改革担当室に問い合わせたところ、現在、視覚障がい者用にマイナンバーについて必要な情報を盛り込んだ媒体を「点字」「大活字」「CD」各2万部ずつ作成しているところだそう。

マイナンバーの利用場面や、行政担当に自分の番号の代読依頼をする場合、といった情報が記される予定とのことで、2016年3月末までに各自治体への配布を目指しているそうです。

マイナンバー制度の知識を持つこと、自分で情報管理に責任を持つことはとても大事なことです。4月以降に、自分の住む自治体に、内閣府の作成した点字やCDの媒体がもらえるか、問い合わせてみるとよいでしょう。

一方、地方公共団体情報システム機構によれば「個人番号カード」について、今後「氏名」だけでなく、「個人番号」の点字表記もできるようにならないのか、と問い合わせたところ、今のところその予定はないとのこと。非常に残念ですが、本人確認の身分証明書としてメリットが大きいことがうたい文句のカードなのですから、いずれ改善してほしいところです。


視覚障がい者がマイナンバーを必要とする場面は?

マイナンバーは2016年1月以降、職場や行政手続きの際に求められるようになります。あらためて視覚障がい者にとって、マイナンバーはどんなときに必要になるのでしょう。内閣府の点字・大活字広報誌「ご存じですか?マイナンバー」から必要例を転載します

内閣府の点字・大活字広報誌「ご存じですか?マイナンバー」

内閣府の点字・大活字広報誌「ご存じですか?マイナンバー」


1) 年金を受給しようとするときに年金事務所にマイナンバーを提示

2) 健康保険を受給しようとするときに健康保険組合にマイナンバーを提示

3) 障害者総合支援法に基づく自立支援給付の申請をするときに市町村にマイナンバーを提示

4) 毎年6月に児童手当の現況届を出すときに市町村にマイナンバーを提示

5) 奨学金や就学支援金の申請をするときに学校にマイナンバーを提示

6) 所得税及び復興特別所得税の確定申告をするときに税務署にマイナンバーを提示

7) 税や社会保障の手続きで、勤務先や金融機関にマイナンバーを提示

 生活上、特にお金の関わる重要な手続きの多くで必要になることがわかります。また、銀行で「マル優(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)」などを利用する際も、マイナンバーの提示が求められます。視覚障がい者が番号を実際に利用しなければならない機会は必ず出てくるのです。やはり、自分のマイナンバーは、自分でいつでもわかるようにしておきたいものです。


代読・代筆・点字シールなど、まずは要望を伝えてみよう

視覚障がい者にとってマイナンバー制度で不安な点として、もうひとつ、手続きの際に、代筆や代読が頼めるのか、という問題があります。

総務省によれば、役所で代読、代筆が頼めるかどうかは、かなりケースバイケースで、ひとくちにOK・NGといえないそう。特に「代筆」について、実は多くの場合は代筆可能なのですが、なかには署名だけは本人自筆でなければいけないものもあるそうなのです。

マイナンバーが必要になる手続きは非常に多様です。また、市区町村の窓口ごとに設備もちが違えば対応も違います。ですから、「代読」「代筆」「点字シールの貼付」など、マイナンバーの関連で、やってほしいことがある場合は、まずは自分の住む自治体に電話を入れて、

「通知カードのカバーにマイナンバーの点字シールを作って貼ってほしいが、してもらえるか?」

「マイナンバーが必要なこの手続きは代理人でOKか? 自筆必須の書類はあるのか?」

「この手続きに1人で行くが、マイナンバーや氏名の代筆など頼めるか?」

など、問い合わせをすることがおすすめ
です。

問い合わせなしに市区町村の役所を訪れたり、代理人をたてて行ってもらったりしたものの、再度来訪が必要になり、二度手間に……、といったことは避けたいもの。また、本当はしてほしいことを言わずに不満や不都合を抱えているのももったいないことです。

取材のなかで感じたことは、点字化の希望が一件もきていないために対応が決まっていない、サービス内容を広報していない、という自治体も少なからずあるようだ、ということでした。

一本の電話が自治体を動かすことにつながります。対応に失望することもあるかもしれませんが、誠意をもって対応しようと動いてくれる人もいるはず。自分の個人番号を自分でいつでもわかるようにしておきたい、と願うのは、当然の権利です。ぜひ、マイナンバーを、文字通り、自分の大切な番号としていつでも使えるようにしてください。

最後になりますが、通知カードや個人番号カードが盗用されると、不正な行政手続きをされる恐れがあります。自宅での保管場所を把握しておくこと、また外出時に携帯する際は、紛失しないように重々注意する必要があることを忘れないでください。

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ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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