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障がい者の法定雇用率2.7%へ引き上げ!その歴史と背景とは

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ライター:keita0206

こんにちは!障がい者ライターのケイタです!厚生労働省により、2026年7月から障がい者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられたニュースは、皆さんご存じでしょうか?障がい者雇用の枠には、身体障がい、精神障がい、知的障がいと大きく3つが存在しており、必要とされている割合や求めている企業の属性もさまざまです。

今回はこのニュースを踏まえて、障がい者雇用とはどういうものなのか、その歴史や、雇われる側にとっての意味、今後の傾向などを考察していきたいと思います!

①戦争傷病者支援から生まれた、障がい者雇用

そもそも障がい者雇用のきっかけは、日中戦争から太平洋戦争にかけての傷病軍人に雇用の場を与えようという、国の施策から始まりました。現在は障がい者雇用という名目で成立していますが、元々は「国のために戦った元軍人を救済する」という考えだったのです。

そのため神奈川県では「平塚傷兵工場」という、戦場で負傷した兵士が働ける自動車工場が1940年4月に設立され、1941年に操業を開始しました。

1998年時の平塚傷兵工場跡
▲1998年時の平塚傷兵工場跡 ( 出典:平塚市博物館「博物館アーカイブ」 https://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/rekisi/00000045/8.html )

しかし当時日本を占領していたGHQは、「非軍事化政策」のもと、軍人支援に特化した支援を禁止しました。日本政府はこの制約をクリアするため、「軍人に限らず、一般のすべての身体障がい者を対象とする福祉制度」へと方針を転換。これにより、傷病軍人の救済から障がい者雇用が生まれたのです。

そしてもう一つ、障がい者福祉の重要なきっかけとなったのが、ヘレン・ケラーの来日です。ヘレン・ケラーは1948年に来日し、約2か月間で全国の地域を回り、福祉政策の必要性を説いて回りました(この活動はヘレン・ケラー・キャンペーンと呼ばれています)。

この流れの中で、1949年(昭和24年)に日本初の障がい者福祉の法律である「身体障害者福祉法」が誕生します。

これにより、傷痍軍人を受け入れていた職業補導所なども、一般の身体障がい者が通う「身体障がい者公共職業補導所」へと、支援の範囲を広げて引き継がれていきました。

ですが当時は、精神障がいや知的障がいのある当事者の働く場はまだ存在せず、これらが身体障がいの次に法定雇用率の対象に含まれるのは、数十年先のことになります(知的障害者は1998年に、精神障害者は2018年に雇用が義務化されました)。

②現在の障がい者雇用として形成されるまで

制度が始まった当初は、雇用率はあくまで民間の「努力義務」でした。しかし、努力義務では期待したほど雇用が進まなかったため、次第に法律として制定される流れに至ります。

その背景には、ILO(国際労働機関)による「身体障害者の職業更生に関する勧告」や、高度経済成長に伴う労働力の不足から、身体障がい者にも人員の募集がかかったことがありました。

こうして、1960年には「身体障害者雇用促進法」が制定されました。しかしこの時点で義務化されたのは、地方自治体などの公的機関(非現業的機関)のみで、当時の雇用率は1.5%。民間企業における雇用義務は、まだ努力義務にとどまっていました。

※「現業的機関」とは、当時の郵政省、林野庁、造幣局、印刷局などの現場作業を主とする機関を指します(この区分は1998年7月に廃止されました)。

民間企業にも障がい者雇用率が義務化されるのは、16年後の1976年になります。努力義務だけではなかなか企業が障がい者を雇用しようとしなかったため、ようやく今の原型となる一般企業の障がい者雇用が義務化されたわけです(一般企業の雇用率も、1.5%からスタートしました)。

義務化に伴い、未達成の企業に対しては、障がい者雇用の不足分に応じた納付金の徴収や、企業名が公開されるといった仕組みが設けられ、基準を満たす企業は徐々に増えていきました。

障がい者雇用の推移は、年々身体障がいを中心に上昇してきている
▲障がい者雇用の推移は、年々身体障がいを中心に上昇してきている (データ出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果 」。https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001357856.pdf )

③雇用率の上昇は、当事者にどのように関係するか?

障がい者の雇用人数が増えるということは、雇用側のニーズがまず増えるということなので、障がい者雇用の求人倍率が上がることがまず考えられます。そうすると、これまで身体障がい者しか雇用の対象にしていなかった企業も、精神障がいや発達障がいのある当事者を雇用対象に入れはじめることが考えられます。

それに比例して障がい者の働き口も増え、フルタイムの雇用が難しいといった当事者にも、配慮をしてくれる企業が増加する可能性があります。

また、雇用だけに限らず、従業員の母数が多い大企業では、働いている当事者の数も多いため、快適に業務を行えるよう建物内設備のバリアフリーが進んでいくことも期待できます。

パソコンを見ながら車いすの社員と話し合う様子

このように、障がい者を雇い入れる間口や設備が整っていけば、メリットを享受できるのは障がい当事者だけにとどまりません。高齢の労働者や、来客の中に妊婦やけが人がいても、スムーズに対応できるお店や企業が増えていくことが考えられます。

④障がい者の人口と、雇用率はどう比例している?

では、障がいのある人はどのくらいいて、実際にどの程度が雇用に結びついているのでしょうか。

内閣府「令和7年版 障害者白書」によると、身体障害のある人は約416万人(在宅)、知的障害のある人は約114万人(在宅)、精神障害のある人は約576万人(外来)とされています(※1)。合わせるとおよそ1,100万人にのぼり、国民のおよそ11人に1人に何らかの障害があることになります。ただし、この中にはお子さんや高齢の方、施設に入所している方なども含まれるため、この数がそのまま「雇用の対象者数」を表すわけではありません。

一方で、企業に雇用されている障がい者の状況を示すのが「実雇用率」です。厚生労働省の最新の集計(令和7年)によると、民間企業(従業員40人以上)で雇用されている障がい者数は約70万5,000人で、22年連続で過去最高を更新。実雇用率は2.41%で、こちらも14年連続の過去最高となっています(※2)。障害種別では、身体・知的・精神のいずれも前年より増えており、特に精神障がいのある雇用者は前年比11.8%増と、大きく伸びているのが特徴です(※2)。

注目したいのは、実雇用率が過去最高を更新している一方で、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%と半数を下回ったままである点です(※2)。これは、2024年4月に法定雇用率が2.3%から2.5%へ引き上げられ、達成のハードルが上がったことが影響しています。雇用は着実に進みつつも、制度が求める水準に多くの企業がまだ追いついていない――それが現在の実態だといえます。

⑤今後も雇用率は上昇傾向にある?

民間企業の法定雇用率は、2021年3月に2.3%、2024年4月に2.5%、そして2026年7月に2.7%へと、段階的に引き上げられてきました(※3)。この引き上げに合わせて、雇用義務の対象となる企業の範囲も広がり、2026年7月以降は従業員37.5人以上の企業が対象となっています。

法定雇用率は、障害者雇用促進法により少なくとも5年ごとに見直すこととされているため、今後もさらに引き上げられていく可能性は高いと考えられます。

その背景には、少子高齢化による人手不足があります。これまで中心的な担い手だった身体障がいのある雇用者が高齢化でリタイアしていくことや、フリーランスやギグワークなど多様な働き方が生まれていることもあり、今後ますます、企業にとって障がい者の確保は重要な課題となっていきます。

また、2018年には精神障がい者も雇用義務の対象に入り、企業側のノウハウも年々蓄積されているため、今後さらに活躍の幅が広がることも期待されています。

人気の職種としても、ITやAI関連の仕事、イラストレーターやWebデザインを使った仕事などが増えてきており、肉体労働にハンデのある身体障がい者や、対人関係にハードルを感じる精神障がい者にとって、相性の良いジャンルの職業が増えてきています。

障がい者雇用が義務化されたことと、社会の多様性への理解により、働ける場所の選択肢が格段に増えた現代。今後は、自分の障がいに合った働き方はどのようなものかを模索しながら、生活スタイルに合った働き方を見つけていくことが、当事者にとっての課題となっていくでしょう。そのためには、当事者と企業をつなぐHub役の存在がカギとなってきそうです。

障がいがあってもできること、企業がカバーできる部分などの意思疎通が、AIなどの情報技術によってより円滑になっていけば、今後ますます障がい者の活躍できる場面は増えていく――そう考えてよいのではないでしょうか?

【出典・参考】
※1 内閣府「令和7年版 障害者白書」(身体障害者・知的障害者は厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」2022年、精神障害者は厚生労働省「患者調査」2023年に基づく)
※2 厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(2025年12月19日公表)
※3 厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
・平塚市博物館 博物館アーカイブ https://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/rekisi/00000045/8.html
・日本社会福祉学会 発表資料 https://www.jssw.jp/conf/65/pdf/A01-04.pdf

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ライター keita0206

1992年福岡県生まれ。先天性四指欠損という、左手の指が生まれつき4本無い状態で生まれる。大学4年生の就活の最中、ママチャリ日本一周を思い立つ。大学卒業後は就職せずアルバイトで資金を貯め、2015年5月〜2016年9月までの約1年4ヶ月で、ママチャリでの日本一周を達成。その後クラウドファンディングにて旅の記録を書籍化。旅後は大阪で一人暮らしをするも、旅したい欲求が溢れ2022年7月〜12月にバイクで2度目の日本一周を達成。現在は自転車インド一周の旅に向けて準備中。

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https://keita-kabu-world.hatenadiary.com/

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