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見えなくても、自分らしく歩む ー視力障害センター前編

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ライター:keita0206

こんにちは!障がい者ライターのケイタです。皆さんはこれまで、一度は視覚障がいの方を街中でお見かけしたことがあるのではないでしょうか?
視覚障がい者は、勝手に点字が読めるようになるわけでもなければ、白杖を使って点字ブロックを認識したり、バスや電車へ乗り降りできるようになるわけでもありません。日常生活を送るための訓練施設で、様々な経験を通して視覚障がいがあっても社会に適応できる経験を積んでいます。
今回はその訓練施設である「福岡視力障害センター」へお邪魔し、施設内の様子や訓練方法、さらには利用者の方へインタビューをしてまいりました。盛りだくさんの内容となっていますので、この前編ではまず、施設の概要と担当者へのインタビュー内容をお伝えしていきます。

福岡視力障害センターの概要と主な役割

福岡視力障害センターは福岡市西区の今津に設置されている、視力に何かしらの障がいのある方が日常生活の訓練、もしくは就業するための技術を学べる支援機関である。なおかつ、埼玉県にある国立障害者リハビリテーションセンターの自立支援局として運営されている。

福岡視力障害センターの外観
▲センターの外観

このセンターは主に、日常生活を送るための自立訓練と、鍼灸師、あんまマッサージ師になるための技術を習得できる専修学校、そして養成施設としての3つの側面から成り立っている。

自立訓練の期間は最長18か月とされているが、ほとんどの人は1年以内の訓練で一人で出かけられるようになったり、家事のスキルが向上するという。センター内には通いながらの受講が難しい人のため、寮も完備されており、平日の朝9時から夕方5時までみっちり訓練をこなすと必要な技術やコツが身体に馴染んでいくとのことだ。

対して、仕事を継続している人の場合は、休みの日に訓練に通うこともできるため、自分の状況に合わせた訓練を受けることができるのがうれしいポイントだ。弱視など、多少見える人の場合は3か月程度で自立訓練が修了することもあり、症状の程度によって訓練の度合いは変わってくるといえる。

一方専修学校と養成施設のほうでは、決められた授業単位を習得する必要や、試験に合格しないと国家資格を習得できないため、3年の月日が必要とされている。

自立訓練の定員は10名、養成施設のほうは60名とされており、訓練以外でも臨床心理士がカウンセリングする社会的心理的支援や、医師による健康管理、タップダンスやゴールボールなどのクラブ活動も行われているため、充実した訓練生活を送れると受講生からも評価されている。

タップダンスをする様子

眼科健診の様子
▲健康管理やクラブ活動も充実している(パンフレットより)

施設利用情報についてのQ&A

では実際に視覚障がいを持った当事者が施設利用を検討している際、押さえておくべきポイントはどのような点だろうか。ここからはQ&A形式で、施設職員の小山さんに伺った内容をお伝えしていく。

人体模型を前に説明してくださった小山さん
▲センター内を案内してくださった支援課長の小山さん(施術実習室にて)

Q:視覚障がいといっても、人によって程度の差もあると思います。それにおける入所の基準はどういったものでしょうか?

A:当施設は障害福祉サービスを提供しているので、自立訓練を受けるうえでは障害福祉サービスの受給者証があることが必要となります。あとは歩行訓練など、特定の訓練にドクターストップがかかっていなければ問題なく訓練を受けることができます。

資格取得などの就労移行支援を希望される場合はそれに加え、高校卒業程度の学力証明が必要であったり、65歳までという年齢制限をクリアしている必要があります。

Q:年齢のこともしかりですが、視覚障がい以外に複合的な障がいを持っている場合の受け入れはどうなるのでしょうか?

A:自立訓練のほうは、内容に支障がなさそうであれば実施することは可能です。どの様な障がいをお持ちかによって、限定的な訓練内容にはなりますが、全くできないということはありません。

これまでにも聴覚障がいをお持ちの方や、肢体不自由の方、高次脳機能障がいの方をお受けしたことがあります。障がいによってはバスや電車の乗り降りが難しかったり、より多くのサポートが必要な場合もありますが、必要な部分は介助しております。

ただ寮生活のほうは介助員はおりませんので、あくまで自立した生活ができる方を対象としております。

Q:訓練や資格取得のための養成を受ける場合、寮で生活すると概算どれほどの費用が1か月で必要になるのでしょうか?

A:施設の利用費は主にサービス利用料(寮費含む)と食事代に分かれています。利用料は所得によって負担上限月額が変動するのですが、食事代は定率負担として皆さん一律の金額でいただいています。

利用者が市町村の定める低所得者と判断された場合、利用料金は0円となります。一方、食事代は1日当たり1,826円となるので、1か月で55,000円の費用が発生します。所得が多い人の場合は利用料の上限が37,200円となっておりますので、最大92,000円の費用が発生します。

ただ実際には、利用料が上限までいく場合はめったになく、利用費と食費を合わせて、7〜8万円程度の方が多くなっています。

具体的な訓練方法についてのQ&A

先ほどのQ&Aで、施設の大まかな利用基準や、費用面を知ることができた。ここからはより詳しく、訓練の内容やその難しさについて掘り下げて小山さんに伺っていく。

Q:自立訓練の具体的な流れを教えていただけますか?

A:例えば、歩行訓練であれば白杖の使い方から覚えてもらいます。まず杖を使ってまっすぐ歩く練習や、点字ブロックを認識する訓練、壁にぶつからないよう曲がる技術を習得していきます。基本動作ができるようになったら、信号や交差点を渡ってみたり、点字ブロックのないところを歩いてみたりなど徐々に移動範囲を広げ、屋外での活動ができるように訓練をしていきます。

屋外での歩行がある程度可能になってくると、電車やバスに乗る練習もしていきます。それも最初は隣駅までを目標にしつつ、達成できればどんどん移動距離を延ばしていきます。最終目標としては、福岡の繁華街である博多や天神を一人でバスや電車を乗り継いで行き来できるレベルまで持っていくこと。ここまでくれば、大体の既知の場所で単独歩行ができるでしょう。

Q:人によって程度はそれぞれだと思うのですが、目安としてどれくらいのペースや分量で訓練を進めていくのですか?

A:全く見えない人が初めて寮生活をしながら訓練をスタートして、自立生活を行えるようになるまで大体半年程度かなと思います。
最初の1~3か月目までは、施設内の歩行訓練や白杖の使い方、点字ブロックを伝っての歩行を行います。電車やバスを使っての遠出は4か月目くらいから行っていき、5か月目には一人で外出もできるようになっていきます。訓練では安全の確保は必須なので、訓練生の技術が向上するにつれて距離を離していきます。そうすると訓練生は通行人の介助も受けることもあります。このような外部とのコミュニケーションも自立訓練の一つです。

歩行訓練のコマ数も、最初は1コマ45分が週に2~3回程度から始めるのですが、遠出できるようになると週に2日は午前中いっぱい歩行訓練を行ったりもします。最終段階では朝から晩まで歩行訓練の日もあります。

9本ほど並んだ白杖
▲白杖の中には折り畳み式のものもあったり、先端の形もそれぞれ違う。

日課時限、起床7時・ラジオ体操7時25分~7時35分、朝食・8時~8時30分、授業・訓練9時~12時30分、昼食・休憩12時30分~13時30分、授業・訓練13時30分~16時5分、夕食17時30分~18時、門限21時10分、点呼21時15分、消灯24時
▲訓練の1日スケジュールはこのようになっている(パンフレット参考)

Q:歩行以外の訓練(パソコンやスマホ、点字や家事全般)はどの様に行っていますか?

A:すべて並行して行っていきます。それぞれ習得するまでの難易度も違ってくるので、できるようになった訓練から終わって、余った時間を歩行などの時間のかかる訓練に充てていくといった流れになっております。

一部料理などは、日常生活そのものができた上で訓練可能になるので、そういった場合は途中からスタートする項目に割り当てられます。

Q:それらの訓練も含めて半年程度で習得できるのですね。では自立訓練の中で特に難易度が高いものはどういったものがあげられますか?

A:一番時間がかかるのは歩行訓練と点字です。歩行は期間いっぱいまで外出訓練を続けます。かたや、一般に中途視覚障がい者では点字利用者の割合は高くないと言われています。

放課後や休日に自主的に勉強されている方であったり、周囲の人に指導してもらうなど努力や工夫を重ねておられる方であれば、比較的訓練の進捗は早いですが、高齢で視覚障がいになられた方は触覚の衰えもあるので、そういった面でも点字を読めるようになることは簡単なことではないのです。

音声認識ソフトを使ったパソコン、スマホに関しては、覚えることはいくらでもあります。どんどんアップデートもされますし、使用するアプリケーションも人によってバラバラですので、その人がどこまでデバイスやソフトを使いこなしたいかによって覚えることはいくらでも増えます。しかしメールを送ったり、文章や表の作成、ニュース記事サイトの閲覧程度であれば、訓練期間内に習得していただいている方がほとんどです。

訓練生がパソコン訓練を受ける様子
▲パソコン訓練の様子

当事者のために周囲ができること

視覚障がい者が日常生活を送れるようになるには、これまで述べてもらった通り多岐にわたる自立訓練を当事者自らが習得していく必要がある。ではその当事者が少しでも日常生活を送りやすくするため、私たちにサポートできることはどの様なことがあるのだろうか。最後に小山さんに伺ってみた。

小山さん:当事者にサポートを求められたら手を差し伸べてあげるというのはもちろんなのですが、もう一歩踏み込んで当事者のことを知ろうとする、興味を持つことが大事なのではないかと思います。

例えば私がケイタさんに対して何かやりたいと思っても、ケイタさんのことを知らなければ何をやったら喜ばれるのかもわからないですよね?それと同じで、もっと視覚障がい者のことを知っていただいて、「こんなサポートがあれば良いんじゃないか」「こんな風に工夫すればこれもできるんじゃないか」など、身近な人から意見が出るようになれば、当事者にとってもより生きやすい社会ができていくんじゃないかと思っています。

ケイタ:当事者にとって苦手だけど、言いづらいこともあるでしょうし、本人が自覚してない困難なこともまだ埋もれているかもしれませんね。そういった意味では、当事者のSNS発信などが現代では手に取りやすいので、そこに私たちがもっと関心を向ければお互いの協力関係を築ける一助になりそうですね。

後編のお知らせ

前編では主に施設概要と管理者へのインタビューを展開していきました。
後半では施設の設備案内や訓練生の方へのインタビューも掲載していく予定です。乞うご期待ください。

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ライター keita0206

1992年福岡県生まれ。先天性四指欠損という、左手の指が生まれつき4本無い状態で生まれる。大学4年生の就活の最中、ママチャリ日本一周を思い立つ。大学卒業後は就職せずアルバイトで資金を貯め、2015年5月〜2016年9月までの約1年4ヶ月で、ママチャリでの日本一周を達成。その後クラウドファンディングにて旅の記録を書籍化。旅後は大阪で一人暮らしをするも、旅したい欲求が溢れ2022年7月〜12月にバイクで2度目の日本一周を達成。現在は自転車インド一周の旅に向けて準備中。

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公式HP
https://keita-kabu-world.hatenadiary.com/

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