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もう試着を諦めなくていい!「みんなのフィッティングルーム」を体験してきた!

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ライター:Media116編集部

身体障がいのあるみなさん、フィッティングルームが原因で試着を諦めた経験はありませんか?JR有楽町駅を出て目の前に立つ「有楽町マルイ」にて、試着を諦めなくていいフィッティングルーム、「みんなのフィッティングルーム」が完成しました。一体どんな試着室なのか!?Media116編集部が体験取材してきました!

「みんな」による「みんな」のためのフィッティングルーム

有楽町マルイ7階にある「みんなのオーダー by VISARUNO」内に「みんな」が使いやすい試着室、「みんなのフィッティングルーム」が完成しました。広い空間にベビーカーや車いすのまま入ることができ、家族や友達、パートナーと一緒に試着を楽しめるフィッティングルームだそう。

フィッティングルーム内には、扇風機や筆談ボード、横になれるベッドソファー、明るさや色調整ができる照明、呼び出しベルなどが設置されているとのこと。

今回、有楽町マルイ「みんなのオーダー by VISARUNO」ショップマネージャー兼コミュニティオーガナイザの須藤さんにお話を伺いました!

VISARUNOスーツ

店名にある「みんなのオーダー」の「オーダー」にはふたつの意味が込められているといいます。オーダースーツの「オーダー」、そして英語の“Order”の本来の意味である「注文」。様々な人の声、不満、使いづらさを届けてほしい。それをここ有楽町マルイから解決していきたいという思いから名づけられたそうです。

そんな思いからつくられたフィッティングルーム内部は一体どうなっているのか!?本当に当事者が使いやすい・使える仕様になっているのか!?実際に体験してきました!

フィッティングルーム

オシャレなウッド調のドアはスライド式になっていてわずかな筋力・握力でもスムーズに開けることができました。片手で簡単に開けられるようにドアの中身を切り抜いて重さを軽減しているそうです。奥の方まで開くと止まるようになっています。また、ドアのカドで怪我をしないよう丸く削る工夫も凝らされています。入室ひとつとっても、細やかな心配りがされています!

部屋

中に入ると広々とした空間が広がっています。広さは普通のフィッティングルームの3倍~4倍あるそうです。部屋の中はとても明るく清潔感があります。色覚特性(色盲・色弱)のある方のために照明の調整も可能にしているそうです。なんという心配り!

写真の通り、ひと部屋がカーテンを隔てて区切られるようになっています。「プライバシー配慮のため」と伺った際には「ひとりで試着するのにプライバシー?」と疑問に思いましたが、そこには「みんなの」フィッティングルームと言われる由縁がありました。

「フィッティング=ひとりで使うもの、とは決まっていません。」そう語る須藤さん。パートナーや家族、友達と買い物に出かけた際、試着をする際には通常であればひとりで試着し、同伴者は外で待つというスタイルですよね。しかし「みんなのフィッティングルーム」では一緒にフィッティングルームに入りカーテン越しに会話を楽しみながら着替え、みんなにお披露目をして試着を楽しめるのです。

また、介助が必要な方の場合、介助する側とされる側が異性の場合もありますよね。その場合でもカーテンで仕切られていることで介助とプライバシー配慮の両方が叶うよう工夫されているのです。

「小さなお子さんを連れていて、外において試着するのは心配」という親御さんにとっても優しいつくりになっています。フィッティングルームに空きがある際にはママさんたちが授乳室代わりにも利用されているそう。休日、混んでいる中で授乳室を探して待つのは一苦労ですよね。そんな時に利用できたらとても有難い!

「着なくてもいい。話し合いをしていてもいい。子供と遊んでいてもいい。使い方はお客様に決めていただければよいのです。だから“みんなのフィッティングルーム”なんです。」須藤さんがそう語る理由がよくわかりました。

太陽の部屋

このフィッティングルームは「ホテルの中庭」というテーマでつくられたそうです。「太陽」をイメージしてより明るさを演出したり、壁に飾るインテリアに丸いものを選んだりと内装にもこだわりが凝らされていますね。

筆談ボード

入室するとすぐ右手には筆談ボードが用意してありました。この筆談ボードは聴覚障がいのある方にだけではなく、様々な用途で使われているそうです。発語・発声が難しい方とのコミュニケーションにも、試着を待っているお子さんのお絵描き用にも、道を尋ねられた時に図を書いて説明するためにも。ボードにしたことで、メモ帳を使わず無駄なくスマートにコミュニケーションがとれるよう心配りがされています。

鏡

カーテンの先に入ると、左手に車椅子でも手が届く高さのハンガーとパンツ試着用のベルトがかけられていました。足元には靴べらや洋服をいれるためのかごの用意もありました。ソファに座っても着替えた姿をチェックできるよう、鏡もついています。床には普段じゅうたんが敷いてあるそうなのですが、車椅子ユーザーの方が試着する際には下げて頂けます。向かって右手には呼び鈴がついているのでお声がけする手間やお声がけ頂くストレスがありません。

ソファ

ソファも車椅子から移乗しやすい高さになっていました。車椅子が接車しやすいよう、
左側が斜めに削られています。ユニバーサルデザインを取り入れたつくりだそうです。

そして実際に移乗してみるとこのような感じに。

移乗してみる

女性スタッフが乗っても十分な広さがあります。壁には所々手すりが備えてあるので座位でも立位でも、安心して着脱ができるようになっています。

今回は取材なので系列店で試着させて頂く服をお借りしましたが、普段は有楽町マルイ店内のお店の洋服類であれば持ってきて試着可能とのこと。とても嬉しいですね!

着替えが終わり、もう一つのフィッティングルームを拝見しに行きました。

月の部屋

こちらは「月」の部屋。「太陽」の部屋より少し暗めで、バーのような雰囲気です。「大人の隠れ家」にしたかったという須藤さん。コンセプトもこだわり抜いてつくられたのですね。

部屋の広さは「太陽」の部屋よりも少し小さめですが、スムーズに車椅子移動もでき、試着するには十分です。

限られたスペースの中にふたつもフィッティングルームが!?少し驚きでしたが、その理由を伺うと…
「障がいのある方はどうしても試着に時間がかかってしまうことが多いですよね。次の人のために、と焦ってしまう気持ちがあると思います。時間の制約がなく、安心して試着して欲しいと思いふたつフィッティングルームをつくりました。」
当事者目線に立って考えているからこそ生まれた「太陽」と「月」の部屋だったのですね。

月の部屋

実際スタッフが車椅子からソファへ移乗してみると、「太陽」の部屋よりも小さくはなるのですが、試着するには十分な広さでした。こちらにもハンガーやベルト、靴べらや筆談ボードが完備されています。

どちらのフィッティングルームも利用者の使い勝手を一番に考え、お客様からの「声」を大切にしたからこそ完成した「みんな」が使いやすい「みんなのフィッティングルーム」でした。

売り場を「交流の場」にした理由

店内には一部広く取られたスペースがあります。そこを須藤さんは「交流の場」と呼びました。指だけでプレイできる「おはじきサッカー」の台も置いてあります。

おはじきサッカー

大人子供、性別、障がいの有無関係なく交流できるコミュニティスペースとして利用しているそう。
しかし、商業施設として、そのスペースは本来売り場にするべきなのかもしれません。ですが、あえて、皆が集まる場にしたかったと語る須藤さん。そのスペースで生まれるコミュニケーションこそ「ダイバーシティアンドインクルージョン」のひとつだと考えた結果でした。

商業施設の一画から、時代の後押しをする

須藤さん

須藤さんが発端となって開設された「みんなのフィッティングルーム」。そのきっかけはある男子高校生を接客したことから始まりました。車椅子ユーザーの彼は卒業式用のスーツを買いにお母さまと来店し、スーツの試着をしようとしました。

しかし、狭い。車椅子が所々に当たる、回転ができない。狭い中、普通のイスに座りながら試着をしなければなりませんでした。「申し訳ないです。」と須藤さんが言うと「大丈夫です、いつもなので。」そう彼は言ったそうです。その時の心境を須藤さんはこう言いました。

「悔しかった。」

その体験から、車椅子ユーザーだけではなく「みんな」が使いやすいフィッティングルームを作りたい!と一念発起し、たったひとりで構想を練り、上層部を説得し、実現までこぎつけたと言います。

須藤さんの名刺には点字が印字されていました。「名刺に点字入っていれば名前を覚えられるのに」と視覚障がいのある方の「声」を反映したものでした。須藤さんが商業施設のひと区画で「ダイバーシティアンドインクルージョン」を実現できている理由は当事者のどんな小さな「声」でも取り入れるという、ひとりひとりに寄り添った姿勢があるからなのだと思いました。

将来的に「みんなのフィッティングルーム」をなくそうと思っている、そう須藤さんは語ります。
「これが“普通”になってほしいですね。当たり前になれば、“昔、みんなの、っていってたよね”と話す日が来るのだと思います。身体に障がいのある方も、それ以外の方もみんなが使えるフィッティングルームが当たり前になってほしいです。」

商業施設の一画から発信されるダイバーシティアンドインクルージョン。変わりつつある時代を後押しするこの力はきっと、その広さには比例しないのでしょう。

■動画:「すべての人」が使いやすい試着室『みんなのフィッティングルーム』

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