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私なりの子育てのカタチ

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ライター:AYAKA

私には、体の不自由さや言葉のハンディキャップがあります。でも、そんな私でも子育てを通して、たくさんの喜びや愛情を感じることができました。そして、娘との日々の中で「できない」ことばかりに目を向けるのではなく、「できるようになる方法」や「周りに頼る大切さ」を知りました。その中で見つけた「私なりの子育て」のカタチをお話しします。

幼稚園での関わり方

娘は3歳から幼稚園に入園しました。

それと共に私は不安でした。周りのママは健常者のママばかりで言語障がいのある私にはうまく話せて交流ができるか不安でした。通常、子どもを入園させることで「うまく友達とやっていけるかな」「馴染めるかな」と子どもの課題が出てきて、悩むパパとママがいます。それに加えて私と夫の課題は私が周りのママとうまく馴染めるかでした。

そんな心配をしていた私たちですが、入園して間もなく、同じクラスのママがお迎えで子ども達を待っている時間に話しかけてくれました。よく話を聞いてみると、子ども同士が仲良くしてくれていて、そのおかげで私たちママ同士も話す機会をもらえたような気がします。このように見えないところで我が子から何かエールをもらえたような気がして嬉しかったです。

通っていた幼稚園では制服があり、行事ごとに制服を子どもに着せる機会があります。私が特に苦労したことが娘に制服を着せることでした。制服はブラウスにサスペンダーの付いたスカートで右手に麻痺がある私にとっては、かなりの難題でした。ブラウスのボタンは全部で7つ。でも、その7つのボタンをはめるのには右手の不自由な私には約10分の時間がかかります。健常者の方には考えられない時間だと思います。でも、私の場合ひとつの動作に倍、時には倍以上の時間を要します。それは幼い頃から、よく親に聞かされていたことであり、自分でよく分かっていました。なので、朝の忙しい時間に登園時間までに娘に制服を着せることが私にとっての課題でした。

その日は子どもを早めに起こしたり、夫に出勤時間を遅らせてもらい、夫に着せてもらったりして、このひとつの動作に家族の協力が必要です。それに感謝しながら、毎日過ごしています。

幼稚園の制服ボタン止めに10分かかることも
▲幼稚園の制服ボタン止めに10分かかることも

公園の選択

子どもとの遊びは毎日、欠かせません。

自分でハイハイ、歩けるようになると、まだ幼いうちは自分でどこでも行ってしまいます。特に我が子は好奇心旺盛のため、3、4歳の時期は大変で歩行も遅めな私は着いて行くのがやっとでした。

外に出ると、見るもの全てに触りたくなる我が子は、ずっと動きっぱなしで、そんな我が子を連れてふたりで公園に行く機会があります。最近の公園はどこも整備されていて、地面もでこぼこが少なく歩きやすくなっていますが、右足が不自由な私にとっては我が子と行く公園選びもとても重要です。私には右足に麻痺があり、右足がうまく上がらずにちょっとした段差、石ころでも引かかって、つまづいて転倒してしまう時があります。そんな中、動きがどんどん活発になっていく我が子に着いて行かなければならない。

バリアフリーに配慮された公園を選べば、安心して娘と遊べます
▲バリアフリーに配慮された公園を選べば、安心して娘と遊べます

さらに、すべり台などの階段のある遊具はまだ、幼い我が子は一緒に登ってあげなければならないなど、右半身が不自由な私にとっては娘とふたりで公園に行くことはとても勇気が必要なことでした。手を繋いでいて、私が転んでしまったら、娘も転んでしまいます。そんな事に日々、気をつけながら外出しています。このように健常者のママが普段、普通に行っていることでも右半身が不自由な私にとってはあらかじめ、準備や気持ち的にも備えが必要なのです。

娘の捉えかた

私には顔面も半身麻痺があるので、言語障がいがあり、発音がゆっくりな為に聞き取りにくい時があります。幼いころはそのことが自分で理解できませんでした。何故なら、自分では普通の速度で聞こえてるからです。ですが、相手には自分が思うよりも遅めな速度で聞こえるのです。それが言語障がいです。この話し方が嫌で仕方なかった時もありました。

娘が言葉を理解し、聞けるようになった頃、気づいたことがあります。娘は私の発音でもちゃんと理解してくれていました。そのことを気づいた私はすごく嬉しかったのと同時に「 私の言葉は大人でも聞き取りにくい時があるのに、娘には何で分かるんだろう」と疑問に思いました。

そのことを私の運営するサークル活動内で先輩のママさん達に言ってみました。すると、先輩ママさん達は「それは産まれる前、お腹の中にいる時からずっと聞いてる自分のママの声だからだよ」「子どもが喋れるようになると、まだ覚えたてで発音が違くて周りの人には何を言っているのか理解できないけど、ママだけは普段、聞いてるから理解できてあげられるでしょう。それと同じことなんだよ」と教えてくれました。

私はそのことを聞いて納得しました。同時に感動しました。「我が子にとって私の話し方は普通で何も疑問に思っていなんだ」
〃ちゃんと娘に私の声は届いてる〃それだけで母親として本当に幸せです。

6歳になった娘、最近では私の話を聞き取れない人に通訳をしてくれる時があります。「ママはこう言いたいんだよ」って。

そんな娘を私は誇りに思います。改めてママにしてくれてありがとうと娘に感謝する日々を送っています。

お互いの言葉がきちんと届く。それだけで幸せを感じる親子の時間
お互いの言葉がきちんと届く。それだけで幸せを感じる親子の時間

子育ては、喜びにあふれた日々であると同時に、自分自身と向き合う日々でもあります。私には言語障がいや右半身の麻痺があり、毎日の中で戸惑いや不安にぶつかることも多くありました。けれど、そんな私でも、少しずつ前に進むことができたのは、家族の支えと、何より娘の存在があったからです。

思うように体が動かなくて悔しい時も、言葉がうまく伝わらなくて落ち込む時もありました。でも、娘が私の声をまっすぐに受け取ってくれるたび、「大丈夫、そのままでいいんだよ」と言ってもらえたような気がしました。できないことがある自分を、娘はまるごと受け入れてくれていました。

子どもは親の背中を見て育ちます。でも、私にとっては、娘が差し出してくれた小さな手や、くれた言葉の数々が、なによりの励ましでした。子どもから親へも、たしかに愛は届いている――そう思っています。

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ライター AYAKA

1995年生まれの29歳 仮死状態で生まれ、脳性まひとなり、右半身不自由な障がい者。 今現在は一児の母親となり、子育てに奮闘中!”障がいがあってもママになって当たり前” 「障がいママサークルkokowa」の代表でもある。

ブログ
https://www.instagram.com/mamasarkurukokowa/profilecard/?igsh=dnd3b3l6cmx4ZXZq
公式HP
https://x.gd/61LdX

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