「TENGA」がもたらす「障がい者と性」の明るい未来とは
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ライター:わに
みなさんこんにちは!てんかんの障がい当事者であり、ゼネラルパートナーズでライターをしているわにです。男性なら一度はお世話になったことがあるかも?今回は「TENGA」について書いていきたいと思います。TENGAとは男性のマスターベーション補助器具です。「TENGAって…男性のアダルトグッズでしょ?いやらしい…なんでここでそんな記事を書くのかしら」と思われた女性の方。あなたはまだTENGAの魅力やアツイ思いを知らないのでしょう。そして何より、TENGAと障がい者の関係をご存知ないのでは?今回皆さんに是非知って頂きたい!TENGAについてご紹介します。
タブー視されてきた「障がい者と性」
特に重度身体障がい者や知的障がい者の性処理の問題は古くからタブー視されてきました。「性」の問題になると固く口を閉ざしてしまう方もいます。
まるで特定の障がいを持っている人は「性」を楽しんではいけないかのように。
しかし、どんな障がいがあっても健常者と変わらず「性」を楽しむことは人としての尊厳の一つではないかと同じ障がい者として思うのです。
あるメディアでは「障がい者と性」を「社会問題」として報じていたり、健常者のコメンテーターが「こうあるべきだ!」なんて現状も知らずに語っていたり。
しかし「障がい者と性」というのは本当はもっと自由で、オープンに話し合える環境があるべきだと障がい当事者として私は考えています。
その一つとしてかの有名な「TENGA」について語りたいと思います。
「障がい者と性」の課題について積極的なアプローチをしている企業の中にTENGAヘルスケア社があります。
今回はTENGAヘルスケア社の取締役・佐藤さんに取材をさせて頂きました。
そのお話の結果に、きっと皆さまのこれまでの「障がい者と性」というもののイメージががらりと変わることだと思います。まずはTENGAをご存知ない方もいらっしゃると思うので、ご説明をしますね。
障がい者のQOLを向上させる役割としての「TENGA」
TENGA社の理念は「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」。
TENGAというと「男性が使用するアダルトグッズ」というイメージが一般的ですが同社では「誰もが」性を楽しめるものにしたいと考えられています。
その「誰もが」に入るのは、男性だけはなく女性も、障がい者や高齢者などの方々も全ての境遇に置かれた方々を対象としています。
創業前の2004年に遡りますが、TENGA社の代表松本光一さんがマスターベーションについての調査を実施したそうです。その結果、男性の95%、女性の72%がマスターベーションをしているという結果がでました。この結果は、「性」というものは性別関係なく身近なものであるという証明でした。
まずは男性をターゲットに商品開発をはじめ、その後女性も対象にした商品「iroha」を生み出していくのでした。
佐藤さんはこう言いました。
「障がい者、高齢者のような方々も含め、人間に等しく与えられている楽しみを全ての人に与えたい。人間にとって重要な性を楽しむことを奪ってしまうと、QOL(クオリティオブライフ)を下げてしまう。」
「人生の質を上げ、人を幸せにする」それがTENGA開発に隠されたアツイ想いなのでした。
これが一般的に男性に使用されているTENGAです。
そしてこちらが女性用の商品「iroha」です。
「iroha」はこちら以外にもリップスティック型の商品なども開発されています。
TENGA商品と障がい者の関係
TENGA商品は重度身体障がい者の性処理の助けとなるようにという思いもこめて開発されています。重度身体障がい者の中には握力が弱く自分ではマスターベーションを行えない方もいます。
その方々のために「CUP用カフ(自助具)」が開発されました。
それがこちら。
通常のTENGA商品に装着し、カフに手を入れることで握力が弱くともマスターベーションを行うことができるというものです。
この開発の背景には驚かされました。
はじめは自分の手で動かすことのできない筋ジストロフィーや脳性麻痺の男性をイメージし、理学療法士の方と一緒に開発されたそうですが、驚きなのは障がい当事者もその場で一緒に考えたということです。
佐藤さんが大学時代に障がい者の地域での自立支援サークルで活動していた際に知った脳性麻痺の男性のお力を借りたそうです。
バリアフリー商品や設備などを作る際には健常者目線で作られることも多いですが、障がい当事者の意見を取り入れ、より当事者が使いやすいよう設計されたのです。
現在こちらのカフは開発中で製品化はしておりませんので、非売品となります。
使用した方の声をもっと集めてから広めていきたいとの想いから、使ってみたいという方へモニターという形でお渡ししているとのことです。
(現状モニターに参加されたのは20人~30人とのこと。)
この補助器具を世の中に広めてほしい!自分も使ってみたい!商品化に協力したい!そう思われる方は、是非こちらの問い合わせフォームから連絡してくださいね。
障がい当事者のご家族への想い
「重度身体障がい者の家族は当事者の性処理問題には非常に困難を覚えているという状況があります。TENGAを使用することに抵抗感を感じられる障がい者のご家族もいるかと思います。そういった方々へ伝えたいことはありますか?」
と伺うと、佐藤さんはこう仰っていました。
「性処理以前に多くの悩みや課題を抱えている方も多いと思うので、性処理まで考えたくないという方も多いと思います。それにもましてTENGAを使用することには抵抗があるのは理解できます。
しかし、適切に性欲をコントロールすることは当事者のメンタルを安定させる効果もあります。
例えば知的障がい者施設で性処理を行ったところ、性へのフラストレーションが解消され問題行動がおさまった例もありました。ご家族の方には「性」にも真摯に向き合って当事者の楽しみやストレス解消のひとつとして捉えて頂きたいです。」
性処理のサポートすることは当事者の幸せを願う一つの方法なのかもしれませんね。
特に障がい当事者が女性だった場合、その家族はほとんどは「なすすべがない」状態だとよく聞きます。それに関して伺ってみると、リップスティック型の「iroha」に装着するカフを作っている最中だとおっしゃっていました。まだ非売品で、モニターを通してテストをしている段階だそうです。
しかし、やはり女性が性にオープンになれる風潮がまだまだ世の中に根付いていないためか、モニターの希望者が出てきづらい状況で、これまで体験された方が一桁台だそうです。
「これからも広くモニターを募っていきたい」という佐藤さん。
女性当事者の性処理という課題を解決したい!そのためにTENGAヘルスケアに頑張ってほしい!そう思われた方(当事者だけでなくご家族の方でも)は、コッソリでもいいので電話や問い合わせフォームからモニターに応募してみてくださいね。
現状一般の方が入手される手段は店舗が7割で、バラエティショップやドラッグストア、アダルトグッズ店での購入が多いそうです。最近ではネットでの購入でAmazonやホームページからの購入も伸びてきている状況だそうです。
障がい者当事者でパソコンでの注文が苦手な方は電話で購入もできるそうです。
(電話での購入窓口は0800-111-5072 平日09:00~19:00)
障がい状況を伝えて、「カフがあると聞きました、モニターとして使ってみたいです。」と言えばサンプルとしてカフをつけて送ってくれることもあるそうです。
(注文が殺到してしまうと数が足りなくなるため、全員に必ず、というお約束はできませんのであしからず。)
これからTENGAが叶えたい「障がい者の性」
これから商品によって、様々な障がい別の性の困難を解決していきたいと考えているそうです。それは身体・知的障がいに限らず精神障がいに関しても幅広く考えていきたいとのこと。
また、当事者の家族が性処理をできるようになるサポートをしていきたいともおっしゃっていました。
TENGAヘルスケア社が障がい者の性を考える上でメインとしてお付き合いされているのが「NPO法人ノアール」と「自立支援センターむく」だといいます。
ノアール代表の熊篠さんが題材となった映画「パーフェクト・レボリューション」が昨年公開され、障がい者の性を広く世に知らしめるきっかけとなりました。同社もこの映画の制作に協力されたそうです。また、最初にカフをTENGAヘルスケア社と一緒に開発したのがノアール代表の熊篠さんでした。
また、「むく」の理事長は同社と同じ想いを持っていて、「性のバリアフリー化が、障がい者福祉を変える」と仰るそうです。「自立支援センターむく」の事業所では、TENGA商品の販売を検討しているそうです。
社外との提携も障がい者と性の課題を解決する上では欠かせないのですね。
また、驚きなことに、決定事項ではないのですがTENGA商品購入の際に障害者割引をすることを検討しているそうです。
障がい者全体の所得の低さを考え、より手にしやすく、幅広い方に性を楽しんでもらえるようにという想いで発案されているそうです。リリースはまだ先とのことですが、実現されることを強く願うばかりです。
今回の取材を通じ、「障がい者と性」の明るい未来が見えました。
「障がい」の周りには様々な課題があり、タブー視されていることは沢山あります。障がい者の結婚、出産、障がいを笑いに変えること、障がい者の夜遊び、飲酒・喫煙…どんなことでも、課題をタブー視してしまうことは簡単です。
しかし、課題にアツイ想いを持って解決に取り組んでいる同社は非常に魅力的で、心を惹かれるものがありました。
障がい当事者として障がい者と性の課題を解決してほしい、世の中に新しい風を吹き込んでほしい、そういった強い期待とともに、感謝の気持ちを述べて佐藤さんとの会話を終えたのでした。
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ライター わに
17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。
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