クラファンで目標額の7倍以上達成! 障がい者が革職人として働く革ブランド『UNROOF (アンルーフ)』
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ライター:aki
東京の郊外、東村山市。西武新宿線の久米川駅を降り、飲食店の並ぶにぎやかな駅前通りを10分ほど歩くと、静かな住宅街にさしかかります。
その一角に、革製品の工房があります。ガラス張りの工房内には、作業用の大きな机が数台あり、工房の奥には革の裁断やミシンがけに使う専用の機材も並びます。
カンカンカン!とパーツを取り付ける打音、ゴォーッと機械の回るモーター音……
ときおり加工作業の音は鳴りますが、職人は全員が黙々と集中して作業をしています。
革製品の製造・販売を行うUNROOF JAPAN。2017年に「障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会」を目指して設立された革工房です。現在6名の障がいのある方が革職人として働いています。
プロダクトの質で勝負
株式会社ボーダレス・ジャパン、UNROOF事業 岡郁佳さん
前回のマクアケプロジェクトは、いかがでしたか?
岡さん 昨年2022年の12月中旬から今年の1月15日まで、マクアケでUNROOFの新商品として長財布を先行販売したところ、47名の方にご購入いただき、目標金額の778%を達成しました。
これまでのUNROOFの商品の売り方を変え、商品の質の高さをメインに打ち出してどんな反応があるか、チャレンジしてみました。
マクアケで販売した長財布。
これまで自社のオンラインショップでは、事業のビジョンである「障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会」を前面に打ち出し、社会貢献の側面からプロモーションを展開してきました。
しかし、あるときメンバーからこんな声がありました。
「自分たちは、質にこだわってものづくりを行っている。けれど、障害がある人が作っているという理由で、お客様の評価が甘くなってしまうのは本意ではない」
その言葉を聞いて、前回は素材の良さや商品の機能、商品の質をメインに訴求しました。
結果、UNROOFを知らない方も「商品が良かった」「こだわって作っているのが伝わった」というような理由で買ってくださった方が、購入者の7〜8割でした。プロダクトをメインに打ち出しても勝負できる、という自信につながりました。
―うれしい声ですね。
岡さん はい。障害者支援に関心のある方だけでなく、多くの方にまずは商品を知っていただいて、選んでもらいたい。前回のマクアケプロジェクトはそんな思いで取り組んでいました。
品質にこだわって、ひとつひとつ手作り
―製品づくりでは、何を大事にされていますか?
岡さん 製品は、すべて職人の手作りです。革の裁断から加工、組み立て、仕上げ、検品、梱包、発送まですべて工房内で作業をしています。
工房の様子
素材は、国産レザー・イタリアンレザーの中から選びます。より多くの方に手にとっていただけるよう、本革を使い慣れていない方にも手入れが比較的簡単な素材を厳選して商品に用いるようにしています。
また、年代、性別、時代に左右されないデザインを心がけています。
例えばお財布の場合は左利きの方用もオーダーいただけるようにしています。左利き用の財布は、前回のマクアケプロジェクトでも高評価の声をいただきました。
UNROOFの商品はちょっとしたひと工夫がされていて、「ちょっと違う」。でもその違いを楽しむ、というのはUNROOFのビジョンでもあるので、そのビジョンを商品を通して、想いを伝えていければ、と思っています。
―手作りですと、作れる個数に制約もありますか?
岡さん そうですね。長財布であれば1人2〜3個を1日かけてつくっています。
1日に生産できる数は決して多くはないですが、しっかり届けられる人がいることが作るうえで一番のモチベーションになります。
工房で手作りをしているからこそ、修理などのアフターケアにも対応できますので、UNROOFの商品を手にとっていただけたら、少しでも長く愛用していただけるようにご相談いただきたいと思っています。
障害者雇用の側面と、こうした品質面が評価されて、セレクトショップとのコラボ商品や、自社内の別ブランドの製造を請け負っています。東村山市の職員の方のネームカードホルダーを担当させていただいたこともあります。
工房にはショールーム兼店舗が併設されており、商品を購入することもできます。
裁断後の端材を使った小物もあります。写真はマスク用ストラップ。
誰もが活躍できる社会をめざして
―障害者雇用の側面についてお聞かせください。現在職人さんはどのような障害のある方ですか?
岡さん 現在、職人として働いているのは精神障害の方が3名、発達障害の方が2名、身体障害の方が1名の計6名です。
メンバーの働き方については、主に勤務時間や出勤日数などについて、個別に配慮しながら調整しています。また、各メンバーの状態や意欲を確認しながら必要な配慮を知るために、ワンオンワンミーティングを定期的に行っています。
『障害』とひとくちにいっても、配慮すべき内容は個人個人で違います。また、季節や気温で体調に変化が出る人もいますから、いつでも困ったときに相談しやすい関係をつくるようにしています。
―御社は「経済的自立」も大切にしていますね。
岡さん はい。その点は重要視しています。
当社は福祉事業所ではないということを強く意識し、最低限の配慮はしながらもメンバーの成長につながるように、バランスに気を付けながらコミュニケーションを取っています。
―従業員の「成長」の部分で工夫されていることはありますか?。
岡さん 革製品の工房としては珍しいと思うのですが、各工程を明確に分業せず、製品をつくる最初から最後までの工程を、基本的には1人のメンバーで行うようにしています。
最後の工程である仕上げミシンは技術が必要なため、職人歴の長いメンバーが担当することもあります。ですが、将来的に、例えば革職人として独立したり、別の場所で活躍したりできるように、裁断や加工、パーツの組み立てなどの工程を、全員がひと通り習得できるようにしています。
また、お財布、名刺入れ、キーケースなどアイテムごとに難易度があるので、、あつかえるアイテムの幅が広がっていく形で職人としてスキルアップしていきます。
はじめは工程の少ない名刺入れからスタートします。つぎに財布に使うカードポケットなどの少し複雑なパーツを覚え、そのあとは財布全体を仕上げまで……というような感じです。
苦手や得意を考慮して工程を分けることももちろんありますが、個人の目標に沿って、取り組み方を変えています。
革漉き機
―御社がいま取り組んでいることはありますか?
岡さん いまUNROOFでは改めて自分たちのブランドを立ち上げることに注力しています。その一貫として、昨年12月に続き、2023年3月から再度マクアケで新しい商品の先行販売を開始しました。今回の企画では、形にこだわった名刺入れを展開します。
メンバーみんなでアイデアを出し合いながら企画した自信作です。
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そして、立ち上げ当時からかかげていた「障がいの有無に関わらず」ということをより意識し、将来的には障がい当事者だけではない雇用も検討しています。
障がいをもつ親御さんからお話しをうかがうと、当事者ご本人だけでなく、親御さんもまた、フルタイムで働くのが難しいという現状が見えてきました。お子さんが小さいときに付きっきりになり、子供が大きくなるにつれて将来の不安が募ってくる、そんな声を多く聞いてきました。ですので、UNROOFとしてそんな親御さんたちの希望になる。そんな魅力のある職場づくりをしていきたいと考えています。
工房外観
UNROOF: Webサイト https://unroof.jp/
マクアケプロジェクト: https://www.makuake.com/project/unroof2/
所在地:【カスタマーサービス】
〒189-0013
東京都東村山市栄町3-3-2 ナズ久米川レックス1階
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ライター aki
ASDの長男と、たぶん定型発達の夫と暮らしています。私自身は診断をうけていませんが、おもちゃを一直線に並べて遊ぶ子どもではあったらしいです。 Twitter: https://twitter.com/akiko_m_psy10
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