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インドの障がい者と物乞いの生活事情(障がい者自転車放浪inインド編②)

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ライター:keita0206

こんにちは。上肢障がいのケイタです!先日無事インドに到着しまして、自転車の部品が壊れたり早速タクシーにボラれたりトラブルもありながらも、何とか宿に拠点を構えることができました。その近辺で、「障がい者や物乞いについて、この国の事情を聞きたい」と聞きまわっていたところ、いろいろ現地の情報を得ることができましたので、共有していきたいと思います。

ノープロブレム!俺についてこい!!

インドの道を奔る。ちなみにこの後ディレイラーが曲がったりスタンドが折れたりしたが、親切なインド人のお陰で事なきを得る
インドの道を奔る。ちなみにこの後ディレイラーが曲がったりスタンドが折れたりしたが、親切なインド人のお陰で事なきを得る

現在地は、ニューデリーのメインバザール。空港から20キロ程度離れた場所である。ここは人々の交通と露店、商店が交わる、この街で1番活気にあふれた町だ。ホテルから出て少し歩けば、すぐに、「heyフレンド!どこに行くんだい?」
「ハローミスター!調子はどう?」など、必ず声をかけられる。誰からも声をかけられずに街を歩くのは不可能と言っていいほど、必ずインド人に絡まれる。なので、何かあれば必ずインド人が手助けをしてくれる。(ただしギブミーマネーはついてくるが)。

インド人は、おしゃれ好きなようで、アクセサリーや、ベルトや帽子など、ファッショングッズもよく露天に並んでいる。おしゃれな帽子があったので、1つ購入(約350円)。露天のインド人に、この国の障がい者について知りたいと事情を伝えると、「オーケー!ノープロブレム。俺についてこい!!」と、リクシャを捕まえて、リクシャに乗り込む露天の兄ちゃん。日本人にはないフットワークの軽さ&ノリの良さ。もう1人の店員の兄ちゃんがいたので、店はそいつに任せて、もう1人は私のガイドについてくれた。
ちなみにリクシャとは、三輪自動車のようなもの。乗り心地はあまり良くないが、km/30円程度で安い

リクシャで移動

路店の兄ちゃん。日本人の彼女がいると写真を見せてくれたがホンマかいな⁇
路店の兄ちゃん。日本人の彼女がいると写真を見せてくれたがホンマかいな⁇

なぜ自転車屋と紅茶屋? ドゥユーアンダースタンド??

まず連れていかれたのは自転車屋。なんでだよと思っていたら、ここに車椅子があるぜ!と、店内を案内してくれる露天の兄ちゃん。違う、そうじゃないんだ。車椅子を見たいんじゃなくて、障害者のことを知りたい。何なら障がい者に直接話を聞きたい。そう改めて伝えると、「カモン!案内してやる!」と露店の兄ちゃん。ほんま大丈夫かいな…?

次に連れていかれたのはこれまたなぜか紅茶屋。しかも結構いい感じの店構えだ。むむ、まさか兄ちゃんは、紅茶屋とグルで、ここで高い紅茶を買わせてマージンを得ようという魂胆か!
全然違うじゃんと言うと、「ノープロブレム。ここに日本語がわかる、俺のダチがいるんだ。だからそいつに聞くといいぜ」と。

なるほど、露天の兄ちゃんなりに考えがあったんだな。変な疑いかけてごめんよ。

中に入ると、インドにしては比較的きれいな店内にたくさんの瓶詰めの紅茶が並べられている。なるほどなかなか高そうだ。奥にいたインド人に話しかけると、「こんにちは〜。日本の方ですか?」と。久々に聞けた日本語は大変な安心感だった。ここぞとばかりに、日本語でいろいろ質問したが、彼は障がい者のことについてはあまりよくわからないと。「でも寺院に行けばよく周辺でたむろしているので、何かわかるかもしれませんよ」と。

寺院の入り口

1ビン4000円近くする紅茶が売ってある
1ビン4000円近くする紅茶が売ってある

なるほどそれなら寺院に行こう!今度こそはと思い、露天の兄ちゃんと近くの寺院へ向かう。

家も仕事も無くても生きていける。が…

寺院まで行くと、なるほど確かに周辺でたむろしている物乞いや障がい者の方がおられる。早速近づいて話を聞いてみる。ちなみにインドの国の人々は、日本人と違って、知らない人に話しかけたり話しかけられたりすることに抵抗のない雰囲気を持っているので、さほどかしこまる必要もなく打ち解けることができた。

足を悪くした男性。この3輪車で普段移動しているらしい
足を悪くした男性。この3輪車で普段移動しているらしい

インドの障害者についていろいろ知りたい旨を伝えると、快くオーケーと。足に障がいを持ったこの男性は、5歳の時から病気で足を悪くしており、以来仕事はせず、物乞いや無料で配給される食事で食いつないでいると言う。気になることを早速いくつか聞いてみた。

Q:住まいや寝る場所はどうしてますか?
A:家は無いので、そこら辺の路上で寝ます。

Q:風呂はどうしてますか?
A:公園や川、寺院の池などで水浴びをします。洗濯もそこで一緒にします。

Q:病気になったらどうしますか?
A:政府の無料病院があるのでそこに行きます。自分たちのような物乞いや障がい者は、貧しく食べ物も選べないので、脂っこいものや甘いものを食べがちで、生活習慣病になる人が多いです。

Q:生活保護や障害者施設のようなものはインドには無いのですか?障害者年金や割引は?
A:なにそれおいしいの?

日本の福祉はやはり偉大だった

1番気になっていた食べ物問題だが、これは寺が無料で毎日配給食を提供しているため、寺院に行けば飢える事は基本ないそうだ。しかしカレー系ばかりだそうで、食が偏るのが1つ難点だろう。
物乞いで、金銭や食料を得る方法もあるが、彼の場合のように、足が不自由だったり、目が見えなかったりすると、身内や仲間がサポートしてくれるようだ。実際彼の背後でカレーを食べている老婆も、誰か身内がカレーを寺院から貰ってきたらしい。

実際、町をうろついていてもガリガリに痩せこけたような人は見かけない。物乞いでも、何かしら食べて飢えは凌げているのだろう。しかし魚や野菜からビタミンが摂りにくいので、病気にもなりやすい。

だいたい予想出来ていた事だが、障がい者や物乞いの為の福祉サービスはほぼほぼ無かった。寺院が配給食を提供している程度で、金銭やインフラに関わるサービスは存在していない。日本の福祉サービスがいかに偉大か痛感させられる現実だ。

しかしこの国には、物乞いを許してくれる寛容さと、人と人が繋がりやすい緩く、広いネットワークが存在する。日本で知らない人に声をかければ、大抵怪訝な顔をされたり、警戒されがちだが、この国の人々はそういう雰囲気は持ち合わせていない。初対面のインド人同士が、和気あいあいと会話しているのもよく見かける。物乞いに対しても、当たり前のようにそっけなくしたり、当たり前のように恵んだりしている。日本で同じ事をやろうとすれば、まずお金を貰える以前に奇異の目や困惑した表情により、精神的にキツいものがありそうだ。寛容という表現が正しいのか分からないが、全ての状況や人々を受け入れる壁の薄さを、インドの人々から感じる事ができた。

便利になるにつれ、人の助けを借りなくて良くなるので、人と関わる機会が減っていく。不便だからこそ、人と人の助け合い、関わりが生まれる。全てがそうだとは言えないが、便利しかり物事には裏表がある。そういったものを感じた一時であった。

ニューデリーのメインバザール
ニューデリーのメインバザール

つづく。

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ライター keita0206

1992年福岡県生まれ。先天性四指欠損という、左手の指が生まれつき4本無い状態で生まれる。大学4年生の就活の最中、ママチャリ日本一周を思い立つ。大学卒業後は就職せずアルバイトで資金を貯め、2015年5月〜2016年9月までの約1年4ヶ月で、ママチャリでの日本一周を達成。その後クラウドファンディングにて旅の記録を書籍化。旅後は大阪で一人暮らしをするも、旅したい欲求が溢れ2022年7月〜12月にバイクで2度目の日本一周を達成。現在は自転車インド一周の旅に向けて準備中。

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公式HP
https://keita-kabu-world.hatenadiary.com/

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