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一つじゃない 第12回

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ライター:風来坊

2022年、政治家と宗教団体の懇談会の中でLGBTQ+の方々を「精神障がい者」とし「治療が必要」と評した冊子が配られました。
2021年には、情報番組において殺人事件の容疑者についてコメンテーターとして出演していた落語家が「犯人は精神障がい者じゃないか」と評しました。
当事者を置き去りにして外野が勝手な色眼鏡で「障がい者」「LGBTQ+」「犯罪者」など勝手なレッテルを貼り、無知なのに「したり顔」をすることが正しいのでしょうか。

〇〇は精神障がい者?

LGBTQ+は精神障がい者?
「LGBTQ+」とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、クエスチョニングの頭文字を繋げた名称です。
難しく考えがちですが「趣向」と考えれば大雑把にですが理解できると思います。
例えば、「ぽっちゃり」した人が好きな人がいれば、「ほっそり」した人が好きな人もいると思います。それと同じです。また、心の性別と体の性別の差に悩んでいる方もいますがそうした人を奇妙に思ったり、差別することは問題外だと私は考えています。誰だって自身の体に関する悩みを持っているはずです。ですからLGBTQ+の方々を奇妙に思うのではなく、ありのまま社会が受け入れれば良いのです。

もし、私が第三者に「ぽっちゃりが好きなお前は間違っているから治療が必要だ」と言われたら「大きなお世話だ!あほ!」と言い返すでしょう。
LGBTQ+は病気ではないので精神障害の治療の必要などないのです。そして精神障がい者でもないのです。

犯罪者は精神障がい者?

ある情報番組で殺人事件に関する報道がなされ、コメンテーターの落語家が容疑者についてのコメントを求められると「犯人は精神障がい者なんじゃないか」と発言しました。

私は、自身が容疑者の言動を理解できないことを誤魔化すため安易に「精神障がい者」という言葉を発し「深く考えることから逃げた」この落語家を言葉のプロとは思えないのです。

例えるなら、小学生がウケると思って安易に「うんこ」や「ちんちん」といったワードを多用するセンスとこの落語家のセンスは同じレベルであり、この落語家は言葉のプロでありながら瞬間的語彙力は身についていないと言えるでしょう。

また、2022年の日本では捜査本部が設立された殺人事件は29件。
その全ての容疑者が精神障がい者なのでしょうか?

人口比率から見ても精神障がい者として治療や診断を受けている人が起こす事件の件数より、健常者とされている人達が起こす事件の件数の方が多いのは明白であり、犯罪者は精神障がい者という考えは間違っているのです。

狐憑きは精神障がい者?

私はオカルトが大好きで様々なことを調べたり、夜中のお墓に行ってみたりして気付いたことが「オバケはそうそういない」ということ(私はオカルトが大好きで怪異を求めてうろついても怪奇現象に遭遇した経験は一度しかない)。

昔から日本では、何か(動物霊など)に取りつかれて奇妙な行動を取ることを「狐憑き」と表現されてきました。では、本当に狐が人間に取りつくのでしょうか?

海外では、罹患した人が動物に変身する、または動物であるという妄想を伴う精神症候群として「臨床狼人症(Clinical lycanthropy)」という事例も報告されており、こうした海外の事例から考えると、狐憑きとは過去にはスピリチュアルなものだと考えられていましたが精神障害の一つの症状の可能性が高そうです。

心が弱い人が精神障がい者?

1960年、精神薄弱者福祉法が施行されました。

「精神」が「薄弱」な者
つまり、「精神薄弱者」とは、心の弱い者という意味の言葉です。

この言葉は現代の「知的障がい者」を指す言葉であり、私はこの言葉が知的障がい者をバカにした表現に思え不愉快に感じています。
また、「心が弱いから精神障がい者になったんだ」と無責任に言う人もいますが、精神障害は脳の病気です。
例えば多忙で何日もまともに眠れない状況が続いたら誰の脳だってオーバーヒートします。また、事故や災害など非日常に巻き込まれたら誰の脳にだって多大な負荷がかかるのは明白です。むしろ事故や災害などの非日常を楽しむ人がいるのならソチラの方に問題があるように思います。

これらのことから精神障がい者は、心が弱いのではなく、至極真っ当な人が不測の事態に巻き込まれ脳が疲れていると言えるでしょう。

精神障がい者とは

精神障害者保健福祉手帳は1995年に施行された制度の下で配布されている手帳です。
この制度では、対象を、統合失調症、気分障害、非定型精神病、てんかん、中毒精神病、器質性精神障害、発達障害などの患者としています。

患者は様々な症状に悩まされており、生きる希望を見失っている方もいます。
しかし、共通して言えることは「不完全な制度の中で毎日一生懸命生きている」ということです。

わかりやすく言うと、ハンディを背負いながら社会を生き抜くサバイバーなのです。
もしかしたら外見は、か細く、弱弱しいかも知れませんが、内面は屈強なサバイバーたちを社会には正確に評価して欲しいものです。

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ライター 風来坊

東北の片田舎在住のアラフォー。 児童虐待、いじめ、パワハラ、自傷による措置入院を経験。 田舎では福祉に偏りがあると考え30代から大学で福祉を学ぶ。 数年前には事故で利き手が不自由になり、現在はリハビリを兼ねた趣味(プラモデル、ニードルフェルト、UVレジン)に没頭中。 いつか全ての人が楽しめる駄菓子屋を開きたい。

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