1000日を切った東京パラリンピック!調査で明らかになった当事者の意外な本音
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ライター:Media116編集部
みなさんこんにちは!Media116編集部です。来月から冬季パラリンピックが平昌で行われますね。実際、当事者の方はパラリンピックに対してどのような思いを持っているのでしょうか?ゼネラルパートナーズの意識調査機関である「障がい者総合研究所」が調査した「オリンピック・パラリンピックへの意識調査」の結果を紐解いてみたいと思います。
パラリンピックの種目と対象障がいは?
東京都オリンピック・パラリンピック準備局
(対象障害は2017年12月現在)
パラリンピックの起源は障がい者や戦争での負傷者のリハビリテーションのためのスポーツだと言われています。現在は競技性の高いものになり、出場者も車いすユーザー限定という規約から、段々と対象障がいが広がり、もうひとつの(Parallel)+オリンピック(Olympic)という意味で、「パラリンピック」という公式名称も定められました。
しかしそのように発展してきたパラリンピックですが、現代になっても対象障がいのほとんどは肢体不自由、視覚障がい、知的障がいなどで聴覚障がいや内部障がい、精神障がいなどは対象外となっています。
それについては前々から議論がなされてきました。なぜ「目に見える障がいだけなのか」と。その思いが以降のアンケートにも反映されています。
(アンケート調査方法: インターネット調査/有効回答数: 492名)
調査でわかったパラリンピックに対しての本音
「東京オリンピック・パラリンピックを観戦したいと思いますか。」という問いには、「パラリンピックを観戦したいと思っている」と回答した合計は59%となり、半数以上の障がい者が東京パラリンピックの観戦に前向きであることがわかりました。
次に「東京オリンピック・パラリンピックを通じて、障がいへの理解が進むと思いますか。」という質問をしてみました。するとどうでしょう。
「東京オリンピック・パラリンピックによる障がいへの理解の促進は限定的」と考える人は87%でした。
さて当事者の皆さんはどのような理由でそう思われているのでしょうか?
生の声はというと・・・
≪出場対象障がいへの理解は進むが、それ以外の障がいへの理解は進まないと思う≫
■一口に障がいといっても種類も個性もさまざまであり、一様に理解が進むとは思えません。ただし、障がい者に対する理解を進める大きなきっかけにはなると思います。ここで終わりにならないよう、さらに大きく広げることができたら良いなと思います。(男性/60代以上/肢体不自由)
■肢体の欠損や車椅子など目で見て分かる障がいしか競技が無い。そのため、その他の障がいへの理解は進まないと思う。(女性/50代/肢体不自由)
■精神障がい者・発達障がい者はパラリンピックについては「蚊帳の外」という認識しかないから。(男性/40代/精神障がい)
■目に見える分かりやすく同時に輝いてるものに対しては理解が進むと思うが、いわゆる目に見て分からないものは結局分からず仕舞いで終わる可能性が高いのではないでしょうか。(男性/30代/精神障がい)
≪すべての障がい者に対して理解が進まないと思う≫
■見ているだけでは何も分からないため、理解されないと思います。(男性/30代/肢体不自由)
■障がいの種類に対する認知度は上がると思う。ただ障がい者に対する差別意識は今と変わらないと思う。(男性/20代/肢体不自由)
■その時だけは注目されるし関心も高まる。しかし継続はしない。周囲に障がい者がいる人は全くの他人事というわけではないだろうが、周囲にいなければ所詮は他人事。オリンピックがどうこうではなく、常日頃から障がいに対する理解を伝えていくことが重要。オリンピックはあくまできっかけの一つにすぎない。(男性/30代/精神障がい)
■出場選手のようなレベルになれないのは、単に本人の努力が足りないだけと思われそう。(男性/50代/肢体不自由)
■障がいのある人すべてがスポーツや生活に意欲的に取り組めるわけではないので、パラリンピックが理解促進のきっかけになるとは思えない。(男性/40代/肢体不自由)
≪すべての障がい者に対して理解が進むと思う≫
■障がい者の活躍と、そこに至る日々の努力に触れることで、障がいに対する理解が進むと思います。(男性/60代以上/肢体不自由)
■世の中に障がいのある人がたくさんいるということが認知されやすくなるから。(男性/40代/肢体不自由)
■希望的観測からこの選択肢を選びました。(男性/40代/精神障がい)
「精神障がい者は蚊帳の外」というそもそも同じフィールドに立てていないという意見や、注目を浴びるのはパラリンピックの期間内だけで認知は継続しないという意見もありました。また、率直に「希望的観測」という方もいらっしゃいましたね。
多くの方は「パラリンピックが何かを変えてくれる」というより、「パラリンピックをきっかけとして何かが変わっていく」ということを期待しているように思えました。
パラリンピックを一緒に作り上げますか?
東京オリンピック・パラリンピックで、ボランティアなどのスタッフを務めたいと考えているか聞きました。「務めたい」、「どちらかというと務めたい」と回答した割合は44%となりました。
次に、オリンピック・パラリンピック開催前の関連イベントへの参加の意向について聞きました。「参加したい」、「どちらかというと参加したい」と回答した人が45%、「どちらかというと参加したくない」、「参加したくない」と回答した人は55%となりました。
今回の調査を通して
アンケート結果から、障がい者の理解浸透や差別意識の撤廃について当事者のパラリンピックに対しての期待値は低めであるということがわかりました。パラリンピックが当事者から期待される存在になり、一緒に作り上げていこうという意識に発展するのはもう少し先のようです。
現在、国際パラリンピック委員会(IPC)は、「パラリンピアン(=パラリンピックの出場者)」たちに秘められた力こそが、パラリンピックの象徴であるとして、以下の4つの価値を唱えています。
① 「勇気」マイナスの感情に向き合い、乗り越えようと思う精神力
② 「強い意志」困難があっても諦めず限界を突破しようとする力
③ 「インスピレーション」人の心を揺さぶり、駆り立てる力
④ 「公平」多様性を認め、創意工夫をすれば誰もが同じスタートラインに立てることを気づかせる力
(日本パラリンピック委員会ホームページより)
この4つの価値を「パラリンビアン」だけではなく、テレビでパラリンピックを観ている当事者や、そして健常者も感じられる大会になることを願うばかりです。
今回の調査結果の全文はこちらでご覧いただけます。
障がい者総合研究所では、「すべての人に活躍の機会」がある社会を目指し、障がい者の声を集め発信する活動を行っています。
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障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。
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