「法定雇用率は上がるけど・・・障害者採用で働いて感じた2つの課題」【漫画家oyumiの発病体験記】
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ライター:oyumi
こんにちは、oyumiです!
「障害者の法定雇用率の引き上げが決まった」…というニュースが流れ、社会復帰を目指す(特に精神障害者の)方々の間では話題になっています。今回は、障害者雇用で働いたことがある身として、当時感じたことを綴ってみようと思います。
障害者採用で入社してわずか1年で退職。その理由とは・・・?
私は今から3年ほど前、ハローワークを通じて入社したとある美容系の企業でアルバイトをしておりました。
直属の上司にその都度指示され業務を行うので、日によっては経理のアシスタントだったり調べ物だったり、資料を作ったり、出張先のホテルの手配なんかもしておりました。秘書みたいなものでしょうか。
仕事内容は責任の軽いものが多く、仕事量も比較的少なかった上、上司との関係も大変良好でしたので、肉体的・精神的負荷はほとんどありませんでした。
が、しかし…結局私は1年で退社してしまいました。
その原因は主に2つありました。
このように、「暇すぎる」のと「健常者の方との距離感が掴めない」の2つの問題点が私をかなり悩ませました。
まず、そもそもなぜ「仕事がなくて暇」な状態になってしまうのか?
私の仕事を作って与えるのは、直属の上司でした。
ですから、上司が仕事に追われていると、私に仕事を作る余裕が無くなってしまうんです。
上司が忙しければ忙しくなるほど、私はどんどん暇になっていきました。上司としては、私がどの分野をどの程度スキルを持っているのかがわからないため、探り探りで仕事を任せるしかなかったのです。
そんな私は当時接客業しか経験が無い身でしたので、企業でかつデスクワークで働くというスタイルに不慣れなあまり、自分の「何ができます!何ができません!」が把握しきれておらず、何をどうアピールすればいいのかわからなかったのです。(結局できるかわからなくても全部「やります!!」と即答するしかなかった)
そんな中、次第に仕事を自分から作っていくようになりました。例えば「ネットに強い」を活かして、放置されていた担当エリア店舗の公式Facebookページの運営を任せてもらったり…「絵が描ける」というスキルを宣伝して、特設サイト用のイラストや、広告キャンペーン用のイラストを描かせてもらったり…
私は、できること・やりたいことをアピールするようになっていきました。褒めて欲しいです。しかし、ますます仕事に追われていく上司。丸一日なんの指示もされなくなる日が増えて行きました。
○毎日暇そうにしている私を周りはどういう風に見えているのか?
○障害者だから仕事が無いのだろうか?
○そもそもなんのために雇われているのだろう?
そういったことを日に日に考えるようになってしまい、やがてそれが大きなストレスへと変わっていくようになりました。
ほんの一部の社員さんとある程度コミュニケーションは取れていたのですが、その人に聞くとどうやら暇なのは私以外の障害者のスタッフの方にもいたそうです。それを知った時は「障害者である自分が悪いんじゃないんだ…」とホッとしました。
でも、障害者の人どころか健常者の人すらもフルに活躍できていない企業ってどうなんだろう…?と思うようにもなりました。
障害者の法定雇用率は上がるけれど・・・
法定雇用率が上がることも決定し、障害者の雇用を取り巻く状況は追い風になってきていると感じます。
障害者が社会に出て働くチャンスが増えること自体喜ばしいのですが、私のように「せっかく企業に雇ってもらえたのに仕事が何も無い…」なんて状態に陥る人がこれからもっと出てくるのかと思うと、正直胸が痛みます。
ただでさえ現時点でもそのような悩みを抱える人は少なくないと思いますからね…。
これでも大昔に比べれば障害者に優しい社会になったのかもしれません。
障害者も健常者も、みんなが社会で活躍できて、快適に暮らすことができる世の中が実現されるようになっていって欲しい…と切に願います。
▼障害者・法定雇用率に関する関連記事
Media116 やさしく、くわしく説明します。障害者採用の「法定雇用率」ってどんなもの?
Media116【障がい者雇用】チャンス到来!法定雇用率の引き上げで活性化する企業の採用傾向とは?
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ライター oyumi
(名前 oyumi)1993年3月26日生まれ。高校1年生の時にうつ病になり、一時治ったもののその3年後に躁転し、双極性障害を発病。今はこうして時たま漫画やライターのお仕事を頂いてやらしてもらっています。
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