なんと「1年未満の退職が約3割!」障がい者のホンネ
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ライター:Media116編集部
障がいのある人の多くが就職・転職を成功させている一方で、「もうツライ…」と短期間で辞めてしまう人がいるのも事実。どれ位の人が、どんな理由で仕事を辞めているのか、転職・退職者のホンネをリサーチ。そこに浮かび上がった、障がいのある人ならではの理由とは?
「1年未満で転職・退職する人が約3割!」
障がいのある人が転職・退職を考える始める時期として、最も多いのは「入社3ヶ月未満」。障がいタイプ別に見ると、身体に障がいのある人が12%なのに対し、精神に障がいのある人はその約2倍の25%に上る。では、実際に転職・退職をした時期はどうなっているのだろうか?障がい者総合研究所による「障がい者の転職・退職理由に関するアンケート調査」の結果を見ると・・・、
ご覧の通り、入社1年未満で転職・退職した人はトータルで30%。約3割もの人が1年経過することなく職場から去っているという事実。ここで気になるのが、転職・退職の理由だ。
転職・退職理由のトップは「障がいの発生・状態の悪化」
まず、一番多かった理由が業務由来による障がいの発生や状態の変化。
「勤務中の怪我で障がいがのこり、仕事が困難になった」(40代・男性、身体障がい者)のように、「障がいの発生」では身体に障がいのある人が多く、「IT業界で過酷な労働条件(300~400時間/月程度)だったので、鬱病が悪化した」(50代・男性、精神障がい者)のように、「状態の悪化」は精神に障がいのある人が多いというのも特徴的だった。
このような声もある。
「求められるスピードについていけず、焦るばかりで体調も崩してしまった」(40代・女性、精神障がい者)、「通勤中に交通事故に遭い、復職を間接的に断られた」(30代・男性、精神障がい者)。これらのことから浮かびあがるのは、障がいへの周囲の理解や配慮が不足していたのではないか?という疑問。これが、2番目に多かった転職・退職理由とも複雑に絡み合っている点に注目だ。
第2位は「職場の人間関係」
一緒に働く同僚や上司との人間関係がうまくいかず、転職・退職を選んだという声が2番目に多いという結果に。
「ある日突然、同僚や上司に無視されるようになった」(40代・女性、精神障がい者)という声や、「業務に支障がある嫌がらせなどがあり、労働環境が良くなかった」(40代・男性、身体障がい者)など、故意の嫌がらせやモラルハラスメントなどを受けた人も少なくないのが現実のようだ。中には「毎日のような放置状態」(40代・男性、身体障がい者)、「職場で人間関係が築けないで孤立した」(30代・男性、精神障がい者)という声もあり、職場で居場所がない状態に追い込まれてしまうケースも少なくないよう。
その他、こんな理由も……
その他の理由としては「給与・待遇への不満」や「リストラ・事業縮小」によるもの、さらに「障がい者への理解・配慮が無かった」という声も目立つ。
中でも「上司が変わって方針が変わり、障がいにより出来ないことも無理に任され、難しいと伝えても認められなかった」(50代・女性、身体障がい者)、「入社時の部署のメンバーが全て入れ替わってしまい、理解者がいなくなってしまった」(40代・男性、身体障がい者)のように、理解者がいなくなることで職場環境までもが大きく変わってしまうというケースや、「仕事に慣れてきたら配慮がなくなった」(20代・男性、精神障がい者)のように、時間の経過とともに配慮や気遣いがなくなってしまうという現実もあるようだ。
この調査結果から、第1位だった「障がいの発生・状態の悪化」よりも、2位の「人間関係」や「理解・配慮が無かった」という声にこそ、障がいのある人ならではの転職・退職理由があぶり出されているとは言えないだろうか。
参考 「障がい者総合研究所 障がい者の転職・退職理由に関するアンケート調査」
www.gp-sri.jp/report/detail009.html
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