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生きている意味がわからなかった・・・過去を乗り越え自信を取り戻したある精神障がい者の人生

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生きている意味がわからなかった・・・過去を乗り越え自信を取り戻したある精神障がい者の人生

ライター:Media116編集部

近年、雇用が拡大している精神障がい者。
2016年4月から施行する障害者差別解消法により、更に企業で働く精神障がい者の数は
増えることが見込まれている。
そんな中、実際に精神障がい者として勤務している社員に話を聞くことが出来た。彼らは何を考え、どう感じているのか、詳しく話を聞いてみた。

今回、話を聞くことが出来たのは富士ソフト企画株式会社に勤めるHさんだ。
富士ソフト企画は、神奈川県鎌倉市に本社を置くIT関連企業の子会社で、従業員142名に対し、障がい者が120名をしめている。障がいの種類は、身体、精神、知的と多岐にわたるが、中でも精神障がい者が64名も在籍しているのが特徴的だ。精神障がい者がいきいきと活躍できる会社として、政府広報オンラインにも掲載されている。この会社なら、充実した日々を送っている精神障がい者に会えるかもと期待を膨らませて、話を聞いた。

そんな同社で働くHさんに会ったのは、つい先日のこと。会った印象としては、年齢相応の落ち着き感に、テキパキと話をするいわゆる“ザ・ビジネスマン”という印象だった。
事前に障がいがあるということを聞いていなければ、障がいの有無についてはきっとわからなかった。

話を聞くとHさんが障がいを発症したのは、何年も前の新卒時に遡るという。
新卒で入社した会社で、仕事に没頭しながらも趣味のスポーツもと、慌しい日々を送っていた。そんな中、ある日突然高熱が出て病院にかかるも、当初はしばらく原因がわからなかったという。
複数の病院を転々とし、最終的には精神科にたどり着いた。当時はまだ今ほど、精神障がいということが一般的でもなく、診断までずいぶん時間がかかったのであろう。

その頃のHさんは“自分で生きている意味がわからなかった”と話すほど、ひどく体調を崩していて、とても仕事ができる状態ではなかったそうだ。半年間休職したものの、結果退職に至った。
退職後、転職活動をし障がいを隠したまま入社した。無事入社したものの、障がいを隠していたこともあってか、いわゆるブラック企業に就職することも多く、1社でそう長くは続かなかった。その度に鬱を発症し、薬でコントロールしていたという。

~過去を乗り越え、回復までの道のり~

包み隠さずこれまでの経歴について話をしてくれるHさんだが、これまでの人生決して楽なものではなかった。

入院や長期的で休職することもあった。体調が悪くなると、浪費傾向が強くなったり、時には深夜まで遊び歩くことで生活リズムが乱れたりと、数々の辛い経験をした。

しかし、2008年に現職の富士ソフト企画に縁あって入社して、徐々に自分の体調との向き合い方、自分にあった薬を見つけることができ、安定した就業ができるようになったという。

初めて、体調を崩してから10年以上が経過した頃の出来事だった。

生きている意味がわからなかった・・・過去を乗り越え自信を取り戻したある精神障がい者の人生

~体調管理の基本は規則正しい生活と、ON・OFFの切り替え~

そんなHさんにこれまでと今、一番違うことについてずばり質問をしてみた。

多分ここが皆さん、一番気になる所ではないか。個人的に、どんな斬新な体調管理法が聞けるものかと期待を膨らますも、帰ってきた答えとしては、いたってシンプルなものだった。

“勤務時間が9時から17時半で、基本残業もなく定時で帰宅できている。そのことから、規則正しい生活ができ、ONとOFFの切り替えもしやすくなった”と話す。

規則正しい生活と簡単にいっても、実践することは非常に難しいことを多くの人が実感しているだろう。朝活という言葉も少し前から定番化しつつあり、私自身も色々と調べてみるが覚悟が決まらず実践したことはまだない。そんな経緯もあり、Hさんの話には深く興味を持ったが、話を聞いていくと想像以上の驚く内容がたくさん返ってきた。

就業開始時間は9時にも関わらず、Hさんは毎朝4時起きをしているのだという。
毎日、勤務開始間際に出社をしている私と比較すると・・・雲泥の差で、ひどく反省した・・・

まだ日も暗い早朝に目を覚まし、6時前には通勤電車に乗る。この時間の電車はまだラッシュが始まる前で、座っての通勤ができることから仮眠を取ったりと穏やかに出社することができるそうだ。

毎朝この生活を習慣づけているだけでも尊敬に値するのだが、更に驚きなエピソードを聞くことができた。

~変化を取り入れて、変化対応力を身に付ける~

Hさんいわく“習慣づけ(ルーティン)も大切であるが、時折変化を取り入れることで変化への対応力も身に付けている”というのだ。いったい何のことを言っているのか頭の中を整理していると、Hさんは話を続けた。

例えばですが、駅からオフィスまでの道のりを1本変えてみる、1駅手前で降りて1駅分歩いてみる、朝だけではなく帰宅時にもあえて遠回りをしてみる。こんな小さなことでも良いんです。
でもこういう変化を加えることで、新たな発見があったり、柔軟性を身につけることに繋がるんです。
Hさんは笑顔でそう答えてくれた。

そして最後にやっぱり“休みの日は寝る!遊ぶ!”このようにOFFがきちんと充実し、ストレス発散が出来るとONの仕事時もより充実した時間を過ごすことができると話してくれた。

きっと私達には理解できない位の大きな苦労や経験を沢山してきたのだろうが、今のHさんは毎日が充実しているといわんばかりに、笑顔と自信に満ち溢れていた。

Hさんのように過去を乗り越え、前向きに活躍する障がい者が1人でも増えて欲しい。と心から思った。

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ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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