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グローバルマリッジえんむすび<メタバース婚活パーティ>で、可能性が広がる障害者の婚活

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ライター:久田李菜

障害のある方専門の結婚相談所「グローバルマリッジえんむすび」が、新しい取り組みとして「メタバース婚活パーティー」を今年4月に実施しました。仮想空間でアバター(分身)を操作することで、いつでもいろいろな人とつながることができるメタバース。そんなメタバース空間を利用した出会いについて、メタバース婚活パーティーを主催する株式会社グローバル・ワンの高橋智子さんに聞きました。

メタバースのアバターで婚活?!

「参加した多くの方が『楽しかった』『次回も参加したい』とおっしゃっています。
前回の参加者で、異なる障害の方同士で、その後実際にお会いになって交際につながった方も一組いらっしゃいます」

グローバルマリッジえんむすびが主催する「メタバース婚活パーティー」。今年4月に1回目が行われ、男女あわせて6名がメタバース上の婚活パーティーに参加しました。好評につき、今年8月には2回目が開催される予定です。参加者は全員、精神障害や身体障害など、何らかの障害がある人です。

えんむすびのメタバース婚活パーティーでは、自分の分身であるアバターを事前に作成し、参加します。髪型や服装など、自分自身に似たアバターを作る人もいれば、理想の自分に近づける人もいます。

高橋さん「アバター作成にも、参加者の皆さんそれぞれの個性や価値観があらわれます。ファッションやメイクと同じ、自分自身の表現だと感じています」

パーティーは司会者のファシリテートに沿って進みます。

最初は自己紹介。司会者が会話をしながら内容を自然に掘り下げてくれるので、自分自身について表現しやすく、初対面でもより深く知ってもらうことができます。対面で実施する婚活パーティーと同じような雰囲気です。

自己紹介が済むと〇✕クイズ、参加者同士のフリートークと、パーティーが進んでいきます。

○×クイズの様子
○×クイズの様子

〇✕クイズでは、たとえば「あなたはアウトドア派ですか?」という質問に、参加者が会場内を移動して〇と✕に分かれて座ります。質問ごとに、「AさんとDさんが〇ですね。どうしてそちらを選びましたか?」
と、その場で参加者に話題が振られます。

参加者が自分の価値観に近い人を見つけたり、後半のフリートークのきっかけができたりするように工夫されていることがわかります。一人ひとりに同じように話題が振られ、参加者の誰もが置き去りにされないようにするファシリテートが印象的です。

また、メタバース婚活パーティー中は素顔は明かされません。
高橋さん「障害の種別や状況をどれだけ明かすのかについては、ご本人の希望と判断にお任せしています」

外出にハードルがある方も、気軽に参加できる

障害当事者は、外出に困難を感じることが多くあります。たとえば車いすユーザーであれば、会場の入口に段差があったり、室内が狭いことが制約になります。

高橋さん「身体的、または精神的に制約がある方でも、メタバース上であれば第二の自分で好きに走り回ったりもできます」

障害の有無に関わらず、初対面でいきなり生身の自分自身を見せることに、心理的なハードルを感じてしまう方にとって、参加しやすい場であるという印象を持ちました。

また、自分の部屋などリラックスした空間で、メイクをせずに部屋着姿で、素に近い状態で参加することができるので、「内面的な素の部分が出しやすい傾向」を、高橋さんは感じています。

フリートークの様子
フリートークの様子

対面のパーティーに臨むためには、服装や髪型に気を使わなければならないし、移動手段や道のり、時間も考えると躊躇してしまう人もいるかもしれません。メタバースによるパーティーは、「参加する」ことのハードルを下げることができるのだと感じました。

オンライン上の出会いにはSNSもありますが、メタバースは文章や画像のやりとりだけではなく、リアルタイムで同じ空間を共有できることが大きな違いです。

高橋さん「例えオンラインの空間であっても、実際に参加してみると、メタバースの場合は空間を共有して参加した、という感覚が独特で、ほかのSNSとは没入感が違います」

メタバース婚活は、内面を知ってもらいやすい

「なぜ障害があるだけで、差別をされたり、制約を受けなければならないんだと疑問に思うんです」と高橋さんは言います。

メタバース婚活パーティー実施のきっかけは、グループ会社の就労移行支援事業所でした。
その事業所では、メタバース上で実験的に講座を実施していました。

高橋さん「これを障害のある方の結婚相談所で取り入れたら、何か新しいことができるのではないかと思いました。

実際に試してみると、メタバースという場で顔出しもないし、第二の自分を作って楽しめる。これは、内面を知ってもらいやすく、自分自身を受け入れてくれるパートナーと出会い、支え合える関係がつくりやすいのではないかと感じ、今回のプロジェクトが実現しました」

一方で、高橋さんはメタバース婚活パーティーを運営する上での課題についても教えてくれました。

「事前面談が一度だけだったので、合理的配慮の提供の面で、直前に想定外の事態がおきてしまった部分がありました。前回は、当日までに別の方法を検討し、最終的には解決できました。

また、メタバースは視覚的要素が強いため、視覚障害の方が参加する場合についてのサポートも今後の課題です。

さらに、メタバース自体が革新的で新しいものだからこそ、馴染みのない方にどのように広報をするのかも考えていきたい部分です。しかし、こうした課題は、今後回数を重ねることでノウハウが集まり、解決できると考えています」

イメージ:花

グローバルマリッジえんむすびがパーティー後も婚活をサポート

グローバルマリッジえんむすびは、これまで結婚相談所として障害のある当事者のサポートを行ってきた実績があります。事前のオンラインの個別面談で、障害の状況や配慮して欲しいこと、パーティーの参加方法など、不安があれば相談ができます。

高橋さん「前回の参加者で、聴覚障害のある方がいました。その方はパーティー内で聴覚障害を明かして、チャットと文字起こしアプリを活用して参加していただきました」

また、パーティー参加後に1対1でコミュニケーションを取りたい相手が見つかった場合には、グローバルマリッジえんむすびに正式に登録したうえで、紹介をしてもらうことが可能です。結婚相談所として、パーティー参加後の連絡やコミュニケーションのサポートもしてもらえます。

イメージ:えんむすび

次回の婚活パーティーは8月を予定しています。

高橋さん「今後は婚活に限らず、障害のある方の『恋活』や『友活』の企画もメタバースを通して実施できるのではないかと考えています」

メタバースを活用した出会いは、障害の有無にかかわらず、幅広い世代のさまざまなコミュニティや居場所にもつながっていく可能性を感じました。

グローバルマリッジえんむすび、そして高橋さんの、障害のある当事者に寄り添い、より良い方法を探るあたたかい姿勢が印象的でした。その思いがメタバースによって様々な可能性を広げ、誰一人取り残されない社会につながる一歩となると感じました。

グローバルマリッジえんむすび 公式サイト

次回のメタバース婚活パーティーの詳細(2023/7/9 締切)

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ライター 久田李菜

1995年1月6日生まれの28歳 脳性麻痺という障害で、手足に麻痺と体幹機能障害がある。 18歳から重度訪問介護の制度を利用しながら、1人暮らしをスタートさせた。 口癖は、「なんとかなる!!」

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