「弱視」の僕がマスコミに入社できた理由(ワケ)~筆記の作文を全文公開~

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弱視の僕がマスコミに内定をもらえた理由、のイメージ画像

ライター:カノスエトク

はじめまして!20代後半・独身、ライター修業中のカノスエといいます!みなさま、よろしくお願いします。

僕は小さい頃のケガで障がいを負い、現在は視力左0.06、右0となっています。日常生活では人の表情がわからなかったり、駅の電光掲示板が見えなかったり、紙の辞書が読めなかったり、それなりに不便な思いをしてきました。

そんな僕ですが、今は高校時代からの夢であるジャーナリストやライターを目指し、テレビ番組の制作会社で働きつつ、修業をつむ毎日です。

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さて、僕が自己紹介をすると、たびたび「マスコミの難しい試験をよくパスしたね、就活は余裕だったんでしょ?」と聞かれます。

しかし、そんなことはありません。
就活は惨敗につぐ惨敗。受けた企業は100社に上り、本当に苦戦しました。本当に、、、。

そんな僕が、なぜマスコミから内定をもらえたのか?

―――――某大手出版社で出題された一つの作文。

この作文が、僕の就職活動を大きく変えました。

作文のイメージ


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僕は就活当初から、マスコミ関連の企業を受けまくっていました。
 マスコミの採用試験で合否のカギを握るのが、作文。しかし、この作文が壁となり、僕の前にたちはだかりました。

僕は当初、「障がいをカバーできる能力」や「健常者に負けない方法」を考えていました。そして、いかに大学で部活を頑張ったか、どれほどマスコミに憧れてきたか、それを作文に書きつらねていました。

しかし、結果は惨敗。書類審査すらなかなか通過しませんでした。「このままではいけない」、そう思いつつ、何をどう変えれば良いか考えあぐねていました。

悩んでいるイメージ

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 そんな思いを抱いているさなか、某新聞社の説明会で弱視の僕にとって忘れられない、ぐさりと胸につき刺さる出来事を体験しました
 ショックでショックで。就活が手につかなくなりました。そして、就活自体をしばらく休むことにしました。色々考えをめぐらせました。
 
そして次の採用試験で、この悔しい出来事を文章にし、自分の「伝える仕事」に対する思いを、自分の言葉でぶつけることにしました

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問題:「負けられない、私はそう思った」に続く作文を400字詰め原稿用紙2枚以内で作りなさい。(2012年某大手出版社就職試験より)

(以下、回答)

 負けられない、私はそう思った。

 私は弱視、いわゆる視覚障がい者である。そのことで今まで気苦労もあったが、たいていのことは努力で乗り越えてきた。大学では新聞部で編集長を務め、自信もできた。しかし2月8日、某大手新聞社の説明会でその自信はもろくも崩れ去った。

 説明会で「記者の個性」「記者の立場」を高らかにうたった人事の男性に、私は質問を投げかけた。「弱視なのですが、一般記者での応募はできますか」と。その問いに、即座に否定の声が上がった。何でも若手は地方支社勤務で、運転免許が必須のため無理だという。「しかしY社などでは本社のみの勤務も認めていますが・・・」反論する私に、「とにかく無理だ。」の一点張り。悔しかった、私は自分でも顔がゆがむのがわかった。

 帰りの電車で、その男性が発した無機質で淡々とした言葉とは裏腹な、丁寧で深々としたお辞儀の姿が何度も何度もよみがえる。健常者にそえない私が省かれる、それは当然だと思う。しかし、しかしである。「これが社会の本質か。弱者の味方を喧伝するが、仲間に入れる労苦は惜しむ。これが、これが。」私は悪態にならない悪態、言葉にできない言葉を飲み込んだ。

 そして私は就活を休んだ。本を読み、散歩をし、とにかく休んだ。すると不思議なもので、またやる気がわいてくる。仲間にしてくださる企業を地道に探そう、そういう気持ちになってくる。

同じように不条理なメにあっても声を上げられない人がいる。その人たちの声を伝える仕事に就くんだ。「負けられない、負けるものか」と私は思った。そして私は、第一志望の○○社の作文を書き始めたのであった。

(回答おわり)


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今ふりかえると、就活開始直後の僕は「すべての企業にウケるためには、どうすれば良いか?」「健常者に負けないためには、どうやって障がいをカバーするか?」ということばかり考えていました。本当に考えねばならない、伝える仕事につきたい自分なりの理由を考えもせずに。

考えているイメージ


しかしこの体験以降、どの企業にも理解してもらうことは無理だと悟りました。「障がいがある自分だからこそ、伝えたい思いがある」、そのことをわかってくれる企業に理解してもらう努力をしたのです

結果自分の思いが伝わったのか、この作文で書類審査が通過、念願のマスコミの仕事にも就くことができました。

 就活がなかなかうまくいっていない方の中にも、僕と同じように健常者と比較して悩んでいる方もいるかもしれません。

そのような方は、

「障がいがあるからこそ、できること」
「障がいがあるからこそ、持っている想い」

を考えると、何かが変わるかもしれません。

思いを届けるイメージ


 就活は先の見えない真っ暗闇を歩き続けるようなものですよね。でも、急に光が差し込める時がきます。僕がこの作文が書けた時のように。その時を信じて、ぐっとこらえて、活動してみてください。絶対光は見えますから。


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カノスエトク

ライター カノスエトク

カノスエ トク(仮称) 1989年生まれ。弱視の自称ジャーナリスト・ライター。 現在、TVの報道番組制作会社に勤務。 3歳の頃に怪我をし、視力左0.06、右0の視覚障がい者(弱視)となる。中学生の時にみていた「週刊こどもニュース」で報道の面白さに目覚め、盲学校の仲間たちとの関わりを通し、障がい者に対する偏見を自分自身すらも抱いていたことに気づき、衝撃を受け、価値観がガラリと変わる。これら の体験から、「普段耳にしない人たちの生の声を伝え、世間に何気なくある価値観を揺さぶる記事を作りたい」と、ジャーナリスト・ライターを志し、現在修行中の日々。 (出演経歴) 2013年 NHKラジオ「聞いて、聞かせて」など

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