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「注意力が散漫、記憶力が悪い、判断力がない・・・」とお悩みの方へ。統合失調症の認知機能障害を正しく理解しよう

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ライター:統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

皆様こんにちは、統合失調症専門の就労移行支援「リドアーズ」の鈴木です。さて、統合失調症の症状は幻聴・妄想などの陽性症状と無気力や自閉などの陰性症状に大別されますが、その他に「認知機能障害」というものがあります。これは、その発現が症状なのか本人の資質によるものなのか鑑別しづらい障害です。そのためどうしても見過ごされがちになり、たとえば体調が安定して就職した後などにも「困りごと」として残ってしまうケースがよく見られます。そこで今回は、その認知機能障害について詳しく解説してみたいと思います。

実際に働いてみてはじめてわかることも・・・

統合失調症における認知機能障害とは、以下のような機能に問題が認められる障害です。「注意力」「記憶力」「集中力」「判断力」「情報処理能力」etc。こう並べ立ててみると、次のように思いませんか。

「注意力が散漫な人などたくさんいるし、記憶力が低い人だって少なくない・・・それって本人の能力の問題なんじゃないの?」

認知機能障害は本人の能力の問題?

そう、認知機能障害に伴う症状とは、本人の能力=資質の問題なのか、それとも病に起因するものなのかの線引きが非常に難しいものなのです。言葉を換えれば具体的でわかりやすい症状を伴うものではなく、また日常生活に支障が出るほど重大な問題が生じるのはレアケースですので、どうしても見過ごされがちになります。したがって、統合失調症の方でもはっきり認知機能障害という診断を受けている方は少数派と言っていいでしょう。

しかし、日常生活に支障がないからといってこれを見過ごしてしまうと、たとえば陽性・陰性症状が寛解し、就職した後などにさまざまな「困りごと」が生じたりします。職場でこんな「困りごと」が生じたら認知機能障害を疑った方がいいかも――以下に、そんな事例を掲げてみます。

認知機能障害が仕事に与える影響① 記憶力の低下

発病前よりも物事を覚えづらくなった、一度やったことがある仕事でも手順化することが難しくなったと感じたことはありませんか?

認知機能障害かも?記憶力が低い

たとえば「先日と同じ要領で資料を15部コピーしてほしい」という指示を受けたとします。しかし、「先日と同じ要領」を記憶しておらず、必然的に手順化することもできていないため、もう一度最初から指示を仰がなければならないようなケースです。

また、口頭による指示は覚えづらく、書面(マニュアルなど)で提示されないと仕事の手順を覚えられないといったケースなどでも、認知機能障害が疑われます。

認知機能障害が仕事に与える影響② 注意・集中力の低下

会議の席など周囲に人がたくさんいたり、多くの人の話し声が聞こえてくるような環境に置かれると集中力が途切れる。話し声などの音がする方向や自分に注がれる視線に注意が向いてしまう――そんな経験はありませんか?

認知機能障害かも?注意・集中力が低い

また、たとえば「ダンボールから人参を2本取って袋に入れ、シーラーで止めてください。それと、明らかに悪くなっている人参は入れないように注意してください」といったような指示を受けたとしましょう。そのとき、注意力が散漫なため上手く人参を仕分けることができないケースなども、認知機能障害の疑いありです。

認知機能障害が仕事に与える影響③ 判断力の低下

たとえば写真のような散らかった部屋を「片付けてください」と指示を受けても、何から手をつけたらいいかわからない。つまり、自分が置かれている状況を踏まえて、取るべき行動の優先順位をつけたり、計画を立てて物事を実行することが難しい。そんなことはありませんか?

認知機能障害かも?散らかった部屋を片付けられない。判断力が低い

また、「いつでもいいから、各書庫に入っているファイルで、5年くらい経過しているものを3階の保管庫の隅っこに移動させておいてくれませんか?」というような曖昧な指示を受けたとしても、それを適切に処理することができない。そんなことはありませんか?

さらに、たとえばA上司から「この資料をなるべく早く30部コピーしてください」、Bさんから郵便局で切手を買ってきてください」、Cさんから「会議室に積んであるサンプルを片付けておいてください」と、複数の指示を同時に受けると混乱してしまい、何から手をつけたらいいかわからなくなってしまう。そんなことはありませんか?

このような判断力が低下しているケースも、認知機能障害が疑われる典型例の一つです。

症状の自己理解を「仕事選び」や「入社後の配慮」に生かす

ここまで、認知機能障害に起因する職場での「困りごと」の例を挙げてみましたが、どうでしょう、思い当たるフシはありませんか? 

自身の「困りごと」を自己理解することで、就労のあり方に生かすこともできます。「●●ができない」という理解だけではなく、困りごとを解決する対策を企業や周囲に相談することで、解決できることもあると思われます。

例えば・・・・

・具体的な指示、書面による指示、マニュアルの整備

・指揮系統の明確化、一本化

・上長との進捗確認により、双方で指示の理解、解釈を擦り合わせる

などです。

面接の際に職場に求める配慮として事前に伝えておくことで、双方が安心して働くことが出来ます。その際に、就労移行支援事業所などの支援機関のサポートを受けるのも選択肢の一つです。訓練や職場実習などで自分がどのような「困りごと」に遭遇しているかを冷静に考え、困りごとを解決する対策法をもてると道が拓けてくると思います。

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ライター 統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

統合失調症のある方向けの就職支援サービス。統合失調症がある方の就職や安定就労のためのノウハウなど、統合失調症に関するさまざまな情報を発信していきます。

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公式HP
http://www.redoors.jp/

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