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精神障がいのある私が「お叱り代行」を受けたらどうなる!?

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ライター:わに

皆さんこんにちは!わにです。私はてんかんとそれに付随する「器質性精神障がい」があります。急に落ち込んだり情緒不安定になったり…セルフコントロールの術を見つけつつあってもどうしても自分の力ではカバーしきれないこともあります。そんな自分が情けなくて誰かに「喝」を入れてほしい!…「レンタル彼氏は精神障がいのある私の心を癒してくれるのか!?検証してみた!」という記事に続き今回はお叱りオジサマをレンタルしてみました!

障がいを懸念して「叱って」もらうことが少ない

私は障がいを公開しないで勤務していたことがありました。その時にはガンガン「怒られ」たし、目をかけてくださる先輩方によく「お叱り」を受けていました。その時はメンタルにきてしまいますが、とても有難いことだと思っていました。

障がいを公開して勤務してから、過去と比較して気づいたことは「お叱り」を受ける機会が大幅に減ったということ。口にはだしませんが「わにさんは精神障がいがあるからキツく叱ったらだめなのかも」という周囲の気持ちがヒシヒシと伝わってくるようになったのです。私を「叱って」成長させることよりもメンタルを安定して仕事をさせることに重きを置かれているように感じるのです。周囲の方の本心はわかりませんが、そんな配慮を有難くも、少し寂しくも思うのでした。

そんな状況もあり、精神障がい者が「お叱り」を頂くことは本当に本人にとって良いことなのか?それを実証すべく私は「お叱り代行」をお願いすることにしたのです。

鬼

今回お願いしたのは「家族代行」「リア充代行」など様々な「代行」を行っている大手代行会社。「お叱り代行」の基本料金は1時間1万円。プラスで交通費・飲食代がかかります。性別・年齢・服装・話し方まで選択できるというかなり自由度の高いプラン。自分がどんな人に、どんな風に「叱って」もらったら価値がある時間になるのか?それをよく考えた上で詳細にお願いをすることが必要です。

ちなみに私の「叱って」欲しいことは「障がいがあるがゆえに人間関係でつまずいてしまうことがある」ということ。頭ではわかっていても感情的になってしまったり、情緒不安定になって周囲に迷惑をかけてしまうこともしばしば。そんな自分を変えたい!その想いを先方からのアンケートに綴りました。

次に「お叱り」くださる方の指定をしていきますが、まず自分はどんな人にどんな風に「叱られ」たいのかを想像しました。

母親のような身内から親身になって「叱られる」?…どちらかというと仕事上での悩みなので否。
年代の近いイケメンからゴリっと「叱られる」?…ただのご褒美なので否。
・・・・・・・
考えた末に私が出した結論は「同じ会社のナイスミドル部長」に叱られたい!(枯れ専傾向あり)

・40~50代男性
・渋めで容姿端麗(イメージは渡部篤郎)
・いかにも「デキるオジサマ」
このような条件に合った方に会社の部長という設定で「怒る」のではなく、「お前のために言っているんだぞ」というスタンスで「叱って」ほしいとオーダー。

すると「承りました。」というメールと共に相手の写真が添付されてきました。

「わぉ・・・ナイスミドル・・・////」

この人にどんな風に「叱られる」んだろう?想像を掻き立てられました。
そして当日…

経験豊富だからこそできる「叱り方」

「お叱り代行なんてお願いしちゃったけど、私ドMでもないし正直叱られるのなんて嫌だな~…泣」
「叱られてメンタル崩したらどうしよう…」
気分は最高に憂鬱でした。そんなことをふつふつと思っている時。

「わにさんですか?はじめまして。」

待ち合わせ時間よりちょっと早めに現れたのはビシっとしたスーツを身にまとった写真よりもナイスなナイスミドル!

スーツ

これから「叱られる」と思うと緊張と不安はMAXに…。しかしそこは私も元営業マンの端くれ。ポーカーフェイスで挨拶を済ませ、早速本題に。

ナイスミドル「今日はどうしたの?」

わに「私は精神障がいがあるのですが、アンケートにも書いた通り自分の感情を上手くコントロールできないことがあり、周囲に迷惑をかけてしまうことがあります。迷惑をかけた後、後悔で泣いてしまう、そんなことを繰り返している情けない私を叱ってください。」

前回のレンタル彼氏のように自然とぽろぽろ言葉が溢れてくるわけではありません。完全に上司にホウレンソウする部下の気持ちです。

ナイスミドルは「どんな仕事をしてるの?」などいくつか状況についての質問をしてきます。「精神障がい」について触れてくるかと思いきや、完全スルー。

ナイスミドルは自分のマネジメント経験を交えつつ周囲に対しての姿勢について話していきます。

「まず仕事はね、他人と強調して仕事をしていくということも大きな実力のうち。あなたが正しいことを言っていても感情的になったりすると言い方によっては結果自分が損をしてしまう。周囲はあなたが思っているよりあなたを見ているんだよ。」

彼はそう前置きをしました。

「他人に接する時、必要なのは余裕。情緒不安定になりそうなときには一拍置いて冷静になってみること。そして仕事も家庭も自分一人でまわっているわけではないし、周囲に感謝を持つことが大事だったりするんだよ。そうするとまわりまわってあなたのためになる。」

お叱り部長

彼が私に一番伝えたかったのは「余裕を持つこと」そして「周囲への感謝」でした。

「あなたはきっと真面目な人なんだ。だからこそ余裕や遊び心を持つことが大事。人間関係は相手と鎖ではなくゴムで繋がっているようにイメージしてみて。ガチガチに考えるんじゃなく、多少幅をもって相手をみる。そうすると気持ちにも余裕ができる。」

「鎖とゴム」という言葉から、私はこうすべき、ああすべきと自分の価値観を相手に強要していたからこそ、違う応えを受け入れられずに感情的になったり、情緒が乱れてしまっていたのだと考えさせられました。感情をコントロールするには自分の中の「べき」をなくして多様な考えを受け入れる「余裕」が必要だったのです。

自分のニーズと体調を考慮して上手く活用する

今回私は「お叱り」を受けた後、メンタルを崩すことはありませんでした。逆に豊富な経験からの的確なアドバイスを頂き、「変わらねば」と奮起させられました。

しかし同時に「お叱り代行」は相性の問題も大きいのかもしれないとも感じました。誰に、どんな風に「叱られる」か。それによって受けとめ方もその後の感情も大きく変わってくるのだと思います。そのためには依頼をする前に自分の悩みと、誰にどう「叱って」もらえば気持ちよく受け止められそうかを入念に考えることがポイントになるでしょう。

「お叱り代行」を利用する方は意外にも男性が多いとナイスミドルは言っていました。人生の迷い子になってしまった男性が助言を求めて依頼をするのだそうです。安易なイメージで「ドMな方が利用するものなんだろうな~」と思っていましたが、「お叱り代行」はそんなつまらないものではなく、喝や助言を受けて一歩前へ背中を押してもらうための立派なターニングポイントだったのです。

「あなたは大丈夫。自分が変わりたいと思っているならきっとできるよ。」

その一言を残して颯爽と人混みへ消えていったナイスミドルの後ろ姿は、まるで本当の上司のように思えたのでした。

後ろ姿

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ライター わに

17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。

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