「普通」の幸せってなに?~てんかんと診断されてから10年、障がいを受け入れたことで拓けた世界~
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ライター:わに
はじめまして。「てんかん」という障がいを持ちながら株式会社ゼネラルパートナーズでキャリアアドバイザーをしています、わにと申します。今回私は初めて自身の障がいについてお話しさせて頂きます。障がいを受容できるまでには紆余曲折と長い時間がかかりました。この記事を読まれている皆様も、きっとそうだったのではないかと思います。また、現在受容することに困難を感じている方にも、読んで頂ければ幸いです。
「てんかんって何?」ある日突然障がい者になった女子高生
17歳で側頭葉てんかんと診断された時、まさに私の顔は「(゜□゜)ポカーン」という感じでした。
これまで何事もなく過ごしてきた女子高生がある日突然「障がい者」になったのです。
「てんかんって何?」
「私は障がい者になったの?」
ぐるぐると何度考えても、どうも実感がわきませんでした。(当時の私の症状は軽く、発作も周囲に気づかれる程度ではなかったことも理由としてあると思います。)
大学に進学した私は、てんかんであることをひた隠しにして、「私は普通だ。」そう思い込もうとしていました。通院や服薬を怠け毎日飲み会三昧…ある意味ザ・大学生!というような不摂生を続けていました。
「普通」という呪縛と現実の差
するとどうでしょう。発作の頻度が年を追うごとにどんどんどんどん増えていきました。年1回だったものが月1回に、月1回だったものが社会人になる頃には2週1回に。周囲に気づかれないよう対処出来ていた軽い眩暈のような発作が、数秒間意識を消失するような発作に変化し気づかれるように。
ツケがまわってきたのだと思いました。まるでじわじわと自分が何かに浸食されていくようで、ただただ恐ろしかったです。
当時の私は「事実を事実として受け止めること」がどうしてもできなかったのです。だからこそ障がいと向き合うことができず、このような結果となったのです。
そして、なにより私を縛っていたのは自分が作り出した「普通」のイメージでした。
「普通」は私を幸せにしてくれるのか?
「普通の人」「普通の生活」「普通の幸せ」・・・
私が当時イメージしていた「普通」とは「健常者と同じ生活をすること」でした。
そしてそれこそが「幸せ」だと思っていました。
しかし現実は、健常者がしなくてもよいことを私はしなければならない、健常者ができることを私はできない。そんなことの積み重ねでどんどん自分の首を絞めていったのです。
私がイメージしていた「普通」は、私を幸せになんかしてくれていなかったのです。
そんな時に今の会社に出会いました。
同じく障がいがある方々の転職支援を通じ、転職者様のお話しを伺ったり、企業様の要望を伺ううちに、いかに「障がいを受容すること」が大切か私はやっと気付き始めました。
状況や周囲の環境によって「普通」の定義も幸せの定義も変化していくものだということ。
そして常に「今の自分」が幸せになる選択・方法を選ぶべきだということ。
それに気が付いたのです。
障がいと付き合っていくことを選んだ
個性としてではなく、あくまで障がいとして-----
障がいを個性と言う人はいますが、私はこう思うのです。
障がいは「ただの障がい」だと。
私にとって障がいは私を表現するものなどではなく、ただの「事実」なのです。
10年という長い時間がかかりましたが、障がいを認めて受け入れることで、肩の荷が下りたように生き方が楽になりました。自分自身で作り出した「普通」のイメージを破ることで今までとは全く違う世界が見えて、そしてそれはとても居心地の良い空間でした。そして何より私に障がいを受容するということはどういうことなのか、ということを教えて下さった転職者の皆様に感謝しています。
あなたが考える「普通」は今のあなたを幸せにしてくれているでしょうか。
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ライター わに
17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。
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