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【超福祉展】聴覚障がい者が身につける「カッコイイ」の形。最先端デジタル補聴器「オーティコン(Oticon)」の驚くべき性能とは?
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ライター:Media116/超福祉展2017
Media116で絶賛レポート中の『超福祉展』。今回はそのなかでも、「未来のライフスタイルを実現する先進デジタル補聴器」と題された講演のレポートをお届けします!聴覚障がいの方やその身近にいる方に、ぜひご注目いただきたい、最先端の「ヤバイ」「カッコイイ」補聴器、最新の技術で聴覚障がいの方の課題をどこまで解決できるようになるのか?
聴覚障がいに寄り添う、世界的な補聴器メーカー
登場したのは、世界的な補聴器メーカーであるオーティコン(OTICON)の日本法人プレジデント、木下 聡氏です。オーティコンの本社はデンマークにあり、その歴史は100年以上。専門研究所も設けて難聴のメカニズムから研究することで培った高い技術力で、全世界150ヶ国にまたがる高い評価を集めています。
日本においても、価格帯は両耳セットで20万円~80万円ほどと幅広いラインナップを取り揃え、保険適用の利くモデルからハイエンドモデルまで展開しているとのこと。また、補聴器につきものの「目立ってカッコ悪い」「アクティブになれない」といったイメージを払拭していきたい、という取り組みをいち早く行なってきた会社でもあります。
「実は私も今、補聴器をつけています」と木下氏が言い、ヒョイとはずして見せた同社の補聴器は人差し指の関節2つ分ほどのサイズ。そうして見せられるまでまったく気づかず、さりげないデザインと小ささに驚かされました。
聴覚障がいの皆が共通して抱える、“あの悩み”を解決!
そんな同社の最新モデル、“新たな聞こえの世界”を開くという『オーティコン オープン(Oticon opn)』の登場が本講演の軸。木下氏によれば、そのひとつ目の大きな特徴は「360度、あらゆる方向からの会話や音を聞こえるようにしてくれる」ことだとか。つまり、補聴器を使っている方にとって共通の悩み、「ディナーや飲み会、大勢で食卓を囲んでいるとき、会話についていけなくなってしまう」という事態が解消されるというのです!
多くの補聴器は、確実に音声を拾えるようにするための手法として、正面からの音声だけをピックアップして聞こえるようにしています。1対1の会話ならいいのですが、たくさんの人が集まった時には横から話しかけられると気づけない、色々な人が話していると会話のすべてを聞き取れない、という事態の原因に。
そしてさらに大きな問題と言えるのが、「どこから話しかけられるかわからないので聞き逃すまい」と身構えていると、逆に会話に集中できなくなってしまうというもの。木下氏は健常者の方にもわかりやすいよう、「英語の単語のひとつひとつを聞き取ろうとするとすごく疲れてしまいます」と例えていました。
聞くという行動は音が耳に入ってくるだけではなく、脳で理解できて初めて完結するもの。オーティコンではこの『ブレインヒアリング』という考え方をもとに、“脳の疲れ”を軽減する補聴器として『オープン』を開発し、またその効果の検証も行なってきたといいます。
たった2gの小さな機械ですが、1秒間で100回以上も音の分析を繰り返すという高性能コンピューター並みの性能を搭載し、意味のある音とノイズの区別を実現。360度全方向からのクリアな音を聞かせてくれる補聴器となったのです。きっとこれまでの補聴器とはまったく異なる体験をもたらしてくれる、そんな期待が大いに膨らむ内容でした。
補聴器が生む「未来のライフスタイル」とは?
『オープン』には、さらにもうひとつの特徴があります。それは、世界で初めてBluetoothによりスマートフォンなどの機械と“つながる補聴器”であること。これも、『オープン』の高度な処理性能があってこそできるものでしょう。その機能により実現されるのは、まさに「未来のライフスタイル」というものでした。
例えば、来客時に「インターフォンが鳴っています」という音声案内により聞き逃すことがないように助けてくれる、という程度はまだ序の口。朝、目が覚めて補聴器を身につけることがスイッチになり、自動的にコーヒーメーカーの電源が入り、テレビの朝のニュースがつき、着々と朝の支度が整っていく。そんな設定も可能となります。また、子どもがつけている補聴器のバッテリーがなくなりそうになったら、お母さんへ自動的にメールが届くようにもできます。
あまりにも未来的な生活に感じられますが、木下氏によれば「技術的にはすでに実現できています。川崎のオフィスまでお越しいただければ、実際に体験できる用意もしてありますよ」とのこと。常に身につける補聴器だからこその使い道が、色々とありそうですね。もちろんこれは『オープン』さえあればいいというわけではなく、“つながる”家電製品が揃っていることも前提。とはいえ実際にそうした製品が続々と登場している今、可能性はますます広がっていくことでしょう。今はまだ想像もできないような応用の仕方が、これから登場してくるのも確実ですね。
『超福祉展』主催者との対談でも見える、メーカーの想い
講演の後半では、木下氏と、「超福祉展」を主催するピープルデザイン研究所の代表である須藤シンジ氏との対談が行なわれました。そのなかで須藤氏が語ったエピソードは、『オープン』のような製品の登場が待ち望まれていたことを示すものでした。
「私の母はもともととても活発な人で、親戚の集まりなどのにぎやかな場が好きでした。80歳を超えて耳も遠くなり、補聴器を購入したんですね。ところがそれから、段々とそうした集まりに出たがらないようになっていったんです。やっぱり、たくさんの人がいるところでの会話についていくことができず、疎外感が強くなってしまったことが原因だったようです。これで闊達な母に戻れると期待していた補聴器だったのに、それが原因で余計に落ち込んでしまうというのはショッキングな出来事でした」と須藤氏。
それに対して木下氏は、「メーカーとしても、その点には課題を感じていました。私たちは、聴覚障がいをもつたくさんの方に協力いただき、聞こえ方やよりクリアな音声を実現する技術の研究を行なっています。そのなかで必ず挙げられてきたのが、正面の音しか拾えないというものだったのです」と答えました。
その原因は木下氏によれば、「補聴器に組み込める性能の限界によるものだった」といいます。「アイデアがあっても、なかなか実現はできませんでした。ところが近年のテクノロジーの発展で、その性能の限界は急速にはねあがったのです。さらに、音声からノイズを除去するための分析を行なうコンピューターチップなど、補聴器の心臓部ともいえる部品から自社で開発できるという強みも活かして、『オープン』が生まれました」と語ります。
また、須藤氏は “つながる補聴器”という『オープン』の特徴にも言及。「先ほど見せていただいた未来的な姿、とてもワクワクしますね。健常者の方にもつけてみたい、と思う方が出てくるのではないでしょうか。私も会話が聞き取りやすくなるなら、つけてみたいです。昔は医療器、今はファッションの一部になっているメガネと同じように、気軽に買えるものにできませんか?」と冗談も交えつつ質問しました。
木下氏からは、「新しい販路という観点で語り始めると丸一日かかってしまいますが…」と前置きを入れつつ、「補聴器は、その人と状況に合わせて常にチューニングを行なう必要があります。そのためには、医療機関やメーカーといった伴走者と一緒に使っていただくことを推奨しています」という返答。あくまで、聴覚障がいをもつ方々を支えるメーカーなのだという思い入れが感じられました。
補聴器に対しては、難聴の方であってもマイナスイメージがあり、「使いたくない」という方も多いといいます。オーティコンは、そのイメージを変えようと取り組んできたメーカーのひとつ。聴覚障がいをもつ、当事者の方々のニーズを積極的にくみ取ることで製品開発を行なってきたのだと、今回の講演を通じて実感することができました。そして満を持して登場した『オープン』は、まさに『超福祉展』が掲げる「カッコイイ」を利用者にもたらしてくれる存在となりそうですね。
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「2020 年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」11/13(月)まで開催中!
会場:渋谷ヒカリエ 8F「8/(ハチ)」
時間:11:00-20:00 (最終日は 16:00 まで)
サテライト会場:渋谷キャスト、ケアコミュニティ・原宿の丘、ハチ公前広場、代官
山 T-SITE、みずほ銀行渋谷支店、SHIPS 渋谷店、モンベル 渋谷店
URL :超福祉展公式ホームページ
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ライター Media116/超福祉展2017
2017年11/7(火)~11/13(月)まで渋谷にて開催される「2020 年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう 展」。 マイノリティや福祉そのものに対する意識のバリアを変えていく福祉の一大イベントをMedia116が密着取材します!
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