ここなら安心!視覚障がい者にやさしいレストラン ~店員さんが肉を焼いてくれる店「大阪焼肉・ホルモン ふたご」(高田馬場駅)編~
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ライター:カノスエトク
こんにちは!弱視のライター見習い・カノスエです。突然ですが、みなさんは仕事の後どのように過ごされていますか?僕は1人で外食をしてパーッとストレス解消するのが大好き、平日にできる簡単な息抜きの方法です。しかし!人込みや暗い場所が苦手な僕にとって、外食にはさまざまな不安が・・・。
「店までたどり着けるか?」「店内は暗くないか?」・・・etc
数えあげたらきりがありません。僕のように「外食は好きだけど、1人で行くのは腰が重い・・」と考える視覚障がいの方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな方でも安心して1人で行ける、美味しいお店をご紹介します。
自分で焼かずにすむ、全ておまかせの焼肉屋!?
スタッフがすべてお肉を焼いてくれる焼肉屋がある----。
先日、全盲の友人からそんな話を聞きました。それが本当なら、ぜひ行ってみたい!そこならば、弱視の僕が今まであきらめてきた一人焼肉もできるかも・・・そんな期待を胸に、噂のお店「大阪焼肉・ホルモン ふたご」へ行ってきました。
お店があるのはJR高田馬場駅。早稲田口を出て、栄通り商店街を直進すると左手に店の看板が見えてきます。店先で有線の音楽を流しているため、全盲の方にはこの音楽がお店の目安になりそうです。駅から徒歩1分と駅チカなのは、弱視の僕にとってはうれしい限り。(駅からの詳細な道の案内は最後に記載しています)
お店に到着し、恐る恐る扉に手をかけます。僕は知らない店を訪れる時、この瞬間が1番緊張します。
「店内は暗くないか?」
「席までちゃんとたどり着けるか?」
そして、
「挙動不審な態度をとってしまわないか?」
そんな不安が頭を渦巻き、体がぐっとこわばります。扉から手を離し、入店せずに引き返したこともありました。
さて、ぐっと手に力を入れ、扉を開け、入店。すると・・・
「オレンジ系の照明により、非常に明るい店内」
「机の配置がシンプルで分かりやすい。両側の壁に沿って机を配置、店内の導線はお店の真ん中の通路のみ。」
「床の色が黒、イスの座面の色が赤、とコントラストになっている」
などなど、僕のような弱視にとってうれしい空間が広がっていました。
なにより店員さんが気さくに対応してくれるので、全盲の方も入りやすそう。トイレも、入り口から直進し、突き当りの段差を1段登った右手にあるので、全盲・弱視でも分かりやすい位置にあります。
店員さんに誘導され着席。僕のテーブルについてくれたのは店長・吉沢さんでした。さっそく店の人気No1「黒毛和牛のはみ出るカルビ」、No2「ふたご盛り」をオーダーします。
「あの・・・お肉は焼いてもらえるのでしょうか?」とおそるおそる聞くと、、、
「もちろん、お焼きいたしますよ!」
と、自席についてくれた店長さんが手際よく調理を始めてくれました!
このサービスについて尋ねてみると、店の基本的なルールとして、テーブルについた店員さんがお肉を代わりに焼いてくれるとのことです。
噂は本当でした!!
なぜ、この接客が生まれたのか?
肉を焼いてくれている間に、このお店がなぜマンツーマンで調理をするようになったのか聞いてみました。
なんでも創業当時、お客は来ず店は閑散としていたそうです。そんな時、創業者の1人が来店者に満足してもらいたいと、お客さんの肉を代わりに焼き、会話を楽しませるといったサービスを始めたところ、これが評判に。またたく間に来店者は増えていったそうです。その当時の接客スタイルが現在にも受け継がれ、現在に至っているとのこと。
このお店にとって、「お肉を代わりに焼いてあげること」はお店のウリを増やすためのイチサービスではなく、「お客様に寄り添い、満足してもらいたい」というお店の理念そのものなんだ、と思います。これならば、僕らも気兼ねなくお願いすることができそうです。
希少な肉の数々!
お話を伺っているうちに、肉が焼きあがりました!
▼黒毛和牛のはみ出るカルビ
まず焼きあがったのが「黒毛和牛のはみ出るカルビ」。毎日数量限定、電話での要予約のこの一品。
圧巻なのはそのデカさ。250gの特大リブロースが、網からはみ出んばかりに盛られています。
そしてお肉の質が・・・「リブマキ」「カブリ」「リブ芯」「ゲタ」という高級・希少部位を使用。
店長の吉沢さんいわく「当店では1500円ですが、他店では5~6000円はしますよ」とのこと。
吉沢さんがお皿に乗せたくれた肉を早速いただいてみます。すると・・・
肉は口に入れた瞬間、舌の上で溶けていきました。。。まるで煮込みに煮込んだビーフシチューの肉のように、ホロホロとなくなっていく感覚。そして味は、肉の自然な甘みが秀逸。全くあきません。最後に、カルビをサンチェで巻き白飯で食べる。絶品です。
▼ふたご盛り
「牛心」や「ホソ塩」など、こちらも貴重なお肉が盛り合わせになった一品。ステーキのような歯ごたえと肉好きならたまらない肉汁たっぷりの「牛心」や、油がマイルドでやさしい味わいになっている「ホソ塩」など、どんどん箸が進みます。
人気のねぎタン塩。歯ごたえとしゃきしゃき感、味付けが絶妙です。人気なのも納得です。
僕は大満足で店を後にしました。
取材後記
退店後、僕はなんだか心が温まる思いに。。。おそらく「ふたご」のスタッフが全てのお客さんに対し、心地よいおもてなしをしていたからかな、と。
▲紙エプロンと一緒に配られるスマートフォン用のビニール袋。脂はねを気にせずにスマホを利用できます。こんな所にも配慮が。
「僕らだけをサービスしてくれる、おもてなしが向けられる」ことも嬉しいものですが、一方でどこか気まずく、気恥ずかしく、息苦しく思ってしまう人は少なくないのでは?「お客さん全員」に対して気持ちのこもったサービスを提供する「ふたご」は、僕にとって居心地の良い場所でした。
視覚障がいの方もさまざま。一人でどこでも行けるという方もいれば、行ける場所に制限がある、という方もいるでしょう。そんな視覚障がい者にとって、今回の記事が一人で気軽に外食ができるきっかけになれば幸いです。
お店の詳細情報
店名:大阪焼肉・ホルモン ふたご
URL:http://www.yakiniku-futago.com/
※通常、スタッフが焼かせていただく商品はメニューの半数程度です。
予約時に全商品についてお手伝をしてほしい旨をお伝えください。
営業時間:
平日 17:00~01:00(L.O.24:00)
土日祝17:00~24:00(L.O.23:00)
アクセス:
JR高田馬場駅下車。徒歩1分。
JR高田馬場駅からの道順:
JR高田馬場駅早稲田口の改札を出る。
→駅構内を出るまで直進。
→駅構内を出たら左折し、通り沿いを20秒ほど直進
→右手の横断歩道をわたる
→横断歩道をわたり切ったら、目の前の「栄通り」を直進〈高田馬場駅が背になります。栄通り自体は大通りに直角ではなく少し斜めになっています)
→少し歩いたら左側に音楽が流れいているお店があるので(そこがふたごです)、左を向く。
→同じ間口の左側に下り階段、右側に上り下りなしの入り口があります。右側がふたごへの入り口なので、右側を通ってふたごに入ってください。
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ライター カノスエトク
カノスエ トク(仮称) 1989年生まれ。弱視の自称ジャーナリスト・ライター。 現在、TVの報道番組制作会社に勤務。 3歳の頃に怪我をし、視力左0.06、右0の視覚障がい者(弱視)となる。中学生の時にみていた「週刊こどもニュース」で報道の面白さに目覚め、盲学校の仲間たちとの関わりを通し、障がい者に対する偏見を自分自身すらも抱いていたことに気づき、衝撃を受け、価値観がガラリと変わる。これら の体験から、「普段耳にしない人たちの生の声を伝え、世間に何気なくある価値観を揺さぶる記事を作りたい」と、ジャーナリスト・ライターを志し、現在修行中の日々。 (出演経歴) 2013年 NHKラジオ「聞いて、聞かせて」など
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