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一つじゃない 第9回

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ライター:風来坊

菅原道真は現代では学問の神様として有名ですが、以前は怨霊だったことを知っていますか?
策略により不遇のまま亡くなった道真は雷を使う怨霊として復讐を果たしたのです。
その後、道真は大切に祀られて現代の学問の神様になりました。
怨霊と聞くと悪者のように思えますが、いじめられたことへの抗議のためと考えるとちょっぴり道真の気持ちが分かる気がします。

モノの見方も一つじゃない。

<はじめに>

イラスト1

「福祉」の主役は誰でしょうか?
福祉を必要としている人でしょうか?
それとも福祉を「施してくださるお国や地方自治体」でしょうか?
福祉を受けることで幸せになるのは誰でしょうか?

<福祉のコスパも一つじゃない>

イラスト2

障がい者として様々なサービスを受ける際に提出を求められるモノの一つに「障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)」があります。
障害者手帳を提示するとお得にサービスを受けられる反面、それを取得するためには障がい者は様々な負担を負っています。
その負担の中で明確に数値化できるものに診断書の発行料金があります。
当然ですが、医療機関での診断書の発行に健康保険等は適用されず、全額自己負担です。
つまり、障がい者がサービスを受けるためには高額の診断書が必要なのです。

<福祉の主役も一つじゃない>

栃木県大田原市では、「障害者手帳等の申請に関する診断書料の助成」として
 身体障害者手帳用診断書一通につき5000円まで
 精神障害者保健福祉手帳用診断書一通につき3000円まで
 自立支援医療用診断書一通につき3000円まで
助成金が出るそうです(令和4年3月31日で廃止されます)。

また、秋田県横手市でも、「精神障害者保健福祉手帳の申請に関する診断書料の助成」として、精神障害者保健福祉手帳用診断書一通につき3000円まで助成金が出るそうです。
私のように障害を負ったことで心を打ちのめされている人にとっては、自身の置かれている状態に落胆しているのに更に診断書取得のために高額の出費が重なることは、
 「弱り目に祟り目」
 「泣きっ面に蜂」(双方ともに困っているのに更に不幸が重なるという意味です)
なのです。

そうした障がい者の実情を理解し、寄り添った行動をしてくれる自治体が日本にはあるようです。

<福祉の主役も一つじゃない2>

現在の福祉は主に「市区町村」に提供責任があります。
それは地域住民の生活に近い自治体が市区町村だからなのですが、そうした「責任」から逃げる自治体があるようです。
宮城県にある、石巻市、東松島市、女川町は共同で
「地域生活支援事業のうち、移動支援、日中一時支援、地域活動支援センター、訪問入浴、生活サポート事業については、指定基準を設け、サービスを提供する事業所を指定する方法により、これらの事業を実施します。」
と宣言しています。

分かり難いので噛み砕いて解説しますと「本来“市区町村の責任”で提供すべき福祉サービスを“宮城県”に責任をとらせよう。」という勝手な言い分を、石巻市、東松島市、女川町の三つの自治体が共同で主張しているのです。

また、この主張によりそれまで地域で福祉サービスを展開していた法人が業種の変更や廃業に追い込まれたそうです。

女川町では「これをやってしまったら一部のサービスが女川町からなくなってしまう。」という理由で現在はこの主張から離脱しています。
宮城県の石巻市と東松島市では、福祉を提供するのも、提供しないのも、自治体の判断次第のようです。

<おわりに>

イラスト3

福祉を必要としている人が主役となってサービスを選び、受けられることがおかしなことでしょうか。
自治体が福祉を必要としている人に寄り添うことが難しいことでしょうか。
自治体が一方的に施すことが福祉なのでしょうか。
自治体が楽をすることが住民の幸せに繋がるのでしょうか。

私は「地方自治体とは地域住民の幸せのために全力を尽くすべき」だと考えています。
しかし、自治体によって「住民の幸せのために全力を尽くす」か、「職員の幸せのために全力を尽くす」か、に分かれてしまっているようです。

残念ですが、これが日本の認めた地方自治なのかも知れませんね。

あなたの住む地域の自治体は、住民の幸せのために全力を尽くしてくれていますか?

<イラスト>
 SAKURANEKO(アート・インクルージョン)
<参考・引用>
・栃木県 大田原市HP https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2018062800030/
・秋田県HP https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/8442
・石巻市HP https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10402000/3123/20190726085607.html

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ライター 風来坊

東北の片田舎在住のアラフォー。 児童虐待、いじめ、パワハラ、自傷による措置入院を経験。 田舎では福祉に偏りがあると考え30代から大学で福祉を学ぶ。 数年前には事故で利き手が不自由になり、現在はリハビリを兼ねた趣味(プラモデル、ニードルフェルト、UVレジン)に没頭中。 いつか全ての人が楽しめる駄菓子屋を開きたい。

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