【障害年金企画】第四弾!障害年金の落とし穴!~メリット・デメリットを教えます~
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ライター:Media116編集部
みなさんこんにちは!Media116編集部です。障害年金企画も第4弾になりました!ここまでのねんきん博士とタロウくんのやり取りで、障害年金の仕組みや、そもそも障害年金とはどういったものなのか?ということを理解して頂いたと思います。今回は、障害年金を受け取るにあたってのメリット・デメリットを博士とタロウくんがお話ししていきます。実は知られていない制度、立ちはだかる見えない壁などが沢山あります。これを読んで、みなさんもねんきん博士になりましょう!
障害年金が減額・停止になる!?20歳前障害年金の落とし穴
タロウくん:ねー、博士!これまでいろいろ勉強してきて思うんだけど、障害年金って本当に障がい者の味方になる制度だよね。障がいがある人みんながもらえる制度になったらいいよね!
ねんきん博士:タロウくん、それがそうとも言えないことがあるんじゃよ。
タロウくん:えっ、どういうこと!?
ねんきん博士:実は、「受給所得制限」というものがあるのじゃ。お金を沢山稼ぐと障害年金の減額または停止があるのじゃ。
タロウくん:えっ!?障害年金がもらえなくなっちゃうの!?
ねんきん博士:障害年金は生活保護などと違って、所得が少ないために受給されるのではないんじゃ。
障がいがあるから受給されるということじゃよ。
例外なのは、20歳前に障がいとなった場合の年金じゃよ。
「無拠出年金」と言ってな、ご自分の保険料(掛け金)なしでも受給できる。その代りに所得制限がある。
所得額が3,604,000円超(単身世帯)を超える場合には年金額の2分の1相当額に限り支給停止とし、4,621,000円を超える場合には全額支給停止とする二段階制となっているのじゃ。
ほかにも、20歳前障害年金の方の場合には、いくつか受給停止の場合があるよ。
タロウくん:そうなんだ。障害年金の基本は収入が少ないからではなく、障がいとなったからなんだ!!
ねんきん博士:実はそこが難しいところなんだ。特に、精神障がいのある方じゃがね。
タロウくん:どういうこと?!
「合理的配慮」と「診断書」に潜む落とし穴
ねんきん博士:タロウくん、A社では、車いすのBさんを雇うために、階段だけでなくエレベーターを設置したとしよう。Bさんの障がいは治ったと思うかい。
タロウくん:え!そんなわけないよ。だって、設備を整えてもらっただけだもん。
ねんきん博士:そうなんじゃよ。次は、精神障がいの方のことを考えてみよう。Ⅽさんは疲れが溜まると病気や発作が再発しかねない、じゃから会社に残業は配慮してねとお願いして会社は一切残業無しで採用された。
Dさんは毎日決まった仕事を黙々と続けるのは得意じゃが、人との会話が苦手という人じゃとしよう。この点を配慮して毎日同じことを繰り返す仕事に採用されたとしよう、この人は障がいは治ったのかな?
タロウくん:え!むずかしいぁ!
ねんきん博士:車いすのBさんのエレベーターにあたることが、会社の配慮事項だね?Cさんにとっては残業なし、Dさんにとっては決まった業務をすることが配慮事項になる。障がいがある方に対して会社が行わなければならない「合理的配慮」というものなんだ。
Cさん、Dさんは合理的配慮のおかげで、元気に休みなく会社で働ける状況が続いたとしよう。それを見たお医者さんは現況届を書くときに精神症状が軽くなったと、書いてしまうことがある。
タロウくん:え!どうして?
ねんきん博士:お医者さんは病気の症状が悪くならないように診察してくれるね?悪くなっていない状態が続くと、症状が安定していると判断するんじゃよ。
タロウくん:そうだよね。完全に良くなったわけではないけれど、悪化してはいないんだもんね。
ねんきん博士:診断書に現在の状況をどのように書くのか。それはご本人側にも、お医者さん側にも難しさがあるんじゃよ。なぜなら診断書の書き方によっては、年金をもらえるのかどうかということに関係あるからじゃ。
タロウくん: それってもしかして、前回教えてもらった障害年金申請に必要な12の書類の中にお医者さんの「診断書」が入っているから?
ねんきん博士:そうじゃ。例えば、通院できているということは、ある程度病院まで行く力が残っているということだと判断されることもある。
そうなるとお医者さんは患者さんのとても体調が悪い時のことを知らず、通院できるている程度の良い状態でしか判断できないこともある。
それに患者さん自身は、先生にご自分の苦しいときの話をできないこともある。
それが診断書の書き方に影響することもあるんじゃよ。
また、「年金は精神障がいでは就労できない人が受けるもの」「就労したら年金は終わり」という考え方をもっている先生だと、その考え方に沿った診断書になってしまう。
こうした事情の背景には、「どこまでを障がいとするか」という大きな課題がある。
タロウくん:むずかしいなぁ。
ねんきん博士:タロウくん、身体障がいの方は症状が固定されている場合があるね。でも精神障がいの方は、来年は体調や状況が変わるかもしれない。精神障がいあるいは精神疾患は時間経過の中で変化するという傾向があるんじゃ。
タロウくん:そうなんだね。どうなったら軽くなったとか、どうなったら治ったってはっきり言えるものではないんだね。
「助けてほしい」という思いと援助されることへの葛藤
ねんきん博士:タロウくん、「障がい」が変化するということは難しいことだね。お医者さんでさえ勘違いすることがあるかもしれない。先生によっては、「年金なんかあてにしないで、自分の腕で働きなさい」という個人の価値観もあるよね。
タロウくん:自分で働いて生活していきたいという人もいるだろうけど、どうしても働けないという人もいると思うよ。
そのお医者さんのような考えって、どうしても働けないという人にとってはすごく厳しいんじゃないかな。
ねんきん博士:そうだね。患者さんにもよるが、障害年金を貰うことが励ましになる人もいる。リハビリや治療を続けて目標に向かっていくことが人生をポジティブに生きるうえでは重要になる人もいる。しかし一方で、年金を受けることで「障害年金を貰って生活している」という負い目を感じて、自信を失ってしまう人もいるんだ。
病気や障がいは個人が克服するものなのか、社会で支えていくものなのか、ということは大きな問題なんじゃよ。
タロウくん:年金はただお金がもらえて嬉しいだけじゃないんだね。。。
ねんきん博士:なかなか難しい課題なんじゃよ。
現状では得られない「自立」を助けてくれる障害年金
ねんきん博士:ただ、障がいのために長く働くことができない人がおるじゃろ?
タロウくん:うん。ほんとは長く働きたいけど、どうしても体調が・・・っていう人だよね。
ねんきん博士:長く働けないということは当然、働いた時間の対価としてのお給料の額も少なくなるので、一人で生活していくうえで必要なお金を自分で稼ぐことができない人もおるんじゃ。
タロウくん:足りない分を障害年金が助けてくれるんだ!
ねんきん博士:その通り!年金と自分で働いたお金を足すと、十分生活していけるだけの金額になるという場合もある。先ほど話したように「障害年金を貰って生活している」という負い目を感じる必要もなく、自分にできる範囲で働いて、足りない分を助けてもらっていると考えると、それはそれでその人らしい働くスタイルなんじゃよ。
その時に気をつけなければならないのは、診断書を書くお医者さんとの日ごろからのコミュニケーションじゃな。これも先ほど言ったように、生活できるだけのお給料をもらえるほど働いてはいなくても、「就労は就労」じゃ。お医者さんがそのまま「就労」できているということを診断書に書くと、支給が停止になったり、等級が下げられるケースもあるんじゃ。
その人にとって何をどこまでやることが「就労」なのか。「自立」なのか。出来ない部分は誰が保証するのか。何が補うのか。社会全体で統一された考え方がないから難しい問題なんだが、それぞれの働くスタイル、働き方の多様性を認める社会になればいいね。
タロウくん:月曜日から金曜日まで5日間働くことができる人だけが認められるっていうのはおかしいよね。
5日間、8時間以上働いた人だけに生活できるお給料が認められるっていうのもおかしいよ。
足りない分は誰かがちゃんとあげなきゃ!
ねんきん博士:そうじゃな。働くことは、何もお金を稼ぐことだけではないよね。人と関わり、社会と関わり、自分の役割を認識して、社会の一員としての自分を実感する。できる範囲で、出来ることをやる。
働くことはお金以外にもたくさん得るものがあるね。障がいを抱えながら、自分に出来る範囲で労働という社会参加を維持していくうえでは、障害年金は稼働収入を補う制度として非常に有効な制度じゃな。
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