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試しただけで大成功!発達障がいのある人に安全な場を【前編】

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ライター:遠藤光太

『発達障害の人の会話力がぐんぐん伸びる アイスブレイク&ワークショップ』(著者:冠地情、漫画:かなしろにゃんこ。/講談社)が出版されました。著者の冠地情さんは発達障がいの当事者で、ご自身の生きづらさを原点に、これまで1000回以上のワークショップを主催。今回は、同じく発達障がい当事者の遠藤光太がお話を伺いました。

発達障がいライター遠藤光太が直撃!

こんにちは。いよいよ体調管理のむずかしい冬も終わりが見えてきましたが、みなさんいかがお過ごしですか?

この度、『発達障害の人の会話力がぐんぐん伸びる アイスブレイク&ワークショップ』が出版されました。著者は「イイトコサガシ」の冠地情さんで、かなしろにゃんこさんが漫画を描いています。

発達障がいの当事者でもある冠地さんが主宰する「イイトコサガシ」は、コミュニケーションを安心して試行錯誤できるワークショップを提供しています。
これまでの開催実績は全国43都道府県、都内47区市(離島以外全域)で、回数は延べ1000回以上!本書はその確かな実績に裏打ちされたワークショップのメソッドを、かわいらしい漫画で読みやすく仕上げられています。

今回は本書の出版を記念し、同じく発達障がいのあるライターの遠藤光太が、冠地情さんにお話を伺いました。ぜひ、お楽しみください!

「人間関係」を切り離して、「コミュニケーション」を試行錯誤してみよう

“日本人には今!コミュニケーションをみがく場所が必要なんです!!”

確かに、私(遠藤)もこれまでコミュニケーションを試行錯誤する場はなく、常にぶっつけ本番でした。ときには試すことへの不安で失敗し、人間関係に支障をきたすことも。
「イイトコサガシ」のワークショップには生きづらさを抱える方々が多く参加されていますが、これはもしかすると、「生きづらさを抱えているかどうか」を超えて社会の大きな課題なのかもしれません。冠地さんはこう言います。

「企業で最も求められる能力はずっと『コミュニケーション能力』です。でも、日本ではコミュニケーションを試行錯誤する場が子どもから大人まで全然ないですよね」

冠地さんはそんな課題意識のもとで「イイトコサガシ」を運営しています。
「『イイトコサガシ』では、『コミュニケーション』と『人間関係』を切り離して、『コミュニケーション』だけの試行錯誤ができるようにワークショップを提供しています。
日常生活では『コミュニケーション』と『人間関係』が重なり合っていることもありますが、『人間関係』にはしがらみも多く、『コミュニケーション』よりもつい『人間関係』を優先してしまいがちです。

『イイトコサガシ』では『コミュニケーション』に特化し、試行錯誤できるワークショップを通じて生きづらさを解消し、みなさんがもともと持っている魅力や能力を発揮できるようにエンパワメントしています。

そのために大切にしているのが、安心・安全な場であることです」

イイトコサガシのワークショップは、全国の支援機関や医療施設、学校などさまざまな場で実施されています。参加人数は5名程度から多人数まで、価格も無料の回からさまざまです。みなさんに合ったワークショップを選んで参加することができます。

“イイトコを探す”よりも大切にしているのは“試しただけで大成功”

「イイトコサガシ」の特徴は、本書にも描かれているように、安心・安全を感じられるワークショップでコミュニケーションの試行錯誤ができるところにあります。ワークショップとは、参加型の体験講座です。「イイトコサガシ」では、主催者のファシリテーターが話しやすい雰囲気をつくり、参加者が自己紹介や会話、創造力を伸ばすといったテーマのさまざまなプログラムで場をつくり上げていきます。

安心・安全な場であるために参加者のルールとしているのは、「批判や助言をしないこと」。冠地さん、どんな意味があるんですか?

「僕がたくさんの方と接してきた経験の中で、トラブルが起こりやすいのは、求めていないのに批判をされてしまったり、良かれと思って助言をしたりといったときだとわかりました。もちろん批判や助言をする場が他にあってもいいと思いますが、『イイトコサガシ』ではルールとして禁止にしています。

その一方、大事にしている価値観は『試しただけで大成功』ということ。ここでは失敗してもいいじゃん、と。例えば自分の殻に閉じこもりがちだった人が『イイトコサガシ』で自己紹介を試せたら、コミュニケーションしない人からする人へとレベルアップしたことになります。それだけで『イイトコ』が探せたようなものです。最近では『イイトコを探す』よりも『試しただけで大成功』を重視しているほどです」

〈イイトコサガシの主なルール〉
・「イイトコ」を探して応援し合いながら進める
・否定、批判、評論、反省をしない
・退出は自由
・発言には拍手をする

気軽にゲーム感覚で参加してほしい

『発達障害の人の会話力がぐんぐん伸びる アイスブレイク&ワークショップ』は、発達障がいのある息子さんを育てるかなしろにゃんこさんの親しみやすい漫画も印象的です。冠地さんは、親しみやすさを重視して本書を制作していったそうです。

「ワークショップに参加するのはハードルが高く、生きづらさを抱える方たちにとって疑心暗鬼になってしまうこともあると思います。これまでそんな思いを払拭するために『批判・助言はなしです』や『試しただけで大成功』と、安心できる場であることを言葉でアピールしてきましたが、伝わらないもどかしさを感じていました。

そこで今回の本では、以前から信頼していた漫画家のかなしろにゃんこさんと協力して、できるだけフレンドリーに仕上げました。

本を読んで、子どもたちのようにゲーム感覚で参加してもらえたら嬉しいです。それから、ワークショップを主催する人が増えるのが理想ですね」

後編では、冠地さんご自身が本書の制作で「コミュニケーション」を活かしたエピソードやこれから目指すこと、はたまたバンジージャンプから得た教訓!?などに迫ります。お楽しみに!

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ライター 遠藤光太

発達障がいの当事者。二次障がいでうつ病になり、休職を経験。現在、フリーライター。さまざまな媒体での記事執筆のほか、テレビ番組等で活動中。

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