今井絵理子議員にインタビュー!【前編】 当事者のみなさんから集めた声、直接ぶつけました!~障がい者の雇用・教育について~

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ライター:Media116編集部

2016年の参議院議員選挙で初当選を果たした今井絵理子議員は、聴覚障がいの息子をもつ一児の母でもあります。Media116では今回、今井議員に聞いてみたいこと・お願いしたいことを大募集。当事者の方たちを中心に、多くの声が寄せられました。

2016年12月某日、ついに今井議員へのインタビューが実現。みなさんからの声をもとに、今井議員の考える教育問題や雇用問題、思い描く理想の未来についてうかがいました。(株)ゼネラルパートナーズ代表取締役社長の進藤均との対談形式で行われたインタビューの模様を、前・後編に分けてお届けします。

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進藤:まず最初に、今井議員はなぜ政治家になろうと思ったのか、改めてうかがってもよろしいでしょうか。

今井議員:私にとっては政治家になるのが目的ではなくて、実現したいことを叶えるための手段だと考えています。実現したいのは、障がいの有無に関係なく、みんながお互いの違いを認め合いながら生活していける社会を創ること。そんな思いを強く抱くようになったのは、息子の存在が大きいですね。皆さんご存知の通り、私の息子は聴覚に障がいがあります。私が政治家になる以前から続けていることに、息子と一緒に全国各地の特別支援学校や児童養護施設、そして一般の小・中学校や高校など様々な教育現場を訪問させていただくボランティア活動があります。社会が障がいがある人に対して抱いている「かわいそう」という見方や、「閉鎖的」などのイメージに対して、決してそうではないことを、息子を含め子どもたちに教えたい。いろんなタイプの障がいがある方たちがいて、同じ社会の中で生きているということを伝えたい。そんな思いで取り組んできました。




またこの活動を通して、障がいがある子どものお母さんたちとも出会いました。彼女たちには共通点があって、社会に対して同じような思いを抱いていることがわかりました。それは、障がいに対する偏見があり、障がいへの理解がまだまだ不十分だと感じているということです。そんな状況を少しでもどうにかできないものかと考えた結果、24時間テレビで息子の障がいを公表することにしました。

障がいがある子どもを持つ母というのは、私も含め、五体満足で産んであげられなかったことへの後悔や悲しみというものを、どうしても抱えてしまう人が多いんですね。しかも専業主婦の場合は社会とのつながりも薄れがちなため、障がいがある子どもがいればなおさら、どんどん家にこもりがちになり、周囲が見えなくなってしまう傾向があります。社会とどうやってつながっていけば良いかわからない状況で、ひとりで背負ってしまうケースも珍しくありません。そこで、情報をたくさんの人たちに伝えられる立場として、息子の聴覚障がいを公表することで、障がいがある当事者やそのご家族の方たちに「ひとりじゃない」というメッセージを届けたかったんです。

障がいは一つの個性であり、その個性を知ることは障がいを知ること。一人一人が違ってもいいと認め合える環境を整えていくこと。それが私の実現したいことであり、スタート地点です。…長くなってごめんなさい。

進藤:よくわかります。私の場合、障がいがある子を持つ母親である今井議員と立場は違いますが、14年前に株式会社ゼネラルパートナーズを設立した背景には、障がいがある妹の存在がありました。




私の妹は左半身麻痺で、知的にも障がいがあるという重度の障がい者です。妹とは私が5歳の頃からずっと一緒で、障がい者教育というものを幼い頃から見てきましたし、恋愛や結婚における大きな壁というものも見てきたので、世の中と障がいがある人との間には深い溝があると感じていました。今井議員も先ほど言われたように、障がいに対する世間のイメージはネガティブで、そういう状況をもっと変えていきたいと考えるようになりました。

そして、障がいがある人に対する差別や偏見、世間との溝を作り出している最大の原因とは、お互いのことを知らないことだと感じていたので、ならばお互いを知る機会をどんどん提供できるような会社を創ろうと思い立ちました。障がいがある人とない人が一緒に働くことでお互いを知り、インクルージョンされていくような社会を作ろうという思いで、14年前、ちょうど30歳の時にこの会社を創りました。人材紹介業からスタートし、教育の分野、障がいがある人が働く場所としての農業生産事業など、少しずつ分野を広げながら展開しています。いずれも障がいがある人の「働く」ということをテーマにしており、障がいごとに必要なサポートはさまざまなので、それぞれの障がいを専門とするサービスを展開しているのが特徴です。

今井議員:すごく大事なことだと思います。政治の世界に入ってわかったことですが、国は障がいというものをひとくくりに考えて予算を付けています。でも、障がいによって支援の方法も違えば、必要な予算も違うはずです。やはり障がいのタイプ別に特化した支援方法や予算組みで考えていくことが必要だと感じています。まずは根本的なところで障がいの一つ一つを知らなければ、すべてを把握することはできないはずです。そこから始めることがいずれ一つにつながり、インクルーシブな教育や、インクルーシブな社会へとつながっていくのではないかと考えています。

進藤:おっしゃる通りです。本日は、当事者の方たちが実際にどんなことを考えて要望しているのかという声を集めてきましたので、いくつかご紹介させていただければと思います。まず最初に、「障がい者の雇用」についての声です。

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「法律があるから仕方なく求人をかけている」という企業が大多数であることを思い知らされる(30代男性・うつ病)

健常者と比べ配慮が必要なことはわかっているが、障がい者であっても、一般と同等の仕事ができれば賃金も同等にしてほしい(30代女性・うつ病)

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進藤:「働く」ことは人生の根幹であり、誰もが社会との接点を持ちたいと望んでいるので、最も問題意識を持つべきことだと考えます。障がい者雇用に取り組む企業は増えていますが、「障害者雇用促進法のため」という義務感で動いている企業が多いのも実情です。せっかく入社しても周囲となじめないとか、心から受け入れられていないと感じる方が少なくありません。特に精神疾患の方に対しては「近寄りがたい」、「すぐに辞めてしまうのではないか」という差別や偏見が今も根強いという問題があるようです。

今井議員:精神疾患は目に見える障がいではないですからね。だからこそ支援が必要とされている部分はありますよね。

進藤:賃金的な差別という問題もあります。これは弊社の「障がい者総合研究所」の調査で明らかになったことですが、約800人の当事者の方たちへアンケート調査を行ったところ、身体障がいがある方たちの年収は10年前が 200〜250万だったところ、現在は300万円近くになっていて、ここ10年で徐々に改善されてきています。ところが、精神疾患の方たちの年収は200万を超えていないという状況です。この辺りはどのようにお考えになりますか?




今井議員:一番悲しいのは、法律のために企業が採用した当事者の方たちが、結局自分の存在価値というものを認められず、空気のようにただそこにいるだけという現場が存在するということ。この法律を国としてどのように改正していくかも視野に入れるべきでしょう。賃金については、能力が同等であれば障がいを理由に金額に差をつけるべきではありません。

政治の世界では、ハード面は法律などで変わったとしても、ソフト面に関しては短期間で結果を出すことは難しく、丁寧に丁寧に取り組んでいくのが私たちの役割だと思っています。そのためにも、精神疾患の方たちが10年後、20年後、30年後どうあるべきかということを、たくさんのご意見をいただきながら作っていく必要があります。そして、当事者の方たちが自ら声を大きく上げていくことも社会を変えていくことにつながると思っているので、ぜひみなさんにも声をたくさん上げてもらって、こうした方がいいという議論を重ねながら慎重に、でも着実に進めていけたらと思っています。

進藤:ありがとうございます。続いては「障がい者の教育」についてです。

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学校教育における障がい者の隔離を無くして欲しい。お互いの事が分からない状態で成長し、大人になっていきなり「差別は問題だ」「ノーマライゼーション」だと言っても、それは違うだろう?と感じる。(大学4年生・男性/車椅子ユーザー)

障がい者の子供に学ぶ機会を!障がいがあるからこそ、より多くの可能性を探りたいと思っても、習い事や塾など、障がい児だと断られてしまう。(30代女性)

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進藤:障がいがある子どもたちが一緒に教育を受けられないことに対するご意見ですね。この結果、障がいがある方との接し方がわからず、腫れ物に触るような対応しかできない大人が増えてしまうように思います。

今井議員:かつては特別支援学校、ろう学校、盲学校など、それぞれの子どもたちに適した教育方法が必要という考えのもとに、教育の場が分けられていました。でもそれによって、障がいがある方に対して悪気はなくても接し方がわからないという大人が増え、それが差別や偏見につながったという背景は確かにあると思います。私は現在、自民党の文教科学委員会に所属しています。主に教育やスポーツ、文化、科学の分野を担うものです。現在、教育分野ではインクルーシブ教育に予算が当てられており、全国的にも特別支援学級の設置などの取り組みがどんどん増えていくはずです。このような取り組みが実現することは大きな前進であり、とても喜ばしいことです。

その一方で私が感じているのは、就学以前の子どもたちへの教育の必要性です。私は息子が3歳の時に1年間だけ普通の保育園に通わせた時期があります。そこに通う9割は健常の子どもたち。残りの1割は何らかの障がいがある子どもたちでした。専門的な知識を持つ保育士さんがいたので、親は障がいがある子どもを安心して預けることができました。ここではまさしくインクルーシブ教育が実践されていて、先生たちの人柄もさることながら教え方も素晴らしく、子どもたちにきちんと「○○くんは耳が聞こえないから、後ろから呼んでも振り向かないよ。肩をポンポンと叩いてあげてね」というように、具体的なコミュニケーション方法を教えてくれていました。

その1年間、息子がお友達と一緒に楽しく遊んでいる姿を見て、子どもたちが大人になった時に障がいがある方たちと隔たりなく接することができるような教育とは、こういうことなのではないかと感じました。だからこそ、障がいの有無や種類に関係なく、あらゆる子どもたちが交流できる施設なり教育というものが重要だと感じています。学力だけではなく心(ハート)の教育も求められることになるので、先生たちにも変化が求められていると思います。




進藤:同じ屋根の下に障がいがある人たちと、そうでない人たちとがいて、時々交わり、時々それぞれのグループで行動するといったシームレスな関係が、学校、会社、ひいては社会でも成り立つ。そんな環境が自然と生まれるのが理想だと思います。それを実現していくためには草の根の活動が大切でしょうし、ある閾値を超えたところで、その力が急に大きくなるブレイクスルーがやってくるはず。急がずに継続していくことがとても重要ですね。

今井議員:手話の例を挙げると、昔はろう学校で手話を使うことが禁止されていて、口話法(読話法)の教育がされていました。手話を使うと手を縛られていたという人権問題に関わるような歴史もあると聞きましたが、その後どんどん改善されて、今では手話がコミュニケーション手段として確立されています。このように、時代を超えて諦めずに訴え続けることは、障がいの有無にかかわらず、私たちにとって必要なことだと思いますね。

【後編へ続く】


プロフィール

今井絵理子(いまい・えりこ) 1983年9月22日沖縄県生まれ。1996年 SPEEDのメンバーとしてデビュー。2000年 SPEED 解散後、ソロとしての活動開始。2004年長男を出産。2008年にテレビ番組内で息子の聴覚障がいを公表する。「障がいは個性、不便だけど不幸ではない」と手話で伝えた。NHK「みんなの手話」の司会を歴任し、2016年7月に参議院議員に当選。現在は政治家として活動している。
https://www.imai-eriko.jp

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