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「どうしても結婚式を挙げたい」失語症の花嫁が見つけた私だけのウェディングプランナー【前編】

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ライター:飯塚まりな

東京都内在住の⻄口友美さん (活動名:竹沢友美さん)。元レースクイーンだった西口さんは、8年前に突然くも膜下出血で倒れ、失語症と左半身麻痺を負いました。

そんな彼女がどうしてもあきらめられなかったのが「結婚」。
過酷なリハビリ生活を経て、運命の人と出会い、現在は幸せな家庭を築いています。

彼女が次にやりたいことは、結婚式を挙げることでした。病に伏せていた時も、変わらず支えてくれた人たちに、式を通して感謝の気持ちを伝えたい。けれど、障がいのある車いすの女性が式を上げることは簡単ではありません。

そこで出会ったのが、フリーウェディングプランナーで、株式会社Colorfraise「Amulet wedding」代表の岩田美生さん。彼女は西口さんにこう伝えます。

「結婚式をしたいのなら、あきらめる必要はありません」。

これまで3000組以上の結婚式を手がけてきたプランナーの言葉は、西口さんにとって希望そのものでした。

Media116では、失語症で車いすの花嫁とプランナーによる結婚式当日までの八ヶ月間を追いました。

動かなくなった身体

西口さま 入院中
▲西口さま 入院中

西口さんが倒れたのは、大分県のサーキット場。当時はレーシングチームのマネージャーを務めるなど、病気とは無縁の生活を送っていました。しかし、突如ドクターヘリで救急搬送され、一時は心肺停止状態に......。

意識が戻ったのは一ヶ月後。奇跡的に一命を取り留めたものの、目が覚めた時には首から下が動かず、話すこともできなくなりました。重度の障がいを負い、

「私、生きていていいのかな」
「もう死にたい」

当時、ベッドの上で涙を流しながらそう思ったと言います。人生の中で一番のどん底だった時期。しかし、両親や仕事の同僚たちから励まされ、なんとか立ち直ります。

元気になりたいと、必死にリハビリを開始。動かなくなった右手が、ゆっくり動かせるようになりました。

その後、自宅のある東京の病院に転院。今度は硬直した足の手術を受け、さらに両足を伸ばすためにアキレス腱を移植するなど、痛みに耐える生活が一年半続きました。

結婚式のためにリハビリに集中
▲結婚式のためにリハビリに集中

障がいはあるけど結婚がしたい

長い入院生活を終え、退院後は車いすで暮らしていた⻄口さん。一人で外出が難しくなった状況でも思い切って婚活を開始。マッチングアプリで後に夫となる直廷さんに出会います。

初めて顔を合わせた時、直廷さんは⻄口さんの病状をあまり知らず、車いす姿を見て驚いていたとか。しかし、互いの人柄に惹かれ、一緒にいたいと思うように。二人は婚約を決めました。

当時、⻄口さんの家族はとても心配したそう。でも、今では二人の熱意が伝わり心から応援してくれています。

「車いすでは無理」と断られて

⻄口さんは、一人でウェディング会社を探します。しかし、いくつかの条件がありました。

● オンラインで打ち合わせが可能
● 失語症のため、必要な時は自宅に来て直接話したい
● 車いすや障がいがあっても入れる式場を探せること

震えが残る右手で、スマートフォンの操作を行い、問い合わせします。しかし大手のウェディング会社は「打ち合わせは全てZoomで行う」と 返答され、難しさを感じました。

そこで自力でフリープランナーを探し、岩田美生さんにたどり着きます。過去に障がいのあるカップルの式を担当した経験があることを知り、「この人ならお願いできるかも」と胸が高鳴りました。

「絶対にNOと言わない」ウェディングプランナーとの出会い

岩田さんは、⻑年ブライダル業界の第一線で活躍し、大手式場での勤務経験があります。

信頼関係を築きながら準備を進める二人
▲信頼関係を築きながら準備を進める二人

対応したカップルの中には、さまざまな事情で「NO」と言わざるを得ない状況に直面したこともありました。

結婚式は人生で一度かもしれない。ですが、一生続いていくのは日々の生活。収入面が困難で、式どころでないカップルがいます。大手式場では制約があり、カップルの希望に応えられない状況に歯がゆさを感じた岩田さんは、フリーランスとして独立を決意しました。

「カップルの夢を支えるのが、ウェディングプランナーの役目。大手に依頼することが難しいと感じる方々の結婚式を手掛けることができます。自分が役に立つ事が出来ると実感しました」

障がいに関係なく、本当は結婚式をしたいと思っているなら、絶対に諦めないでほしい――岩田さんはそう西口さんに伝え、契約を交わしました。

「私がやらずに誰が受ける?そう思いました」と笑顔で話す岩田さん。

頼りがいのあるウェディングプランナーに出会った西口さんは。さっそく式への準備を始めました。

「段差がない」だけがバリアフリー?

契約後、二人のやり取りは主にLINE。しかし、失語症の⻄口さんは伝えたいことがすぐに言葉に出てこないうえに、右手の震えでタイプミスや文字の修正が困難です。そのため、岩田さんには「読み取る力」が求められました。

前撮りに付き合う岩田さん
▲前撮りに付き合う岩田さん

毎日LINEで会話をするのが当たり前になり、逆に西口さんから連絡が来ない日は『何かあったのかしら!?』と岩田さんが心配してしまったとか。

西口さんのウェディングを通して、個別対応が重要だと岩田さんは実感し、「真のバリアフリーとは何か」という問いを持ちます。

「世の中には、公共の場で段差さえなければバリアフリーと思われがち。私も昔はそう考えていましたが、実際はそれだけではなかったです」

失語症の⻄口さんは会話に時間がかかり、トイレに行くのも介助が必要。ドレスを着て一日過ごすには、特別なリハビリが必要です。

障がいは症状が一人ひとり違い、それはLGBTQの人にも共通することがあり、一括りにできません。程度の違いはあれど、人によってバリアは必ず生まれてくる。それをどう捉え、考えられるのか。

岩田さんは、「誰もが何かしらのマイノリティを持っていることを前提に式のプランを考えなくてはと学びました」と話しました。

歩いて伝えたい、感謝の言葉

「明るくて派手な柄に着てみたい」と豪華な着物を選ぶ
▲「明るくて派手な柄に着てみたい」と豪華な着物を選ぶ

一方、花嫁の⻄口さんは結婚式のことで頭がいっぱいに。自身の手で結婚式の招待状を用意していました。

「私には会いたい人が大勢います。『いま、私はこんなに元気になって、幸せになったよ』と伝えたいです」

今回の結婚式には。西口さんの中に大きなテーマがありました。それは「ドレスを着て歩くこと」。足の装具を装着せずに、ドレス姿で歩くプランを立てました。

では、前編はここまで。結婚式は、来年2026年1月24日、丸の内で開催されます。 プランナー岩田さんの腕の見せ所にもご注目。

失語症の花嫁による感動のウェディングをお楽しみに!

式の模様は後日、改めてご紹介します。

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ライター 飯塚まりな

フリーライター/イラストレーター  近所の人から芸能人まで幅広いインタビューを行う。取材実績は300人以上。 フリーペーパーから始まり、現在はwebメディア、書籍、某タレントアプリなどで執筆。 介護・障がい者施設での勤務経験あり。「穏やかに暮らす」がここ数年のテーマ。

ブログ
https://note.com/maaarina0414/n/n3cd180f64235
公式HP
https://www.facebook.com/marina.iizuka.9/?locale=ja_JP

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