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障がいがあってもバイクで走りたい! 夢をかなえるサイドスタンドプロジェクト!

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ライター:keita0206

こんにちは!障がい者ライターのケイタです。突然ですが皆さんは障がいを持った人がバイクに乗ることについてどう思いますか?「事故したら危ないんじゃないの?」「軽い障がいなら可能かもしれない」など、いろいろなご意見があるのではないでしょうか?

今回取材させていただいたサイドスタンドプロジェクト(以下SSPと表記)は、障がいを持っている方でもバイク で走行可能なイベントを毎年数回開催しております。特に年に一度開催しているイベント「やるぜ!!箱根ターンパイク」(以下箱根ターンパイクと表記)では、箱根の公道を貸し切っての大規模なツーリングイベント を行っているとの事です。

SSPはどのようなきっかけで立ち上がったのか?そして障がい者がバイクで走るには、どのような手順や条件をクリアする必要があるのか?代表の青木治親(あおき はるちか)さんにお話を伺ってみました。

①SSPの概要と取り組み

SSPは2019年に活動を開始し、今年で8年目だが、現在20社以上の企業が協賛についており、イベント時も最大 200名近くの参加者、スタッフが集まるなど、社会的な認知が高い団体である。

とりわけ2025年には一般社団法人から公益社団法人に変更したり、12月には「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において内閣府特命担当大臣優良賞を受賞。
さらに今年の7月には社会貢献支援財団より「社会貢献者表彰」も受賞しており、その活動は高く評価されている。

SSPのブースに訪れている高市早苗総理大臣
▲「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」では、現高市総理大臣も足を運んでくださった

SSPとして、安倍昭恵会長から表彰状を受け取る様子
▲社会貢献者表彰では、安倍昭恵会長より賞状をいただいた

SSPが団体として成立したのは2019年だったが、その大元となったのは事故で下半身不随となった兄拓磨さんを再びバイクに乗せたいという、青木さんとその長兄宣篤さんの想いであった。彼らは兄弟そろってバイクレーサーであり、全員が世界グランプリに出場した経験の持ち主である。

表彰状と盾を手に、笑顔で並ぶ青木3兄弟
▲バイクレーサーとして有名な青木3兄弟(右から長男宣篤氏、次男拓磨氏、三男治親氏)

「兄の拓磨は98年のテスト走行中に脊椎を損傷して車いす障がい者となりました。それからずっと拓磨はバイ クに乗っていなかったのですが、2018年ごろ、SNSで車いすのライダーがバイクに乗ってサーキットを走っているシーンを見て、『拓磨もバイクに乗れるかもしれない』と思ったんです」青木さんがその経緯を話してくれた。

青木さんたちは足の不自由な拓磨さんでも操作できるようにと、ハンドル周りの操作だけでシフトチェンジできる部品などを海外から取り寄せ、バイクに組み付けた。

兄弟のサポートによって、拓磨さんは専用の改造バイクが完成したのち、2019年には日本最大級のバイクレースである「世界選手権鈴鹿8時間耐久ロードレース」でデモ走行したり、同年10月には3兄弟そろって世界最高峰のレースであるMotoGP日本グランプリでの走行も果たしている。

その様子を見た他の障がい当事者たちから、「自分も同じようにハンデがあるけどバイクに乗ってみたい」といった声が青木兄弟のもとに集まるようになった。周囲の声に応えるように、翌年2020年には、青木さんが代表となり、「一般社団法人SSP」が誕生したのである。

それからは毎年、SSPでは神奈川を中心とした関東圏のサーキットや自動車教習所を借りて、パラモトライダー(ハンデを持ったライダー)達の走行会を開催しており、2022年からは箱根の公道を貸し切っての走行会 である箱根ターンパイクを毎年開催している。

今まで実施してきたイベントを、日本地図で表している
▲各イベントは関東地方を中心に、全国各地で行われている

②Q&A:実際に走行するために必要な流れとは

では実際に当事者がバイクに乗る際、どのような条件や手順を踏んでいく必要があるのだろうか。ここからは、安全面や費用など、気になる部分を青木さんとの会話形式にてお伝えしていく。

Q:まず障がい者本人が箱根ターンパイクで走れるようになるまでの流れを教えていただけますか?

A:大まかに、4つのステップをクリアすると安全性が認められ箱根での走行許可が団体から下ります。
第1ステップでは主に自分の体に合ったバイクの操作方法を覚えてもらいます。例えば右手が不自由な方なら左ハンドルにアクセルが付いてるので、その感覚に慣れてもらうという感じですね。

第2ステップでは走行中のバランスをとる訓練をやっていただきます。第3ステップまでは補助輪がバイクに付 いているのですが、ステップごとに補助輪の角度が上がるので、そこでバランスがちゃんととれるかどうかを見極めています。補助輪が地面につかず50メートル程度の直線を走行できるとこれはクリアですね。

第3ステップではパイロンを置いてカーブしてみたり、補助輪が付かずともクランクを曲がれるか見極めます。

最終ステップでは、補助輪なしで1000㏄のバイクに乗っていただきます。小型バイクの方が操作しやすそうに見えますが、大型バイクの方がタイヤが太く安定しやすいですし、排気量が大きい分パワーもあるので、 カーブも曲がりやすいんです。
この大型バイクで教習所の外周路などを走行し、SSPが定める規定をクリアすると晴れて箱根ターンパイクで走行する許可を受け取れます。

練習としてバイクに補助輪を付けて走ろうとする様子
▲練習時にはバイクに専用の補助輪が付いており、スタッフのサポートもあるので安心だ

Q:実際にこれらのステップをクリアして箱根ターンパイクにこぎつけるライダーの割合はどの程度でしょうか? また合格者の共通点はありますか?

A:今まで、延べ人数で言うと300人ほどが説明会や練習に参加していますが、実際に各ステップをクリアして、箱根で走れるライダーは20人程度です。

一度落ちたからダメというわけではなく、何度もSSPに参加し、練習して頂いて構いません。でも初回で箱根ターンパイクまでこぎつける人は、障がいの重さに関わらずバランス感覚に優れている人だと思っています。
以前バイクに乗ってた経験のある人なら、昔の勘でまたすぐ乗れそうなイメージもありますが、障がいを負った体では事故前と感覚が変わっています。なのでその体でのバランス感覚を新たにつかまないといけません。

逆にバランス感覚に優れている人は、障がいを負った体でも何かスポーツをやって来られた経験のある方に多いです。
例えばパラスキー経験者などは、体幹も優れており、上達が早いです。なので障がいを負う前と後では、体の感覚が変わるものなので、自分の体に慣れていただくことがバイクに乗れる近道に繋がってきます。

Q:安全配慮にはどのように気を付けていますか?

A:まず事故に備えて、SSPの方で保険に加入しております。また、走行時の暴走を停止するため、リモコンによる遠隔エンジンストップも付けています。万一けが人が出た場合も考慮して、医療班を設置していたり、箱根ターンパイクの際は警察の方にも交通安全面でご協力いただいています。

ボランティアの方も各イベントに来ていただいており、練習時でも最低30人、箱根に関しては130人以上は毎回来ていただいてます。おかげで足の不自由なライダーもみんなで抱えてバイクに乗せてあげられたり、当事者のサポートを十分にしてもらっています。

山々に囲まれた会場内での200名近くの集合写真
▲2025年箱根ターンパイクのイベント時にはスタッフ、ボランティア、パラモトライダー合わせて200名近くの参加者が足を運んだ

箱根ターンパイクの走行時は、片道13キロをノンストップで往復するルートとなりますが、パラモトライダーは先 導スタッフと後ろにもスタッフやご友人、ご家族も一緒に走れるので、気心知れた人たちと安全にバイク走行できるように工夫しています。
SSPを最初に立ち上げると決めた際、「障がい者がバイクに乗るなんて危ない」といった声が一番多かっ たので、警察の方からも許可を頂けるほど、安全面に関しては最大限の配慮をしております。

Q:全盲の方でもバイク走行が可能と伺いました。どのようにサポート、指導を行っていますか?

A:バイクヘルメットにインカム(ヘルメットに取り付けてバイクの運転中に会話や音楽を楽しめる通信機器のこ と)をつけてもらってます。これによって、並走でも音声による方向指示が可能となります。箱根ターンパイ クで全盲の方が走行されるのはまだ難しく、車載カメラで用いられているシステムなどで道案内するなどの技術的支援が必要と考えています。

いろいろな色があるインカム
▲インターコミュニケーションシステム(インカム)は軽量なので、簡単にヘルメットへ取り付けられる

Q:免許がなくとも、費用を掛けずにバイク走行ができると聞きました。

A:はい、先天性の障がいの方や、下半身不随の方なんかは免許を持っていない方も多いので、そういう方々でもバイクで走れるように、サーキットや箱根の公道を貸し切って走行イベントを行っています。

費用に関しても、集まった寄付金や企業からの協賛金を使わせていただいておりますので、参加費は無料です。主には改造バイク、ヘルメット、インカム、プロテクター、その他装備品を参加者の方に使っていただいてます。これらは協賛企業様からお借りしたものや、提供いただいたものばかりです。

障がいを持った人が最初バイクに乗るとなると、バイクの改造費用やそれに伴った安全装備の用意など、どうしても費用がかさみやすく、バイクを入手しても乗りこなせるかどうかも分からないので、ハードルが高いんで す。
そういったハードルを、我々が資金や道具、走れる場所を用意して、障がいがあってもチャレンジできる場を提供出来ればと思い活動しています。

バイクとライダーを囲んで、20名ほどの笑顔の集合写真

③今後の目標と後編のお知らせ

今回SSP様の活動を伺わせていただいて、障がいを持ってもバイクに乗れる場を提供してくれているというのは、障がい当事者であり、バイク乗りでもある筆者にとっても魅力的な活動だと感じた。

「障がいを抱えている人は世界中にいるし、オートバイも世界に流通しています。誰もが障がいを理由に バイクをあきらめなくていい社会を作るために、ゆくゆくは海外でもSSPの活動を広めていきたい。そのためにまずは日本での基盤づくりに努めていきたいですね」
代表の青木さんはそう意気込んで今後の目標について語ってくれた。

2026年の箱根ターンパイクは、10月17日(土)の予定だ。筆者もイベントへ赴き、現場の雰囲気や参加者へのインタビューも行いたいと思っているので、後編の記事も楽しみにしていただきたい。

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ライター keita0206

1992年福岡県生まれ。先天性四指欠損という、左手の指が生まれつき4本無い状態で生まれる。大学4年生の就活の最中、ママチャリ日本一周を思い立つ。大学卒業後は就職せずアルバイトで資金を貯め、2015年5月〜2016年9月までの約1年4ヶ月で、ママチャリでの日本一周を達成。その後クラウドファンディングにて旅の記録を書籍化。旅後は大阪で一人暮らしをするも、旅したい欲求が溢れ2022年7月〜12月にバイクで2度目の日本一周を達成。現在は自転車インド一周の旅に向けて準備中。

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公式HP
https://keita-kabu-world.hatenadiary.com/

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