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「全盲の僕が弁護士になった理由」の著者、大胡田誠弁護士に聞く『障害者差別解消法って何だろう?』

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「全盲の僕が弁護士になった理由」の著者、大胡田誠弁護士に聞く「障害者差別解消法って何だろう?」のタイトル画像

ライター:Media116編集部

今年4月から施行がスタートした障害者差別解消法。この法律で定められていることの一つが「合理的配慮の提供」。

でも「合理的な配慮って、結局なんだろう・・・」。

本メディアでも色々な記事で触れてきましたが、より具体的に、より分かりやすく理解したい、そんな方のために、1本の動画をご紹介したい。

大胡田誠弁護士をご存知だろうか?12歳の時に両目の視力が全盲となり、その後、日本で3番目の全盲の弁護士となった。2014年にテレビドラマにもなった小説「全盲の僕が弁護士になった理由」の著者といえばご存知の方も多いのではないだろうか?(ドラマでは今をときめく若手俳優、松坂桃李が大胡田氏役を熱演している。)

そんな大胡田誠弁護士が、「障害者差別解消法」について、事例を交えながら分かりやすく解説する動画が、株式会社アーチャレジーの公式チャンネル(YOUTUBE)より公開されている。

Youtube: 株式会社アーチャレジーの公式チャンネルより
「大胡田誠弁護士と障害者差別解消法を考える 馬場村塾 第11回【公式】‬」

こちらの動画から「合理的な配慮」について、 具体的な事例を交えてみていこう。

====

「合理的な配慮の提供」とは、その人にとってのバリアを、個別に取り除くこと---
「合理的な配慮の提供」には、主に3つのタイプがある。まずは、その具体例から。


<物理的な環境への配慮>
・建物入口の段差を解消するスロープを設置する
・高い所にある商品を取って手渡す など

<意思疎通のための配慮>
・手話や筆談をする
・ゆっくりわかりやすい言葉で伝える など

<ルールや慣行の柔軟な変更>
・精神障がい者社員の出勤時間を変更し、ラッシュ時を避けて通勤できるようにする など


障がいのタイプによって、得意なことや配慮が必要なことはそれぞれ違う。「合理的配慮」とは、行政や民間事業が、障がいの状態や性別などを考慮してルールを変えたり、調整したり、サービスを提供するというもの。ただし行政が必須なのに対し、民間事業は努力義務となっている

必要な配慮を申し出なければ、始まらない。
ここで大切なのは、合理的な配慮を提供してもらうには、障がい者側にもそれ相応の努力が必要だということ。残念ながら健常者には、そもそも障がい者についての知識がほとんどない。そのような状況だからこそ「こういう理由で、こうして欲しい」と申し出ないことには、合理的な配慮が必要なことは伝わらないのだ

それと、求めれば何でもやってもらえるわけではない。この法律ではあくまで、求められた側にとって「過重な負担」とならない範囲で行えば良いとされているからだ。

【海外の判例】
イギリスのパブで働いている弱視者が、店内が暗く見えにくいため、照明を明るくしてほしいと店側を訴えた。これに対し、店内を暗くすることはパブという店の本質を損なうため、店側にとっては過重な負担であるとし、照明を明るくする必要はないという判決が下された。

イギリスのパブの暗がりのイメージ

ちなみに日本では、次の5つから「過度な負担」かどうかを総合的に判断している。

1) 事務・事業の規模
2) 事務・事業への影響度
3) 実現可能性の程度
4) 費用・負担の程度
5) 財務・財政状況


前向きなコミュニケーションで着地点を探ろう
障がい者の「こうして欲しい」という要望と、提供する側の「こういう方法なら可能」という事情を伝え合い、互いに無理をしすぎない着地点を見つけることが「合理的な配慮」。どちらか片方にだけ重い負荷がかかるのではなく、みんなで広く浅く負担するという考え方だ

ここで一つの事例について考えてみよう。

【事例】
私は車椅子利用者です。ある夜、人気の隠れ家風レストランへ行こうと思いました。ところが、そのお店は2階にあり、エレベーターがありません。そこで私は、店員さんに「2階へ上がる手伝いをしてください」と申し出ました。ところが、「今、スタッフが2名しかいないので手伝えません」と断られてしまいました。こんな扱いは許されるのでしょうか?

車椅子のイメージ

やはりここでのポイントは、前向きなコミュニケーションができるかどうか。

例えば店側は…
「あと◯分すれば落ち着くので、待っていただけませんか?」と提案する
店内の客に声をかけて手伝ってもらう など。


求める側は…
「手が空くまでここで待たせてもらいます」と店側に伝える
手助けが必要なことを予約の時にあらかじめ伝えておく など。


一方的に要望を押し付けたり、ハナから「できない」と拒否するのでは、前向きなコミュニケーションとは言えない。どんな時も、お互い歩み寄る態度を忘れないようにしたい。

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いかがだっただろうか?

弁護士としての専門的な知見と、当事者としての目線は大胡田氏ならでは。
分かりやすく具体的な内容によって、今まで以上に「合理的な配慮」のイメージがついたのではないだろうか?
皆さん、ご自身の状況に照らし合わせ、日々の生活で活用して頂ければ幸いです。

「障害者差別解消法」に関してもっと詳しく知りたいという方、ぜひ大胡田弁護士の動画をご覧ください。

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ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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