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【障害年金企画】第六弾!年金打ち切り、障害の定義の変化…障害年金制度が抱える不安とは?

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ライター:Media116編集部

タロウくん:博士こんにちは!今日は何を教えてくれるの?


ねんきん博士:おおタロウくん、久しぶりじゃの。今日は、「障害年金の現状と展望」について考えよう。タロウくんはこれまでたくさん障害年金について学んできたがよく理解できているかな?

タロウくん:うーん。制度や仕組みが色々あることは理解したけど、実際のところ本当に役に立っているのかな?って疑問に思っているんだ。

ねんきん博士:それは、大事なポイントじゃな。一緒に考えていこう。

障害年金を打ち切られる不安感が就労の妨げになることも

ねんきん博士:では問題じゃ。例えば20歳前に障がいを発症したAさんがキャリアアップを目指し就職活動をしているとしよう。
「20歳前障害」には所得制限があると勉強したね。
(参考記事:【障害年金企画】第四弾!障害年金の落とし穴!~メリット・デメリットを教えます~

Aさんは現在年金を受給できるが、もし就職活動が上手くいきキャリアアップが叶ったとしたら、所得制限にひっかかる可能性もある。
「安定した障害年金の受給がなくなると生活に困るかもしれない」とAさんが希望の会社へチャレンジすることをためらうとき、障害年金は就労の妨げになると思うかい?

分かれ道

タロウくん:難しいね。年金がないと生活が苦しくなるかもしれない不安もあるだろうし、一方で就職活動をすればなりたい自分になるチャンスかもしれないよね。

ねんきん博士:確かに、迷うところじゃな。この問題の本質は年金の有無ではなく「年金を打ち切られる不安感が就労の妨げである」ということなんじゃよ。完璧のように見えて、一方では不安感を与えてしまう年金制度でもあるのじゃ。時々、本人も周囲も本質と現象を見間違えることがある。

タロウくん:本質と現象?

ねんきん博士:そうじゃ。何が本質かを考えるうえで大切なことは、制度の趣旨と社会環境じゃよ。「そもそも、国が障害年金を支給する目的は?」ということを考える必要がある。国民年金法には「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」と、決められておる。

タロウくん:要するに、障害年金が就労の妨げではないし、「年金を打ち切られる不安感が就労の妨げ」になってはいけないんだね!

ねんきん博士:よくわかったね、その通りじゃ。では、なぜこのような混乱が生じると思うかい。

タロウくん:うーん、わからないな・・・

障害の定義の変化、長寿化…時代に追い付かない障害年金制度

ねんきん博士:簡単に言うと、「障害とはなにか?」という障害の定義の変化に制度が追い付いていないのじゃよ。

タロウくん:障害の定義?変化??

ねんきん博士:わしが子供のころは、障がい者というのは傷痍軍人じゃった。お国のためにと、戦地で戦って腕や足を失ったような方じゃった。
つまり、障害は固定的だったんじゃ。

日本兵

その後、脳性麻痺という方たちが大きくとりあげられた時代があった。自分の生き方暮らし方は自分で決めたいという自立生活運動なんてのもあったな。
今では、ぐっと障害の定義が変化してきておる。障害は固定的ではなく変化・流動するというかたちになったのじゃよ。
例えば、ALSとか、HIV、糖尿病とか加齢により変化する病態を考えると変化するのは、精神疾患だけではないな。

タロウくん:なるほど!障害は「固定されたもの」だけではなく年齢や状況によって症状が変化していくものも対象になったんだね。

ねんきん博士:おおタロウくん、さすがワシの教え子じゃ。さて、もう一つの要因は「長寿化」じゃよ。国民年金法ができたのは、昭和34年じゃが、その翌年、昭和35年には平均寿命は男は65歳、女は70歳じゃった。人口ピラミッドも山のような形で、たくさんの人々が少数の高齢者を支えることが可能じゃった。大勢で高齢者をかつぐような絵が浮かぶな。

■平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要(引用:総務省統計局)
ところが、近年は平均寿命が80歳を超えているし、人口構成も肩車型なんて言う人もおるな。

肩車型

■平均寿命ランキング・男女国別順位 - WHO世界保健統計2016年版(引用:MEMORVA)


肩車型になると若い世代への負担が大きくなるとともに国の予算を圧迫してしまうんじゃ。

多様性を認める社会へ

ねんきん博士:もう一つ、タロウくんは「働き方改革」という言葉を聞いたことはあるかい?

タロウくん:ニュースで安倍総理が言ってるのをきいたことがあるよ!

総理大臣

ねんきん博士:「働き方改革」には高齢になっても、主婦でも、障害があっても、その人らしく働ける社会を作ろうという意味があるんだよ。ある意味では多様性を認める社会ともいえるな。こういう社会変化の中で考えると、障害者への支援も医学モデルから生活モデルに変えようという流れがあるのじゃ。

タロウくん:聞いたことある。いろいろな困りごとは、診察室の中だけではわからない。暮らしの場を見てね、ということだよね。

ねんきん博士:簡単に言うと、そういうことじゃの。しっかりと現状に合わせた診断書を書いてもらうためのノウハウや必要な書類は以前説明したが、覚えているかの。
同じ厚生労働省でも、障害福祉サービスでは、障害認定審査会という協議体で支援程度を検討するし、支援内容も相談支援の事業者がサービス等利用計画を提案することになっておるのじゃ。
障害年金も時代に合わせた変化が必要じゃの。厚労省や年金機構も頑張っておられるが、一層のご尽力をお願いしたいところじゃの。

タロウくん:だいじょうぶだよ。これからの将来をになう僕たちが、社会に働きかけてゆくから!!

ねんきん博士:よし!頼んだぞ。タロウくんはこれまで沢山のことを学んできたの。障害年金について、一通りの必要な知識を身に着けたであろう。ひとまず、今日で卒業としよう。おめでとうタロウくん。

タロウくん:ありがとう博士!博士のおかげで賢くなったよ。いままでありがとう!

ねんきん博士:こちらこそ。それでは、またの。

働く障がい者
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