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地域に根ざした障がい者雇用を実現。スバルブルームの取り組み

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ライター:遠藤光太

株式会社SUBARUの特例子会社として2014年に設立されたスバルブルーム株式会社(群馬県)。70名を超える障がい者雇用を実現し、主にSUBARUの工場と独身寮の清掃業務を行っています。

株式会社SUBARU人事部ダイバーシティ推進室の澤田 俊さんによると、SUBARUグループ全体の障がい者雇用率は2.37%。国の法定雇用率は超えていますが、さらなる雇用推進を目指しています。

背景にあるのは、「多様性の積極的な受容」「当事者意識をより一層高めて取り組む」「社会的責任を果たす」という方針で、グループ全体として障がいのある人が働きやすい環境づくりを目指しています。

スバルブルーム企画管理部部長である下荒磯 守さん、障がい者雇用で正社員として働くTさんに、障がいのある従業員が安心して働ける環境づくりについて、お話を伺いました。

いつでも相談できる指導員と、支え合える仲間の存在

Tさんは、障がい者雇用で入社しました。知的障がいの当事者です。

「2019年の10月に入社しまして、いま1年9カ月ぐらいが経ちました。仕事は、トイレ便器と洗面台の掃除、鏡拭き、モップがけ、掃き掃除などをやっています」(Tさん)

従業員のみなさんが安心して働ける環境を実現する上で、同社において特徴的なのが、充実した指導員制度と入社前の実習です。

「当社の場合は専任の指導員がいて、おおよそ5人につき1人程度の割合で指導員を配置しています。そのため障がい特性に配慮した手厚い指導と支援ができるというのが強みですね」(下荒磯さん)

取材に応じてくださった下荒磯さん(左)とTさん(右)
(写真)今回取材に応じてくださったスバルブルームの下荒磯さん(左)とTさん(右)

Tさんは、入社前の実習時に指導員と出会い、サポートを受けました。

「実習をして、入ってみたいと思いました。(どういうところで、入りたいと思いましたか?)実習先の指導員さんが親切に教えてくれたのが良かったです」(Tさん)

「入社前に、2週間の実習を2回以上してもらっています。なるべく違う拠点で実習してもらって、色々な人の目で実習生のことを見てもらいながら、ご本人にも雰囲気を知ってもらっています」(下荒磯さん)

Tさんは複数の清掃現場を回るうえで「時間内に終えなければいけない」という不安もあったそうですが、いまでは指導員のサポートを受けながら、安心して業務にあたっています。

勤務中のTさんの様子
(写真)勤務中のTさんの姿

また、社員同士の活発な交流も同社の特徴のひとつです。

コロナ禍以前は新年会やボウリング大会、年に一度の社員旅行などの定期イベントをしていました。最近では6つの事業所をオンラインで繋いだイベントを開催するなど、社員交流の場を積極的に作っています。

「イベントは参加率が高く、開催すれば必ず9割以上が集まります。みなさん楽しみにしてくれてますね。コロナの前には、日光江戸村にも行きましたし、その前は新宿まで行ってモノマネのショーを見ました。みんな喜んでくれました」(下荒磯さん)

「スバルブルームに入社して良かったところはどういうところですか?」という問いに、Tさんは「仲間がいること」と迷わず答えてくださいました。昼休みには、仲間たちとテレビやペットの猫の話などをしているそう。Tさんの場合は、一緒に就労訓練を受けた複数のメンバーも、一緒に働いています。

「特例子会社のメリットとして、やはり同じような仲間たちがいるので、気軽に話しができ、自然と支えあうことが出来ることがあります」(下荒磯さん)

手厚いサポートをする指導員と支えあえる仲間の存在が、安心して業務に取り組める職場づくりへとつながっています。

同社は正社員登用にも積極的で、入社後1年が経過し勤務実績が良好な従業員は、清掃業務の実技と面接の正社員登用試験を受けることができます。Tさんも登用試験に合格し、現在は正社員として働いているそうです。

地域のつながりで働きやすい環境づくり

取材時の様子
(写真)取材時の様子

Tさんは、入社前に地域の就労移行支援事業所で清掃の技術を学びました。

「Tさんはエコネット・おおたという就労移行支援事業所で、就労するための訓練を受けてきてくれました。入社後も支援員の方が様子を見にきてくれています。実は、エコネット・おおた さんには、会社としても立ち上げ当初からお掃除のやり方を教えてもらっていたんです」(下荒磯さん)

社内の指導員による手厚いサポートに加え、地域と連携することで、就労訓練から入社後まで、切れ目のない支援を実現しています。

「地域の“なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)”さん、あるいは特別支援学校とも連携しています。学校側もなにか問題があったときに相談をすると、ゆかりのある先生がアドバイスしにきてくれたりするんですよ。地域のなかぽつさんも訪問支援してくれています。そういったところと協力しながら、みんなが安心して働けるように取り組んでいます」(下荒磯さん)

障がいのある人が、それぞれの花を咲かせられる場所へ

障がい者雇用の取り組みが認められて表彰されたことも
(写真)障がい者雇用の取り組みが認められて表彰されたことも

従業員の環境整備に力を注いできた同社ですが、コロナ禍において工場の稼働が止まるなど、清掃の業務量や採用人数に影響はなかったのでしょうか。

「業務が減ることはなく、逆に新しい工場建屋が増えて、清掃を必要とする場所がどんどん増えているんです。車の工場なので、なかなかの規模感なんですよ。いまは人が足りていないので、どんどん増やしたいですね。現状は知的障がいの方がほとんどですが、精神障がいの方でも私たちの仕事にマッチする方であれば積極的に採用したいです」(下荒磯さん)

障がい者が安心して働ける環境を整え、雇用を創出してきた同社の今後の展望について、下荒磯さんに伺いました。

「今のお掃除の仕事を広げていく、そこに関して働いてくれる方を増やしたいというのが第一です。その一方で、これまでとは違った事業も並行して検討し始めていて、SUBARUグループ内のさまざまな関連部署に相談を持ちかけています」(下荒磯さん)

スバルブルームという社名には「従業員1人ひとりの個性という名の花を咲かせる(BLOOM=開花)ことができる会社を目指す」という思いが込められているそうです。
清掃の事業にとどまらず新たな事業を模索する同社では、障がい者が個性を生かして活躍できる環境がこれまで以上に充実していくのではないでしょうか。

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ライター 遠藤光太

発達障がいの当事者。二次障がいでうつ病になり、休職を経験。現在、フリーライター。さまざまな媒体での記事執筆のほか、テレビ番組等で活動中。

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