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二人三脚で歩む全盲のシンガーソングライター、親子の想い

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ライター:Media116編集部

今回ご紹介するのは全盲のシンガーソングライター佐藤ひらりさんのお話です。障がいを越えてシンガーソングライターとして活動をするひらりさんの想いや、二人三脚でひらりさんを支えるお母さまの想いを伺いました。そこには親子を越えた絆があったのです。

世界で活躍する全盲のシンガーソングライター

今回ご紹介する世界で活躍するシンガーソングライター佐藤ひらりさんは今年18歳になる高校3年生です。視神経低形成により生まれつき全盲です。5歳の時、ピアノに触れて音楽に目覚めました。小学校入学後、アルビレックスBB・BC(新潟にあるスポーツクラブの総称で、BB=バスケットボール、BC=ベースボールクラブ)にて国歌斉唱をしたり、老人ホームや東日本大震災の避難所での慰問コンサート、あしなが育英会を通じてのチャリティコンサートなど県内外で演奏活動を行うようになります。9歳の時に、はじめてのオリジナル曲「みらい」を作詞・作曲し、2013年にはニューヨーク アポロシアターにてアマチュア・ナイトに挑戦し、ウィークリー・チャンピオンを獲得しています。

ひらりさん

目に障がいのある方のために「点字楽譜」というものも作られていますが、ひらりさんの場合は曲を覚えるのは主に「耳コピ」。音楽を聴き、ピアノに触り…その繰り返しです。作曲をする際にはそれに加え伴奏の仕方や歌いやすさを考えながら作っていると言います。1曲覚えるのには大体4~5日程度だそう。

今年音大への受験を控えているひらりさん。実技に加え音楽の歴史や背景など理論的な事を学ぶ音楽学を専攻し、更に曲作りに生かしていきたいと思われているそうです。

彼女が手掛ける曲はどれも明るく、背中を押されるような歌声で歌われているのでした。

口癖は「すみません」ピアノがきっかけで貰った「ありがとう」

ひらりさんがシンガーソングライターとして活躍されるまでの道のりは平坦なものではありませんでした。これまで障がいがあるがゆえに「周囲に迷惑をかけて申し訳ない」という気持ちから、佐藤さん親子は「すみません」「ごめんなさい」という言葉を多く使ってきたと言います。

しかし、それを変えたのがピアノとの出会いでした。
ピアノに触れたきっかけを伺うと、お母さまが精一杯可能性を伸ばそうとされていたことがわかりました。目が見えないと知ってお母さまがひらりさんの身の回りに音の鳴るものや光るものを置いたり、常にCDを流すなどとにかく五感に刺激を与えられてきたと言います。2歳の時に触れた小さなおもちゃのピアノを指一本で弾き始めたことが転機になりました。ピアノ教室に通ってからは2歳で片手でピアノを弾くようになり、5歳の時には保育園や老人ホームで演奏をするまでになりました。老人ホームで演奏をした時、「ありがとう」という言葉を多くかけられたのがふたりの心境を変えました。

ピアノを弾き、歌うことで「ありがとう」と言われる。

これは自分ができる周囲への恩返しなのかもしれないとひらりさんは思ったそうです。どうしても行動の全てを一人では完結することができずに人に助けてもらうことがあるひらりさん。拍手や「ありがとう」を貰うことは彼女にとって大きな意味を成したのです。

二人三脚で支える母の想い

ひらりさん親子を見ているとまるで友達同士のようにざっくばらんで楽しそうだったことが印象的でした。ひらりさんの活動について、お母さまはこう語ります。

「いろんなところに行って、いろんな人に会って、ひらりは見えないけどいろんなことを感じる場面があったんだと思います。被災地だったりお祭りだったり、悲しい時も楽しい時も歌を歌う場所へ。応援の声やその場にいる人たちの気持ちも肌で感じられることはとても良い事だと思っています。」

「目が見えないことは可哀想じゃない。見えないからダメな人なんかではない。そうやって育ててきました。紹介される時、名前より先に“全盲の”とつくように、見えないことが肩書になっていることには違和感を覚えていました。けれどもうどちらでもいいんです。ひらりという人を見てくれるなら。」

最近は言われることも少なくなり、“ただの”「高校生のひらりさん」として紹介されるようになりつつあると言います。

視覚障がいのあるひらりさんを母として支えていくことについては、こう仰るのでした。
「私達には見える見えないとか関係ないんです。悪く言えば雑ですかね(笑)。いまは障がいに関して親子のルールがありますが、基本的には将来1人で動けるようになってほしいので、過保護にはしないことにしています。」

親子3

「スーパーが家の近くにできたので、まずはそこに一人で買い物に行けるように。学校の自立活動の授業で買い物の仕方についても学んでいるので、今後一人で買い物ができるようになればいいなと思っています。」

お母さまは外出時などいつも一緒にはいないように、少し距離をとって見守っていると言います。助けを求められたらサポートするけれど、過保護にはしない。それが娘の自立を見据えた母の想いでした。

こうしてひらりさん親子は二人三脚で常に前を向いて、大きな目標に向かって歩んでいるのです。その姿は親子を越えて「戦友」のように思えたのでした。

=====イベント情報=====
「佐藤ひらりライブ~令和のはじまり☆」
令和元年11月10日(日)新宿ケントスにて
午前10時45分オープン
午前11時~11時30分ランチタイム
午後11時30分~1時コンサート
チケット料金3000円(ワンドリンク、ワンフードオーダー制)
終演後CD販売あり
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親子

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